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「平壌周辺まで外資誘致、果敢…北朝鮮はエマージングマーケット」

登録:2018-12-19 23:36 修正:2018-12-20 10:04
インタビュー/韓国初『北朝鮮投資法制解説』出したチェ・ジェウン弁護士 
 
北朝鮮投資法制を総網羅…「投資リスクを綿密に確認すべき」 
リスク最小化のために韓国・中国・多国籍の“帽子”を選択できる 
「北朝鮮の代わりにベトナム選択オプションも持って交渉すべき」 
 
「北朝鮮、投資誘致・知的財産権への関心、日増しに高まる」 
「資本誘致、道路・鉄道より港湾・空港から乗り出す」 
「外国資本も韓国のローファ
チェ・ジェウン弁護士(法務法人パルン)//ハンギョレ新聞社

 「世界の多くの国と平等・互恵の原則の下に経済技術協力と交流を拡大発展させていくことは、朝鮮民主主義人民共和国の一貫した政策だ…(わが共和国に対する)世界の多くの国の企業の投資熱が顕著に増大している。外国投資家が、共和国の対外経済法律制度、投資政策、投資環境に対する十分な理解を持ってわが国に対する投資の促進に尽くすことになることを願う」

 18日、チェ・ジェウン弁護士(39、法務法人パルン)が、ハンギョレとのインタビューの席に持って来た『朝鮮民主主義人民共和国法規集(対外経済部門)』(2014年)と『朝鮮民主主義人民共和国投資案内』(2016年、朝鮮対外経済投資協力委員会)パンフレットの序文に出てくる内容だ。チェ弁護士らパルン所属弁護士5人(北朝鮮投資チーム)は、11月30日『北朝鮮投資法制解説』(博英社)を出した。「南北経済協力法」など韓国企業の北朝鮮投資関連4法、1984年に制定された「合弁法」など、外国企業の北朝鮮投資関連7法、「税関法」・「土地賃貸法」などその他の投資に関する北朝鮮6法を扱っている。北朝鮮の投資関連法制を総網羅した本としては国内初だ。

高麗ホテルから眺めた平壌市内の日の出=平壌写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 「過去の金正日(キム・ジョンイル)時代の北朝鮮の経済特区は、平壌からはるか離れた国境地帯や開城(ケソン)、金剛山(クムガンサン)、新義州(シンウィジュ)・羅津(ナジン)・先鋒(ソンボン)などだった反面、金正恩(キム・ジョンウン)時代の対外開放戦略の中心である経済開発区は、平壌周辺に集中配置している。金策工科大の資源を産学協力に活用し組み合わせようとしているとも見える。北朝鮮の投資誘致政策が少しずつ首都の中心に入るなど果敢になっている」。もちろん北朝鮮投資はリスクが大きい。彼は「北朝鮮投資を、民族的協力の観点を跳び越えて、魅力ある投資先、すなわちエマージングマーケットとしてアプローチする必要がある。新興市場は投資収益率が高い反面、それだけリスクも大きい。「投資先」としての北朝鮮市場を冷静かつ客観的に判断し、どのようにリスクヘッジするのか、また北朝鮮投資以後のエクジット(出口戦略)する時のリスクをどのように最小化すべきかを、投資関連法制度を通じて確認する必要がある」と話した。

 彼はまた「リスク判断により北朝鮮をあきらめて、ベトナムを選択することもできる」としながら「韓国の企業・資本は心の中で民族的観点を考慮するだろうが、そうしたオプションを同時に携えていてこそリスクの低い対北朝鮮交渉を正しくでき、それは北朝鮮自体も長期的には改革・開放で成功する道」と付け加えた。チェ弁護士は、北京現地の法律事務所での勤務経験を持つ「中国通」であり、国内企業の吸収・合併、会社分割、資産譲受契約を担当したディールの専門家だ。

