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「コメは金より貴重だ」北朝鮮の食糧難、10年間で最悪…ソウル市が食糧支援へ

登録:2019-05-03 09:55 修正:2019-05-03 20:09
南北協力基金391億ウォンを活用 
朴元淳市長「北朝鮮の子どもの生命のための緊急人道支援」
北朝鮮の食糧総生産量と北朝鮮の食糧状況//ハンギョレ新聞社

 ソウル市が食糧難に苦しむ北朝鮮に対し、食糧など大規模な人道支援に取り組むことを決めた。

 ソウル市は1日、小麦粉などの食糧、医薬品をはじめ、保健医療など人道レベルの緊急支援を実施することにしたと明らかにした。ソウル市は、これに必要なかなりの規模の資金を準備しているという。ソウル市は2019年4月現在、南北交流協力基金を391億ウォン(約37億円)保有している。中央政府の南北交流協力基金を除いては、全国の広域自治体の中で最も多い。

 ソウル市は様々な南北関係事業を準備していたが、直面する人道問題の解決が最も重要だと判断した。朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は、4月24日のハンギョレ統一文化財団と朝鮮半島平和フォーラムなどが共同主催した「南北首脳会談1周年記念学術会議」の歓迎のあいさつを通じて、「北朝鮮の子どもたちの生命のために緊急人道支援が必要な時」だと話した。

 朴市長はこの日「北朝鮮の食糧難に対する国際機関の憂慮が深刻だ」とし、「これ以上、大人の政治問題で子どもたちが苦痛を受けることがあってはならない。北朝鮮の子どもたちが平和の春を享受できるよう、生命と健康を守ることから考える」と述べた。

 ハノイでの第2回朝米首脳会談が決裂した後、自力更生を強調してきた北朝鮮は、本格的な農業シーズンを控え食糧増産を強く督励している。「コメは金より貴重だ」。北朝鮮労働党機関紙「労働新聞」4月29日付の記事の内容だ。

 今年に入って、様々な国際機関が北朝鮮の食糧事情に対する憂慮を示している。平壌(ピョンヤン)に常住する国連機関と国際非政府組織(NGO)で構成された国連北朝鮮チームが最近作成した報告書によると、昨年の北朝鮮の食糧総生産量は495万トンにとどまり、2009年以降10年間で最も低い。昨年のコメや小麦の生産量は、前年度に比べ12~14%減り、ジャガイモや大豆の生産量の減少規模はそれぞれ34%と39%だった。昨年の北朝鮮の食糧総生産量は目標値より約100万トン及ばなかった。農耕地の不足と古い農機類と肥料、繰り返される自然災害が生産量減少の理由として挙げられた。

 国連北朝鮮チームは報告書で「北朝鮮はすでに長期間の食糧危機を経ており、食糧が不足した場合、子どもや妊婦、高齢者など脆弱階層を中心により大きな被害を受ける」と懸念した。北朝鮮の全体人口の43%が食料が不足し、子ども全体の20%ほどが慢性栄養失調状態だ。生後6~23カ月の幼児のうち、3分の1の割合で最少の適正な食事の量を保障されていない。

 これまで中央政府が対北朝鮮制裁を理由に対北朝鮮支援に消極的な状況で、ソウル市の大規模な対北朝鮮支援方針が、行き詰まった人道支援の突破口を開くことができるかに関心が集まっている。

クォン・ヒョクチョル ハンギョレ平和研究所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/892350.html韓国語原文入力:2019-05-02 11:24
訳M.C

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