政治・司法改革法案のファストトラック(迅速処理対象案件)の指定を口実に場外闘争に突入した自由韓国党指導部が、7日に釜山を出発してソウルまで続く「文在寅(ムン・ジェイン)政府を糾弾する国土大長征」をする。2~3日に京釜線・湖南線の主要都市を巡回する1泊2日の集会を開いてから4日目だ。しかし、党内外では党の力を総動員した場外闘争が支持層結集には一定部分成果を出しているが、「ファン・ギョアン代表、ナ・ギョンウォン院内代表ツートップ」の荒っぽい発言ばかりが浮き彫りになり、勢力拡張にむしろ障害となりうるという指摘が出ている。指導部も、場外闘争が長期化する場合、適当な“出口”を見つけるのが難しいという点が悩みだ。
■長期戦になった場外闘争…ファン・ギョアン、ナ・ギョンウォンに集中する視線
ファン代表は国土大長征の期間中、徒歩や自転車、公共交通機関などを利用して中小企業や市場、町会館などを訪問する計画だ。長くは1カ月もかかる可能性のある長期プロジェクトだ。ファン代表は5日、国会で記者団に応じ「現政府が経済を壊し、民生を破綻に陥れ、北朝鮮の武力挑発の事態にもきちんと対処できずにいる」とし、「政府の総体的失政を国民に率直に伝え、国民と力を分かち合い、話を聞くのが必要だ」と述べた。現場を回りながら、政府圧迫のための動力を集めるという意味だ。
しかし、一部ではファン代表の「国土大長征」がむしろ大統領候補としての行動に近いのではないかという疑問の声があがている。入党してから110日余り、代表の座について70日にもならないファン代表が、内部を整備するよりも場外闘争に全力を賭けることで、「外部から投入された大統領選候補」のイメージだけを強化するという話だ。しかし、党内の“ファン・ギョアン派”たちは、ファン代表の「国土大長征」が2004年当時の朴槿恵(パク・クネ)代表の「テント党本部」のように、“次期”を狙う政治家として決定的な跳躍台になりうるという期待を隠さない。
韓国党は「国土大長征」とは別に、毎週土曜日、光化門(クァンファムン)で「文在寅ストップ!国民が審判します」という名の糾弾大会と大統領府への行進も続けている。4日、第3回糾弾大会でナ・ギョンウォン院内代表は、レッドカーペットの上で支持者たちに手を振り「左派独裁を防ぎ、憲法守護のために韓国党が乗り出す」と声を上げた。ファン代表も「皆さんが現政府の暴政を防がなければ、私たちの次の世代が左派独裁の統治下で暮らすことになる」とし、理念論を続けた。大統領府への行進の時は、ソウル市庁や光化門などで毎週集会を開く大韓愛国党とも共にした。
「議題と戦略グループ ドモア」のユン・テゴン政治分析室長は「ファストトラックの局面で内部結束力が高まり、過去の派閥問題なども姿を消し、右派の求心力強化という目的を持って行動している」と分析した。韓国党は糾弾大会に少なくとも5万人の支持者と市民が集まったと明らかにしたが、ますます極端な発言やスローガンが行き交うことで、長期的には中道派の支持層の拡大が妨げられる場合もあるとの見方も出ている。
■問題は出口戦略
韓国党は、8日に行われる共に民主党院内代表選を場外闘争の転換点と見ている。自然に闘争の強度が調節され、院内闘争へと戻る環境が整うのではないかという予測だ。韓国党の関係者は「まだファン代表や指導部の闘争の意志が強く、出口戦略に対する議論は公式には取り上げることもできない状況だが、民主党の院内代表選後、自然に与野党が合意点を見出し、大義名分が作られると期待している」と述べた。ただし、同関係者は「(与党側の)何の譲歩もなしに国会に戻った場合、国会を乱した責任を被る恐れがあり、慎重にならざるを得ない」と付け加えた。
しかし、民主党はファストトラックの指定過程で発生した告訴・告発を取り下げないという強い立場を繰り返し表明している。韓国党もこの日、正義党のイ・ジョンミ代表らを告発し対抗に出た。こうした状況が長期化する場合、韓国党が「何もしない政府・与党」を批判しながら、民生に取り組むという名分で国会に復帰する手順を踏むという見通しもある。ファストトラック政局と場外闘争を経て、中核の支持層の復元に成功しただけに、これ以上動力の損失を防ぐためにも総選挙体制の転換を急ぐほかないということだ。龍仁大学のチェ・チャンリョル教授(政治学)は、「場外闘争は対立を最高潮に引き上げるという韓国党の総選挙選略だが、強硬な保守支持層を結集させるのには役立つが、続く場合は中道層の反感と嫌気が大きくなりうる」と診断した。