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[ニュース分析]主要日程前に訪中した金委員長…朝米首脳会談が差し迫ったシグナル?

登録:2019-01-09 06:02 修正:2021-07-05 08:22
金委員長の訪中意図とは
北朝鮮の金正恩国務委員長と李雪主夫人が今月7日、平壌で党と政府関係者たちの歓送を受けながら、特別列車に向かう様子を朝鮮中央通信が8日付で報道した=平壌/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の4度目の訪中は、ドナルド・トランプ米大統領の相次ぐ発言で、朝米首脳会談への期待が高まっている中で行われた。トランプ大統領との2回目の会談を控え、金委員長が「先に動く」という決心を固め、それに伴う危険管理のレベルで、中国という“安全弁”を確認しようとしているものと見られる。

 まず、金委員長の今回の訪中は、朝米首脳会談の準備を本格化する信号弾と言える。金委員長は新年の辞で「いつでもまた米大統領と向かい合う準備」ができているとし、2回目の朝米首脳会談に対する決心を明らかにした。金委員長が中国の習近平国家主席に会いに行ったのは、“交渉戦略”をめぐり具体的な協議をする準備ができていることを示唆するものとみることができる。朝鮮半島問題に詳しい元政府高官は「金委員長が2回目の朝米首脳会談で、トランプ大統領に提示する“プラスアルファ”(追加措置)を決心したと見てもよさそうだ」と話した。

金委員長、重大な日程のたびに習主席と会談 
朝米首脳会談が差し迫ったことを示唆 
 
制裁の緩和と体制保証が切実な北朝鮮 
“中国という安全弁”を再確認 
対米交渉の突破口を見出すための布石 
 
新年の辞で言及した「多国間交渉」の構想 
習主席と具体的に協議するとの見通しも

金委員長の第1~4回訪中の日程と特徴//ハンギョレ新聞社

 金委員長が主要な政治日程を前後に中国を訪問してきた前例から、朝米首脳会談が予想より早く開催される可能性が高いと見られている。金委員長の第1回訪中(2018年3月)は昨年初の南北首脳会談(4月27日)と「核・経済並進路線」からの転換を公式化した労働党中央委第7期第3回全員会議(4月20日)を控えて行われた。第2回訪中(5月7~8日)は、史上初の朝米首脳会談(6月12日)に先立って実現しており、第3回訪中は朝米首脳会談直後(6月19-20日)に行われた。慶南大学極東問題研究所のイ・グァンセ所長は「(金委員長の訪中が)3回とも朝米首脳会談などの前後に行われたことから、朝米会談が差し迫っているものとみられる」と話した。

 金委員長が今回の訪中で狙う効果としてはいくつか挙げられる。まず、金委員長が“正面突破”の危険を分散させるため、“安全弁”の役割を果たせる習主席の意志を確認しようという意図が見られる。金委員長の3度目の訪中当時、習主席は金委員長に「国際・地域状況と関係なく、朝中関係の発展や北朝鮮人民に対する友好的感情、社会主義北朝鮮に対する中国の支持は変わらない」と約束した。元国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル首席研究委員も「昨年5月の朝中首脳会談で、金委員長は朝鮮半島の非核化を確実に推進すれば、習主席が体制安全と経済的繁栄を保証するとしたことを、今回再確認したいと考えているだろう」と話した。これには、今後、適切な時期に国連安全保障理事会で中国が対北朝鮮制裁の緩和を求める案や、北朝鮮の非核化過程で発生する南北の通常戦力の不均衡と関連した協力、経済的支援の要請などが含まれる可能性がある。金委員長が習主席の早期訪朝を促すことも考えられる。

 これをもとに、金委員長は対北朝鮮制裁の緩和や体制保証、平和体制の構築を要求する対米圧迫手段の確保を目指すものと見られる。北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「金委員長は朝中協力関係を誇示し、米国に対して体制保証と制裁緩和をしなければ、“友人”中国がいるというメッセージを送っている」と指摘した。特に、金委員長が新年の辞で言及した「平和体制への転換に向けた多国間交渉」の構想を習主席と共有し、具体化するものと見られている。

 (2回目の朝米首脳会談と関連し)金委員長の訪中以降、トランプ政権の動きがカギとなる。昨年、金委員長の訪中後には、毎回マイク・ポンペオ米国務長官が訪朝したからだ。ポンペオ長官またはそれに準ずる米国の高官が訪朝すれば、2回目の朝米首脳会談に進む重要なポイントになる見通しだ。

キム・ジウン、イ・ジェフン、パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/877539.html韓国語原文入力:2019-01-09 01:04
訳H.J

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