日帝強制占領期(日本の植民地時代)の勤労挺身隊の被害者らが三菱重工業を相手取って起こした韓国内資産の差し押さえ申請を、裁判所が認めた。
「勤労挺身隊女性と共にする市民の会」は26日、「大田(テジョン)地裁が22日、三菱重工業の商標権2件と特許6件に対する差し押え命令の申請を承認した」と明らかにした。これにより、三菱の当該資産は“凍結”された。勤労挺身隊損害賠償訴訟代理人団のキム・ジョンヒ弁護士は「三菱の対応を待つのは意味がないと思う。三菱の国内所有の財産は凍結したので、特許権などに対する換価手続に入る予定」だと述べた。換価手続は、差し押さえた特許権を競売し、金銭に換えることを意味する。
勤労挺身隊被害者4人が、裁判所に提起した差し押さえ債権額は8億400万ウォン(約7800万円)だ。キム弁護士は「特許権の財産価値を確認することはできないが、一般的な大企業の特許権価値金額を考慮すると、債権額を上回るとみられる」と述べた。
これに先立ち、日本側は換価手続が始まり日本企業が財産上の被害を被ることになれば、経済報復などの措置を取る方針を示した。菅義偉官房長官は同日、大田地裁の財産差し押さえ決定について「韓国政府が韓日請求権協定違反状態を是正する具体的措置を取らず、原告側による差し押さえが進んでいることを極めて深刻に受け止めている」としながらも、「日本企業の正当な経済活動という観点から、関係企業と緊密に連絡を取りながら、一貫した立場に基づき適切に対応していく」という従来の原則を再確認した。
外交部当局者は「韓国政府は司法府の判断には介入しないという原則を守るつもりだ。ただちに日本企業の経済的損失が発生するわけではないため、日本が経済報復など韓日関係をさらに悪化させる措置に踏み切ることはないだろう」と述べた。聖公会大学のヤン・ギホ教授は「差し押さえ資産を現金化する段階ではないため、日本が直ちに(報復)措置を取るような状況ではない。ただし、被害者が高齢なので、現金化を遅らせることはできず、近く現金化に乗り出すことになれば、日本が強く反発するだろう」と予想した。