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[ニュース分析]韓日“レーダー葛藤”収拾…沈殿物として残った争点

登録:2019-01-23 22:29 修正:2019-01-24 06:54
日本が公開した火器管制レーダーの探知音は証拠と言えるか 
追跡レーダーの特性はその通りだが韓国は「運用していない」 
日本哨戒機の近接飛行は、広開土大王艦を威嚇したか 
「以前には抗議しなかったではないか」という主張に 
「その時とはパターンが違う」 
韓日の対立は韓米日軍事協力で解けるだろうか 
国防部、米国の仲裁を否定しながらも「状況を交感し情報を共有」
日本防衛省が21日に公開したレーダー探知音ファイルを紹介するホームページ画面の一部//ハンギョレ新聞社

 日本の哨戒機による威嚇飛行と、韓国の駆逐艦の射撃統制(火器管制)レーダー照準の有無をめぐる韓日の対立が、日本政府の「協議中断宣言」で収拾手順に入った。事実関係に対する異見が解消されない状態で、お互いが出口を探す姿だ。韓国政府は「対話の門」はずっと開いていると明らかにしたが、先に手を差し出しはしない様子だ。両国をいっとき熱い紛争へ追い込んだ核心の争点はそっくり沈殿物として残ることになった。

■哨戒機のレーダー探知音は証拠と言えるか

 日本防衛省は21日、ホームページに上げた「最終見解」で、哨戒機が捕捉したという「火器管制レーダー探知音」と一般的な「探索レーダー探知音」のファイルを公開した。火器管制レーダー探知音の特性を見せるため、二つを比較できるようにしたのだ。防衛省が公開した火器管制レーダー探知音は「ピピピー」という音が18秒程度連続的につながっている。一方、探索レーダー探知音は2~3秒間隔で「ピーッ、ピーッ、ピーッ」という音が21秒ほど断続的に鳴る。

 レーダーの専門家たちは、防衛省が公開した火器管制レーダー探知音が追跡レーダー探知音の特性を持っていると認めている。追跡レーダーは、標的を休むことなく“指向”しているので、音波に変換すれば連続的な音が出るということだ。軍関係者はこれを「レーダーが標的を捉えた」と表現する。探索レーダーは、一定の間隔を置いて回転しながら標的を探すので、断続的な音が出る。探索レーダーは時々回転を止め標的に集中したりもするが、そのときには連続的な音が出る。

 昨年12月20日、北朝鮮漁船の救助に出動した広開土大王艦は、回転型探索レーダー(MW-08)を指向性では運用しなかった。当時近くにいた警察艇のサムボン号もレーダーを稼動したが、やはり標的を指向してはいない。日本の哨戒機がこれを探知したといっても、連続的な音が出ることはない。結局、残るのは広開土大王艦の追跡レーダー(STIR)だけだ。広開土大王艦が当時、日本の哨戒機に向かって火器管制レーダーを照準したと主張する日本の根拠がここにある。日本が言う火器管制レーダーも追跡レーダーを指すと国防部は説明している。

 しかし、国防部はこれだけでは広開土大王艦が日本の哨戒機に向かって追跡レーダーを照準したとは断定できないと反論する。国防部関係者は「レーダーを特定するには、探知日時、方位、周波数、電磁波特性を一緒に調査するべきだが、日本が公開した探知音はそのうちの一つにすぎない」と話した。チェ・ヒョンス国防部報道官が、日本の防衛省が公開した火器管制レーダー探知音を「実体が分からない機械音」と一蹴したのもそのためだ。国防部関係者は「日本はシンガポール実務協議でも電磁波接触音を聞かせると言ったが、私たちは探知時間などを明らかにしない情報は聞く必要がないとして拒否した」と話した。

 国防部の一部では、日本が公開した火器管制レーダー探知音の信憑性を疑う見解もある。広開土大王艦が追跡レーダーを稼動していない状況で、日本の哨戒機が指向性レーダーの特性である連続音を探知したということ自体が疑わしいということだ。それなら日本がありもしないものを作り出したことになる。国防部関係者は「日本が公開した探知音が当時取得した電磁波受信音ということすら確定できない」と話す。国防部は「当時の状況と同じ条件で実施した2度の戦闘実験、乗務補助員インタビュー、戦闘体系および保存された資料分析などを通して、当時韓国艦艇から追跡レーダーは照射されなかったという明白で科学的な結論に到達した」と強調する。

 日本防衛省は、哨戒機の「レーダー警報受信機」(RWR)情報を軍事機密として公開していない。もし日本の哨戒機が、広開土大王艦の追跡レーダー照準を受けたとすれば、レーダー警報受信機から警報が鳴り、画面には時間と方位角などが表示される。日本が今回公開した探知音は、他の電子戦装備で捕捉したものだ。国防部関係者は「日本が先立って公開した動画を見れば、乗務員が『レーダーが見て(observed)いる』と言っている」として「もし、レーダー警報受信機が作動したとすれば『レーダーが探知した(detected)』と言っただろう」と指摘する。

