大学生の時、北朝鮮の3代世襲を“嘲弄”する文を載せて、国家保安法違反の疑いで捜査を受けたクォン・ヨンソク氏が、6年越しで「嫌疑なし」処分を受けた。2011年、ツイッターに北朝鮮を嘲弄する文を書いたパク・ジョングン氏が捜査で始まった「リツイート保安法」事件が続々と“無罪”や“嫌疑なし”の結論で終えられた。
クォン氏は2日、ソウル中央地検から「被疑事件処分結果通知書」を受け取った。「国家保安法違反(称揚.・鼓舞など)被疑事件に関して下記のように処分したのでお知らせします。嫌疑なし。2018年12月21日」
クォン氏は、処分日から6年8カ月前の2012年4月26日、忠清南道天安(チョナン)の自身のアパートを家宅捜索された。ツイッターで@yawooriというアカウントを使ったクォン氏がツイート・リツイートした文が国家保安法第7条(称揚・鼓舞など)に違反したという理由だった。
アパートの管理事務所から来たと言ってドアを開けさせた人々は自室に入るなり急変した。ソウル地方警察庁保安捜査隊の捜査官は、クォン氏のパソコンを調べ、書斎にある本を押収した。日記帳、アルバムも例外ではなかった。クォン氏は「個人的な記録と“マルクス”や“社会主義”という単語が入った本はすべて持っていった。授業のテキスト、論文も含まれた」と話した。当時クォン氏は、国民大社会学科の学生だった。
その後クォン氏は、表札もないソウルのある保安分室で12時間ずつ調査を受けた。警察は「学生は資本主義社会の矛盾をなくすには社会主義社会を実現すべきだと見るのか?」 「資本主義はなぜ崩壊すると思うのか?」などの質問をしたという。クォン氏は、自身が作成したツイートとリツイートの一つ一つに対して作成の経緯とリツイートの理由を説明しなければならなかった。「金正日(キム・ジョンイル)は栄養素が豊富です」といういたずらの文まで説明を要求された。クォン氏は当時「北朝鮮政権を鼓舞・称賛するためのものでなく『金正日が拳でミサイルを叩き落とした』などの北朝鮮の首領崇拝体制を批判またはからかうためのもの」と説明したが、効果はなかった。
これに先立って、彼とともに社会党で活動していた友人のパク・ジョングン氏が、クォン氏と同じくいたずらと嘲弄の意味で上げたツイッター文のために警察の捜査を受けた。警察は2011年9月21日、パク氏の自宅などに対する家宅捜索を始め、北朝鮮を嘲弄する文すらも国家保安法違反の疑いで捜査した。「私たち民族どうし」など北朝鮮のアカウントが作成した文をリツイートしたり、「将軍様、ペペロ(韓国のポッキー)ください」 「金正日国防委員長の死亡に弔意を表わし、弔問の代わりに朝鮮民主主義人民共和国にウラニウムとプルトニウムを弔意を込めて送ります」などの文が捜査対象になった。
パク氏は捜査が始まってから3年後の2014年8月28日、最高裁(大法院)で最終無罪判決を受けた。同様な理由で2012年10月から捜査を受けたキム・ジョンド氏も、2016年5月頃「取調べ終結」処分を受けた。最後にクォン氏が先月嫌疑なし処分を受けて「リツイート保安法」と呼ばれた警察の国家保安法捜査は捜査対象者に苦痛を残しただけですべて終えられた。