韓国最高裁判所(大法院)の強制徴用被害に対する賠償判決をめぐり、韓日関係が冷却した中、14日に開かれた韓日外交部局長級協議で、両国は「経済報復」などによる状況悪化を避けるのが望ましいということに共感したという。
キム・ヨンギル外交部北東アジア局長と日本外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は同日午後、ソウル外務省庁舎で1時間45分間にわたり韓日関係の懸案について協議し、最近日本政府当局者らが「経済報復」に触れたことについても「率直な話を交わした」と、外交部当局者は伝えた。この場でキム局長は「日本が強制徴用の賠償判決問題を両国関係全般と結び付けるのは望ましくなく、韓日関係に否定的な影響を及ぼさないよう慎重に対応してほしい」と求めたと、外交部当局者は伝えた。同当局者は「(日本の)対応措置の不適切性と、特にマスコミにこうした問題が集中するのは望ましくないという立場を明確に伝えた」とし、「外交当局間にはこうしたことが起きないよう協力し、努力していくことで意見の一致を見た」と述べた。麻生太郎日本副首相は12日、「関税に限らず、送金停止やビザ発給の停止など、様々な報復措置が考えられる」と述べた。
しかし、強制徴用問題の解決をめぐる双方の立場は、平行線をたどったものと見られる。韓日請求権協定第3条1項に基づき、日本政府が今年1月9日に要請した「外交的な協議」に韓国が応じるよう求める金杉局長に対し、キム局長は「諸要素を考慮して綿密に検討中」という従来の立場を繰り返したという。日本は強制徴用問題において日本企業の不利益を避ける対策を韓国が設けるよう要請したと、共同通信が報じた。日本は、釜山(プサン)日本領事館の近くに設置された強制徴用労働者像についても憂慮を示したという。
経済報復については、日本企業の間でも憂慮と慎重な態度を求める声が上がっている。日本が韓国から得る経済的利益に打撃を与えかねないためだ。昨年、日本を訪問した韓国観光客は753万人以上で、約830万人の中国についで第2位だ。韓国人に対するビザ発給の停止は、観光客数の急減につながると、日本経済新聞が14日付で報じた。昨年、韓国の対日貿易赤字が約240億ドルに達しており、韓国に進出した日本企業の85%が黒字を出している状況で、日本が韓国産製品の輸入関税を引き上げて貿易摩擦が生じれば、日本企業もかなりの打撃を受けることになる。
強制徴用被害者らの勝訴後も、新日鉄住金や三菱など日本企業が損害賠償を拒否している状況で、被害者らはこれら企業の資産に対する強制売却手続きをいつ始めるべきか悩んでいるという。新日鉄住金の被害者を代理するイム・ジェソン弁護士は14日、ハンギョレとの電話インタビューで、「今は何も言えない。後で一括発表する」と述べた。三菱強制徴用被害者訴訟を代理するイ・サンガプ弁護士は「判決が確定した被害者だけが賠償されるのではなく、他の問題も共に解決できるかどうか、調べている」とし、「日本政府は報復関税などを取り上げることで、戦犯企業問題とは関係のない韓日関係を全面的に破綻させるやり方で対応している」と批判した。