 一部の軍事専門家たちは、サムボン号のレーダーと広開土大王艦の追跡レーダー周波数帯域が似ているため、日本の哨戒機がこれを誤認したのではないかという見方を提起している。だが、日本が公開した火器管制レーダー探知音は連続的だ。日本の哨戒機がサムボン号のレーダーを探知したのだとすれば、断続的な音が出なければならない。日本の哨戒機の電子戦装備が誤作動した可能性も提起されている。軍事専門家たちは「レーダー警報受信機が誤作動する場合もたびたびある」と話す。だが、日本がこれを告白しない限り確認することはできない。

■哨戒機の低空飛行は脅威なのか

 日本防衛省は「最終見解」の中で、昨年4月と8月の3回にわたり哨戒機が韓国海軍の艦艇に低空で近接したことがあるが、その時は韓国政府は何の問題も提起しなかったと指摘した。その時は黙っていながら、なぜ今回は抗議するのかということだ。哨戒機の威嚇飛行を強調する韓国の対応は一貫性を欠いているという主張だ。韓国が今回の事件の焦点を「レーダーから威嚇飛行」に移そうとしているという不満がそこにはある。

 国防部は、日本が挙論した状況と今回のケースとでは、哨戒機の飛行パターンが違うと反論する。当時は、日本の哨戒機が1~2キロメートル外側で飛行したが、今回は500メートルまで接近したということだ。問題を提起しなかった理由については、当時は韓日軍事当局間に信頼があったためと説明する。国防部関係者は「私たちが広開土大王艦の救助作戦状況を日本に十分に説明したのに、日本が一方的に哨戒機が射撃統制レーダーを照射されたと発表し、動画を公開するなど友好国としての信頼を破った」と話した。

 哨戒機が国際民間航空機構(ICAO)規定で規定された安全高度150メートルを守ったという日本の主張に対しても、韓国は不快感を示す。国際民間航空機構の規定は、軍用機には該当しないのに日本が我を張っているということだ。国防部関係者は「日本が言う150メートルは、民間航空機も人や建物がない場合に安全のために遵守しなければならない最低高度」として「日本が主張するように十分な高度ではなく、必ず避けなければならない低高度ということは常識」と話した。

 日本防衛省は「最終見解」で、当時の天候は快晴だったと主張した。波が高く気象が悪く救助作戦に手を焼いていたという韓国の説明に反論したのだ。実際、当時日本の哨戒機が撮影した動画を見れば、気象条件が劣悪だとは見られない。国防部は、動画を正確に見るようにと反論する。国防部は「気象庁の天気予報でも分かるように、当時波が1.5~2メートル程度と高く、遭難救助環境が良くなかった」として「このような状況は日本の動画に見られる海上の白波や、韓国の動画に見られる救命艇の水平線の傾きからも十分感じることができる」と明らかにした。

 海でよく体験する困難のうちの一つが通信不良だ。当時、哨戒機と広開土大王艦がやりとりした通信についても、異見がきっ抗する。日本は当時、3種類の無線呼び出しを試みたと主張している。しかし、韓国は1種類の呼び出しだけで、それもかろうじて聴取できたと主張する。「受信が可能だった呼び出しも、雑音過多、受信感度不良、日本側操縦士の不正確な英語発音などにより、内容を理解することは難しかった」ということだ。それと共に、残りの2回の呼び出しはまったく録音すらされていないと強調する。韓国は、2回の呼び出しが実際に送出されたのか、確認できるよう録音ファイルなどを見せてほしいと日本に要請したが、回答はなかったと国防部は明らかにした。

■韓日葛藤か韓米日協力か

 日本防衛省が「最終見解」で「協議中断」を宣言した直後、チェ・ヒョンス国防部報道官は記者会見を開き、遺憾を表明した。それと共に「韓国政府は強固な韓米連合防衛体制とともに韓日安保協力強化のための努力は持続発展させて行く」と明らかにした。韓米日防衛協力を強調した日本防衛省の「最終見解」と脈を一にする。地域安保レベルで韓日の対立が深まることを憂慮した米国の立場を反映したものではないかとの分析が出ている。

 実際、日本の一部マスコミは、日本政府が突然「協議中断」を宣言した背景に韓日の対立の拡散を望まない米国の要請があった可能性があるとの分析を出した。米国が韓日対立を仲裁したのではないかとの観測だ。国防部は、米国の仲裁はなかったと説明する。ある高位関係者は「米国が仲裁したという話は公式に聞いたことがない」として「ただし、韓国の状況を米国側と交感し、情報を共有した」と話した。しかし「交感し共有」と仲裁の間の距離は遠くない。

 国際的な世論戦にまで飛び火した今回の紛争は、今後の韓日関係に沈殿物として残ることになった。韓国最高裁(大法院)の強制徴用判決と韓国政府の和解・癒やし財団解散、そしてこれに対する日本の反発でぐらついた韓日関係に負担がさらに加わった。安倍晋三首相としては、韓国の脅威を仮定し宣伝することにより軍事的歩みを強化できる機会をつかんだ。こうした構図が強化されれば、韓日軍事協力にも一定のブレーキがかかりかねない。国防部は、今回の事案と韓日軍事秘密情報保護協定(GSOMIA)を直ちに関連づけはしないと明らかにした。国防部の高位関係者は「協定問題は別途の検討手順を踏み、今年8月頃に延長の可否を決めることになる」と話した。

ユ・ガンムン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/879500.html韓国語原文入力:2019-01-23 14:52
訳J.S

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