北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が24日頃、ロシアのプーチン大統領と首脳会談をする可能性が高いという見通しが示される中、金委員長の儀典を総括するキム・チャンソン北朝鮮国務委員会部長がロシアのウラジオストク駅周辺を視察する姿が、17日に日本の放送カメラにとらえられた。ロシアメディアも同日、金委員長の訪ロに向けた準備が実際進められていると報じた。
フジテレビ系列のFNNは、キム部長が同日午後、ウラジオストク駅の周辺を視察する様子を報じた。キム部長はウラジオストクを訪問した理由を聞く取材陣の質問には答えなかったが、同メディアはキム部長が朝ロ首脳会談の準備をしている可能性があると報道した。金委員長のロシア訪問が近く行われるという説は、先月の金委員長の儀典を担当しているキム・チャンソン部長が6泊7日にわたりロシアを訪問して以来、後を絶たなかった。キム部長は1、2回目の朝米首脳会談前にも、現地で会談場や宿泊先、動線などを点検した。
共同通信も同日、ロシア政府当局者を引用し、北朝鮮の警備担当者など大規模な団体が、23日に高麗(コリョ)航空の臨時便でウラジオストクに到着する予定だと報じた。彼らが金委員長の警護団である可能性があるということだ。平壌(ピョンヤン)発の北朝鮮高麗航空所属の旅客機が23日午前、ロシアのウラジオストクに向かう予定というニュースは16日、マスコミ報道を通じて知られた。同メディアは極東沿海地方当局者の話を引用し、金委員長が24日、ウラジオストクのルスキー島で首脳会談をする可能性があると報道した。ただし、同当局者は「プーチン大統領と金委員長の会談が確定したという事実は確認されていない」とし、「北朝鮮の状況によって計画が変更される可能性もある」という外交筋の話を伝えた。金委員長は特別列車を利用してロシアに到着する可能性が高いという。まだロシア政府は、朝ロ首脳会談の具体的な時期と場所を公式確認していない。
ロシアの日刊紙「イズベスチヤ」は同日付で、ロシア外務省消息筋を引用し、「8年ぶりに開催される両国の首脳会談が、ウラジオストクで開かれるものと予想される」とし、「プーチン大統領が26~27日、中国北京で開かれる一帯一路首脳フォーラムへの出席に先立ち、ウラジオストクで金委員長と会談するものとみられる」と報じた。ただし、同消息筋は、金委員長が「即興的な人」であるため、日程を変更する可能性も排除できないと付け加えた。
同メディアは、ロシア側が今回の会談で国連安保理の対北朝鮮制裁の緩和の必要性を強調するという外交消息筋の見通しも報道した。他の専門家は、両首脳が朝ロ間の経済協力をはじめ、両国関係について協議する一方、金委員長の「社会主義経済への全力集中」路線および非核化問題に関する北朝鮮のアプローチに対し、ロシアが政治的支持を表明する可能性が高いと予想した。安保理の対北朝鮮制裁決議によって、今年末まで全員を送還しなければならないロシア内の北朝鮮労働者の滞在問題が提起される可能性もあるという見通しも示された。
現地の「リア・ノーボスチ」通信も同日、沿海州ウラジオストクの極東連邦大学で、一部の建物が閉鎖されるなど、会談を準備する動きが見られたと報じた。同通信は消息筋を引用し、「ウラジオストクにある極東連邦大学のキャンパス内で、朝ロ首脳会談が開かれるものとみられる」とし、「大学内の1棟が閉鎖され、これが会談準備と関連したものとみられる」と報道した。
同日、スポーツセンターには「技術的理由で17~30日は閉鎖する」という告知が、この施設のある建物には「金正恩(委員長)の訪問で、17~24日まで閉鎖する」という説明文が張り出されたという。実際、同大学関係者は「建物内のすべての施設を閉鎖する。プーチン大統領の到着と(朝ロ)会談に向けた準備が進められている」と話したと、同通信は報じた。ウラジオストクのホテル施設が相対的に良くないため、極東連邦大学は最も有力な首脳会談の場所とされる。
一方、金委員長の訪ロ説が流れる中、米国務省はスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表が17~18日、ロシアのモスクワを訪問するとし、「ビーガン特別代表がロシア当局者らと会談し、北朝鮮の最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)を進展させるための努力について話し合う予定」だと、16日(現地時間)に発表した。