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サムスンと手を握った文在寅政府…財閥中心成長に回帰

登録:2019-04-30 21:28 修正:2019-05-01 08:10
文大統領、サムスン電子工場を初訪問 
 
「遠大な目標に拍手…積極的に助ける」 
経済成果の圧迫に1等企業に手を伸ばす 
 
専門家「中小企業・ベンチャー革新を通じて 
経済成長を引き出すという基調だったのに 
結局、過去の政府のように財閥に依存」
文在寅大統領が30日午後、京畿道華城のサムスン電子華城事業場の部品研究棟で開かれた「非メモリー半導体ビジョン宣言式」に参加し、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長と握手している=華城/大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)政府とサムスンが手を握った。文在寅大統領は、就任以来初めてサムスンの工場を訪問し、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長と共にメモリー以外の半導体(システム半導体)を経済成長動力にすると宣言した。最近、所得主導成長から革新成長に重心を移してきた文在寅政府が、財閥大企業中心の成長戦略に本格的に回帰したと指摘されている。

 文大統領は30日、サムスン電子華城(ファソン)事業場で開かれた「非メモリー半導体ビジョン宣言式」に参加し、「サムスン電子の遠大な目標設定に拍手を送り、政府も積極的に助ける」と話した。24日、イ副会長が非メモリー半導体分野に対し2030年までに133兆ウォン(約13兆円)を投資するという「半導体ビジョン2030」を発表したことに応える姿だ。

 文大統領は「メモリー半導体世界1位の地位は、私たちが作った製品の競争力も共に上昇させた。世界で初めて最高のメモリー半導体を装着した“メイド・イン・コリア”製品は、“先端”の別名になった」とサムスン半導体を持ち上げ、「メモリー半導体で世界1位を維持する一方、2030年までに非メモリー半導体製造分野で世界1位、企画設計分野の市場占有率10%を達成し、総合半導体強国に跳躍」することを目標として提示した。

 イ副会長は「大統領が総合半導体強国のビジョンを提示して“メイド・イン・コリア”まで述べられ、重い責任を感じた」として「非メモリー半導体でも要請のとおり確実に1位を実現する」と答えた。

 文大統領とイ副会長は、10月に完工する極端紫外線(EUV)棟の建設現場を一緒に視察した。文大統領は、非メモリー半導体の製造事業を総括するサムスン電子のチョン・ウンスン社長に「自信はありますか」と尋ね、チョン社長は「今までやり遂げてきたように、必ずやり遂げます」と答えた。文大統領は、現場を去るときにイ副会長の背中をたたいた。

文在寅大統領が30日、京畿道のサムスン電子華城事業場で開かれた「システム半導体ビジョン宣言式」に参加し、世界で初めて極端紫外線(EUV)工程7ナノで出荷されたウェハーチップに署名している。左端がイ・ジェヨン・サムスン電子副会長=華城/大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 この日の行事は、22日に大統領府と政府が非メモリー半導体、バイオ、未来型自動車を「3大重点育成産業」に選定して以来、最初の大統領の歩みだ。第1四半期の国内経済成長率が-0.3%と集計された中で、非メモリー半導体を中心とした非メモリー半導体産業に政府主導でドライブをかけると対外的に公表したのだ。

 サムスン電子もまた、最近のメモリー半導体不振の直撃弾を受けて、非メモリー分野での拡張をこれ以上先送りできなくなり、呼吸が合ったものと分析されている。この日発表された第1四半期実績で、サムスン電子の営業利益は10四半期ぶりの最低実績だった。

 専門家らは、非メモリー半導体の育成自体には共感しているが、政府の経済基調変化に対しては深い懸念を示している。最近、所得主導成長と革新成長に関する政府の意志が後退したのではないかという指摘と符合している。執権3年目を迎えたが、商法と公正取引法の改正など公正経済および財閥改革に関連した成果は見られないという評価もある。非メモリー半導体とともに育成産業に選ばれた未来型自動車に関しては、現代自動車の水素自動車事業が主人公に選ばれる。「非メモリー-サムスン電子」に続き、「未来型自動車-現代自動車」に政府が腕をまくりあげて取り組むことにより、財閥大企業中心の環境がいっそう確固としたものにならざるを得なくなった。

 経済改革連帯の所長を務めるキム・ウチャン高麗大学教授(経営学)は、「文在寅政府は、過去のように財閥に頼らずに、中小企業、ベンチャー企業など他の部分の革新を通じて成長を引き出すと言ってきたが、この日の形態は結局過去の政府と同じように財閥の助けを借りて経済を少しでも良く見せようとする誘惑に負けた」とし、「財閥大企業に頼る経済基調に回帰した」と批判した。

 大統領直属の国民経済諮問会議マクロ経済分科の議長であるチュ・サンヨン建国大学教授(経済学)は、「この日の歩みは所得主導成長や中小企業との産業環境を強調した革新成長の基調と合わない」とし、「経済成長率の展望が良くない状態で、顕著な成果を上げなければならないという圧迫感があるようだ」と話した。

 今回の歩みのタイミングに関しても裏話がささやかれている。イ副会長の横領・わいろ供与容疑に対する最高裁(大法院)宣告が5月に予想されているなかで、大統領が直接“支持”する歩みを見せることが適切かということだ。イ副会長の経営継承と関連して、サムソンバイオロジクスに対する検察の捜査も進行中だ。昨年2月、2審で執行猶予により釈放されたイ副会長は、5月1日にいわゆる“サムスン総帥”になってから1年をむかえる。

ソン・ギョンファ、チェ・ハヤン、シン・ダウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/892164.html韓国語原文入力:2019-04-30 19:43
訳J.S

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