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国境を完全に開けないのなら【寄稿】

登録:2026-05-05 01:19 修正:2026-05-05 08:09
チャン・ヨンウク|対外経済政策研究院 研究委員
民主労総、金属労組、移住労組などの組合員が昨年4月27日午前、ソウル鍾路区の普信閣前で開催された「2025世界労働者の日 移民労働者メーデー」で、移住労働者の強制送還や危険の移民化をやめるよう求めている=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 チームリーダーになって以降、たまに職員採用面接に立ち会う。「ブラインド採用」の対象になっているため年齢、出身地、家族関係、身体条件などの個人情報を安易に尋ねてはならない。偏見を振り払い、実力のみを検証して人材を選抜するという趣旨だ。韓国の公共機関でブラインド採用が全面導入されたのは2017年で、すでに10年が経過しつつある。2019年から採用手続法に「個人情報の要求の禁止」条項が新設され、民間企業も求職者に職務と無関係な情報を求めることはできなくなっている。

 しかし、外国人には異なる基準が適用される。例えば、雇用許可制で入国する外国人労働者は、性別や年齢はもちろん、出身地、婚姻状況、身長と体重まで事業主に伝えられる。外国人は直接面接ができないため、書類上でできるだけ多くの情報を提供する、というのが雇用労働部の説明だ。一方ではうなずけるものの、国内法に明示されている「職務と無関係な個人情報の要求禁止」条項が外国人に対しては非常にたやすく無力化されているように感じられ、苦々しく思う。

 韓国人には認められている改善が外国人にはなかなか実現しないことは、これ以外にも多い。まず労働災害をみてみよう。労災保険加入者の数に対する被災者の数を示す「災害率」は、1994年には1.18%だったが、昨年は0.65%にまで低下している。しかし、最近の外国人の災害率は保守的に見積もっても1.22%で、30年前の水準に戻ってしまっている。2024年の外国人1万人当たりの業務上の事故による死者数は1.5人で、これは25年前の2000年の韓国人死者数とほぼ同じだ。賃金未払いはどうだろうか。公式に記録されている数だけを見ても、外国人の未払い被害労働者は100人あたり2.3人で、韓国人(1.4人)よりはるかに多い。通報すらできずに出国した外国人まで含めれば、その差はさらに広がるだろう。

 その他には何があるだろうか。外国人は所持しているビザに応じて在留期間が定められているため、その期限を超えると「違法な人間」となってしまう。あるビザは事業所の変更を制限しているため、仕事が気に入らなくても自由に転職できない。別のビザは地域まで限定しているため、移動の自由すら制限される。韓国人には当然与えられる法的権利も、外国人にとっては未だ来ぬ未来だ。取り締まりの対象となってしまうと令状もなしに拘禁され、裁判もなしに国外追放される。また、外国人は見た目や言語が異なるという理由で、たやすく嘲笑や差別や暴力の対象となる。大統領がひとこと言ってくれればまだしも、ほとんどの外国人にとって被害は身近で、救済は遠い。

 もはや認めるべきだ。外国人は韓国人と同等ではない。「私たち」の境界は主に家族や友人や地域や民族の中に引かれる。腕は内側に曲がるものだから、ウクライナやパレスチナやイランで空爆で死んだ他国の子どもたちよりも、昼休みのサッカーで膝をすりむいた自分の子どもの方がかわいそうに感じる。外国人が韓国に来たがっているなら韓国の利益に奉仕する人間でなければならず、多少の差別は我慢すべきだ、国境と統制と移民の選別は近代民族国家において避けられない選択肢だ、というのが外国人を境界の外へと追いやる「私たち」の本音だ。

 このような移民制度の選別性と硬直性は、多くの悲劇の原因となる。韓国人の就きたがらない仕事を埋めようとするものだから、外国人は自然と労働環境の劣悪な職場に集まり、様々な被害にさらされやすくなる。雇用と在留資格が結びついているため、外国人はすでに制限されている権利さえ自由に行使できない。労働条件が悪くても、雇用主や同僚に嘲笑されても、仕事中にケガをしても、給料がもらえなくても、韓国に残って働くために外国人は耐えなければならない。現在のような移民制度の下では、外国人は韓国人と同等にはなりえない。つらいが、それが現実だ。

 現実はそのまま認めつつ、できないこととできることを区別しよう。国境の完全な開放は不可能だ。代わりに、韓国人と外国人いずれにとっても不利な環境を改善することは可能だ。例えば、外国人就労者の70%が従事する30人未満の事業所の災害率は、大企業の1.5倍以上だ。やはり外国人が集中する機械・金属製造業、造船業、建設業は事故リスクが最も高い業種だ。賃金未払いもほとんどが零細事業所で発生している。韓国人のために小規模かつ高リスクな事業所を保護すれば、そこで働く外国人も共に保護できる。そして、それは社会全体の基準を引き上げるに等しい。韓国人と外国人が同等な権利を享受することは現実的に不可能かもしれないが、最も劣悪な状況にある人々の権益と安全を保障することは今すぐできる。そこから始めよう。

//ハンギョレ新聞社

チャン・ヨンウク|対外経済政策研究院 研究委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1256515.html韓国語原文入力:2026-04-29 19:05
訳D.K

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