『北朝鮮投資法制解説』(博英社)//ハンギョレ新聞社

 外国資本投資に関連した北朝鮮法の特徴は「二元的」な点にある。韓国企業が直接投資する場合には南北経済協力法などが適用され、他の外国資本が投資する時には外国人投資法が適用される。「これが北朝鮮が特定国家に賦課するリスクを減らすための最適な投資構造選択の際の長所になりうる。投資条件が良い側を選択すれば良い。すなわち、韓国企業が中国資本と合作して中国の帽子をかぶって北朝鮮に入る事もでき、ジョイント合作多国籍企業として北朝鮮に進出することもできる。反対に、外国資本が南北経済協力法を適用される方が有利だと判断すれば、韓国に合作投資会社を設立し韓国企業の帽子をかぶって北朝鮮に投資することもできる」。

 北朝鮮の投資法は多くの種類が制定されているが、条文はとても短く、また簡易な口語体になっている。例えば5、6ページに過ぎない合弁法は、わずか46個の条文で構成されている。韓国の会社法(合計935の条文)中、第3編の商法は468個の条文に及ぶ。「難解でかたい韓国の法律文面とは違い、北朝鮮法はおもしろいが、ただし北朝鮮の経済・投資法が概して不明確なので細部事項を恣意的に解釈する余地があり、下位規定の整備が必要で、そのために北朝鮮投資の際に作成することになる契約書は厚くならざるをえないだろう」。

 彼は、統一部の南北交流協力法制度諮問委員として活動している。「南北の法律家が会って、南北の経済関連法律システムと基準を整備しておけば、後日の統一費用も減らすことになる」。韓国と類似した法律体系が取りそろえられれば、外国資本が北朝鮮に投資する際に主に韓国のローファームに契約業務を任せることになるだろうし、韓国資本とのジョイント投資も好まれることになるという話だ。「北朝鮮に進出した外国の建設会社の場合、北朝鮮当局が渡した設計図面を持って施工することは難しいという。理解が難しいためだ。北朝鮮投資法も同じだ。外国資本が、北朝鮮と投資契約を結ぶ時、結局は韓国のローファームを通じることにならざるを得ない」。

 彼は、北朝鮮の社会間接資本施設に対する外国投資協力は「道路・鉄道」分野が実際には最も遅くなると北朝鮮投資の専門家たちは見通していると伝えた。「多くの専門家は、北朝鮮が先に港湾・空港を中心に外国資本投資を起こすと見ている。港湾は特定地域の“点”なので、その地域だけの出入口など内部取り締まりをすれば良いが、鉄道・道路は連結された“線”なので、北朝鮮の多くの地域を通過するのを住民が日常的に目撃することになり、そのために開放をめぐる憶測がはびこりかねないという点を北朝鮮当局が憂慮しているためだ」。だが、北朝鮮の市場開放と知的財産権などの所有権に対する関心が高まっているのは明らかだ。それに沿うならば最近、韓国の北朝鮮法研究会が北朝鮮法典の原典を入手して非営利の学術目的で出している事実を北朝鮮当局が知り、最近南に通知書を送ってきて「なぜ著作権料を支払わないのか」と問題を提起したという。

『朝鮮民主主義人民共和国投資案内』(2016年、朝鮮対外経済投資協力委員会)と『朝鮮民主主義人民共和国法規集(対外経済部門)』//ハンギョレ新聞社

 国際社会の対北朝鮮経済制裁と関連して彼は「今年、中国出張で聞いた話だが、最近北京のKOTRA(大韓貿易投資振興公社)事務所に中国の公安取り締まり班が寄って行ったという。韓国の『朝鮮日報』新聞の購読料送金の内訳を“北朝鮮”送金と誤解したようだ」と伝えた。それほど中国も対北朝鮮制裁に慎重になっているという話だ。「最近、北朝鮮の朝鮮弁護士会のメンバーが大挙して中国を訪問し、中国企業の北朝鮮投資を要請したという話もある。北朝鮮の不動産に投資しようとする中国資本も増えている」。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/874993.html韓国語原文入力:2018-12-19 19:47
訳J.S

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