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人工血管メーカー、ゴア社「直ちに人工血管20本を供給」

登録:2019-03-12 06:07 修正:2019-03-12 07:38
緊急治療が必要な患者ら、近く手術受けられる見込み 
完全供給は今後、政府および患者団体と協議 
患者団体、歓迎しながらも全ての材料の供給を要求 
政府、医療関連多国籍企業への共同対応策を模索
韓国先天性心臓病患友会のメンバーらが2017年5月、「治療材料は心臓病の子どもたちの生命です」キャンペーンの一環として、人工血管の供給を要求するプラカードを持って撮った写真=アン・サンホ韓国先天性心臓病患友会代表提供//ハンギョレ新聞社

 多国籍医療企業のゴア社が11日、小児心臓疾患の手術に必要な人工血管20個を直ちに供給すると発表した。これによって、先天性心臓病を患い、治療が急がれるにもかかわらず、人工血管がなくて手術が無期限延期されてきた子どもたちが、近く手術を受けられる見込みだ。

 患者団体と政府は歓迎の意を示しながらも、再供給の具体的な時期と手術に必要なあらゆる種類の製品が供給されるかなどに神経を尖らせている。子どもの先天性心臓疾患の手術に必要な人工血管などを供給してきたゴア社は、2017年9月に韓国から撤退しており、最近、病院があらかじめ確保しておいた人工血管の在庫が底をついたため、小児心臓疾患者が手術を受けられない状況に陥った。

 保健福祉部と食品医薬品安全処は同日、ゴア社が小児心臓手術に必ず必要な小児用人工血管20本を直ちに供給することにしたと発表した。これは保健当局が米国のゴア社本社を訪問するため、日程を協議する書簡にゴア社が答えたことで明らかになったという。ゴア社は、撤退以前のようにすべての治療材料を供給することについては、韓国政府との対話を通じて、できるだけ早期に解決するという立場を示している。食薬処は「(人工血管)20本の優先供給は、1週間から10日ほどかかる見込みだ」とし、「早ければ今週中に米国で全体供給について話し合う予定だが、医療界が要請した材料はすべて供給してもらう方向で協議を進める」と明らかにした。

 これに先立ち、ゴア社は同日午後、公式の立場文を発表し、「2017年に韓国市場における医療機器事業の終了を決定しており、その後、患者の家族や医療団体、政府関係者から、こうした決定の見直しを求める要請があった」としたうえで、「ゴア社だけが提供可能で、医療上必須とされるものの韓国市場では代替品のない医療機器については、制限的に再供給することについて積極的に検討している」と明らかにした。しかし、ゴア社は人工血管の再供給時期については具体的に言及せず、2017年に韓国市場から撤退した理由も明かさなかった。

 ゴア社は、子どもたちの心臓手術に必要な人工血管の種類と量を把握し、再供給に必要な韓国の規制要求事項を遵守できるよう、医師や患者弁護団体、政府関係者らと協議していることも明らかにした。これまで韓国の患者団体や医師らが必須だとして再供給を要請した各製品の種類について、ゴア社側は「一部の製品は、ほかのメーカーを通じて購入できる」という立場を示し、意見の隔たりがあった。

 政府と患者団体は歓迎の意を示しながらも、手術に必要な人工血管のすべての種類と量を供給してもらう方向で協議を進めるべきという立場だ。ちなみに、今回在庫が底をついた人工血管は、2016年の場合、50本が国内で使われた。福祉部の関係者は「米ゴア社本社との本格的な協議の前に良い知らせが届いた」と話した。アン・サンホ韓国先天性心臓病患友会代表は「先週末、電話でゴア社は子どもたちの心臓手術に必要な人工血管は供給するという立場を示した」とし、「当該種類の人工血管がなく、手術を受けられない子どもたちの問題は解決されるものとみられる」と話した。また、アン代表は「ただし、具体的な供給時期がまだ確定しておらず、これについて話し合っており、必要な人工血管の一部の種類については、国内の医療陣とゴア社との間に意見の隔たりがあるため、2017年撤退以前のように心臓手術に必要な人工血管などをすべて供給するよう要請している」と明らかにした。

 一方、ゴア社のように希少な医薬品や治療材料を独占生産・供給する多国籍医療企業の問題と関連し、パク・ヌンフ保健福祉部長官は同日、「2019年保健福祉部業務計画」を発表し、「5月の世界保健機関(WHO)総会で、この問題をアジェンダとして正式に提起する」と述べた。多国籍医療関連企業と政府との間で、価格や許可、審査などをめぐる対立を解消する解決策を国際的に模索するということだ。パク長官は「多国籍製薬会社や医療機器会社が、独占供給する製品をめぐり、独占・寡占の専横を極めている」とし、「独占製品の場合には、一国の力だけで対処するのが非常に難しく、他国政府との共同対処が必要だ」と述べた。

キム・ヤンジュン医療専門記者、ファン・イェラン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/885497.html韓国語原文入力:2019-03-11 21:23
訳H.J

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