セウォル号惨事以降、“安全”が韓国社会の重要な社会的価値として浮上し、関連法制度の改善が行われてきたにもかかわらず、安全事故はむしろ増えたことが分かった。特に、船舶事故はセウォル号以前より4倍程度増加したことが調査で明らかになった。災害管理政策とシステムを再整備すべきという声が高まっている。
15日、ハンギョレが行政安全部の災難年鑑を分析した結果、セウォル号沈没事故が起きる前の3年間(2011~2013年)と比べ、セウォル号事故発生以降の3年間(2015~2017年)の安全事故がむしろ増えたことが分かった。2011~2013年の全体事故発生件数は88万5265件だったが、2015~2017年にはこの数値が91万599件だった。2014年のセウォル号惨事以降、安全関連法令が強化され、各種規制が行われたが、年平均約8千件がセウォル号事故以前よりも増えたのだ。分析対象の事故は、道路交通や火災、山火事、列車、地下鉄、爆発、海洋、ガス、有線・導線、電気(感電)、崩壊、墜落、レジャー(生活体育)、アミューズメント施設などの24分野だ。
特に船舶事故の増加が目立つ。遊船(遊覧船)・渡船(旅客船・貨物船など、近距離を航海する小型船舶)事故は、セウォル号惨事以前は3年間で計16件が発生したが、セウォル号惨事以降は3年間で計66件が発生し、4倍以上急増した。長距離旅客船や貨物船、タンカーなど大型船舶(海洋)事故も、セウォル号惨事以前は3年間で4434件が発生したが、事件以降は3年間で8739件が起きた。304人が犠牲になったセウォル号事故以降、関連事故が2倍ほど増加したのだ。長距離大型船舶は遊船・渡船より数が多く、長距離を運航するため、相対的に事故件数が多い。
自然災害ではなくセウォル号惨事のような大型事故を意味する社会的災難も、毎年増えている。社会的災難は、セウォル号惨事以前の2011~2013年にはそれぞれ3、2、7件だったが、惨事翌年の2015年に7件、2016年に12件、2017年には16件へと大幅に増えた。セウォル号惨事が発生した2014年には、社会的災難が16件だった。社会的災難による死傷者も、セウォル号以前の3年間は72人(死亡者19人、負傷者53人)だったが、セウォル号惨事以降の3年間は387人(死亡者139人、負傷者は248人)で、5倍以上急増した。
専門家らは、災害管理システムを再整備しなければならないと口をそろえている。安全社会市民連帯のチェ・チャンウ常任代表は「現在、安全を総括する省庁の行政安全部は、安全を行政の観点から捉えており、効率万能主義に陥っている」とし、「安全だけを実質的に担当するコントロールタワーの省庁が必要だ」と話した。
一方、セウォル号以降、災難に対して厳しくなった社会的雰囲気が統計に反映されたという指摘もある。海洋警察庁の関係者は「セウォル号事故以降、国民の警戒心が高くなり、以前は通報しなかった軽微な事故まで通報する場合が多い」とし、「海洋・船舶事故の統計が増えたのにはこうした影響もある」と話した。