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大統領府とサムスンの“密月”の背後には「親市場主義者」の秘書室長がいた

登録:2019-05-02 09:43 修正:2019-05-02 10:05
経済政策の変化、秘書室長の役割に注目 
 
サムスン投資発表→文大統領の工場訪問 
→政府支援対策へと続いた“共同イベント” 
ノ・ヨンミン室長の就任から3カ月後に行われ 
 
ノ室長、10年前から半導体支援を力説 
「半導体の日」制定を主導した“半導体マン”で通る 
 
経済指標の改善が遅れ、“救援ピッチャー”として 
文在寅政権の経済政策を“陣頭指揮”
文在寅大統領とイ・ジェヨン・サムスン電子副会長が先月30日、京畿道華城市のサムスン電子工場で開かれた非メモリー半導体ビジョン宣布式で握手している=華城/大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 1月15日、大統領府迎賓館で「2019企業家との対話」が開かれた時のことだ。当時、文在寅(ムン・ジェイン)大統領やサムスン電子のイ・ジェヨン副会長など、企業家らの境内散歩の際、ノ・ヨンミン大統領府秘書室長は一緒に歩いている文大統領やイ副会長に近づいて話した。「ファウンドリという、委託だけ…」。イ副会長は散策路で文大統領に「私たちの工場や研究所に一度来てほしい」と要請した。文大統領は「サムスンが大規模投資をして工場を建てるならいつでも行く」と答えた。

 大統領府とサムスンの「非メモリー半導体(システム半導体)」を機とした“蜜月”で、政府の経済政策基調が所得主導成長および革新成長から財閥大企業に依存する経済成長戦略に転じた。この“方向転換”の中心に、ノ室長がいるという解釈が出ている。ノ室長は主要な大企業と近く、「親市場主義者」として通っている。

 サムスン電子の非メモリー半導体投資発表(4月24日)、文在寅大統領の就任後初のサムスン電子国内工場訪問(4月30日)、産業通商資源部など関係省庁合同の非メモリー半導体政府総合対策の発表など、一連の“イベント”は、1月のノ室長の就任から3カ月で行われた。見かけは突然のようだが、実際には政府とサムスン電子との非メモリー半導体共同企画が推進されてきたという見方が支配的だ。産業通商資源部のソン・ユンモ長官は最近、非メモリー半導体支援対策を説明する際に「該当する企業といつから議論してきたのか」という質問に対し、「多くの協力チャンネルが稼動されてきた。緊密な協議を通じて対策を作った」と述べた。

 第19代国会産業通商資源委員長出身のノ室長は、政界で「半導体マン」と言われている。約10年前の新人議員時代から、政府の果敢な半導体業界への支援が必要だと主張してきた。2008年9月、「非メモリー半導体の未来型融合・複合産業発展策」討論会とともに創立した「新成長産業フォーラム」が、彼の主な舞台だった。ノ室長は2015年までこのフォーラムの代表を務め、産業界と近しくし、「半導体の日」の制定を主導したりもした。昨年3月には、駐中大使としてサムスン電子の中国西安半導体工場第2ライン起工式に出席し激励した。今回の文大統領のサムスン工場訪問と政府レベルの非メモリー半導体対策作りは、ノ室長の長年の主張がそのまま実現したということだ。

 これに先立ち、駐中大使だったノ室長を人選した時から「政府の経済政策基調が著しく変わるだろう」という分析が多かった。国会議員時代から政府の大企業支援強化を主張してきたノ秘書室長が、所得主導成長に対する保守陣営の強い反発と経済指標の改善につながらない「新産業革新成長」政策の限界から文大統領を守る「救援ピッチャー」と見なされたという。現実を重視する実用主義者と評価されるキム・スヒョン前社会首席を大統領府政策室長に配置したのも、大統領府の「支持率下落」に対する不安が投影されたと評価されている。

 大統領府秘書室長が“陣頭指揮”する経済政策をめぐり、政界からも不安な視線があらわれている。共に民主党のある関係者は、「大統領の信任を大きく得ているノ室長が経済政策の主導権を握っている」とし、「著しい方向転換のシグナルがもっと出てくるだろう」と述べた。経済改革連帯所長のキム・ウチャン高麗大学教授(経営学)は、「インターネット専門銀行法通過の時から政府の経済基調が変わっていた」とし、「中小企業・ベンチャーを育成するなどの産業生態系の体質改善は容易でなく、景気下降局面が続いているので、財閥に頼る容易な方法を探しているようだ」と述べた。

チェ・ハヤン、ソン・ギョンファ、シン・ダウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/892327.html韓国語原文入力:2019-05-02 07:09
訳M.C

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