首都圏の経済集中に劣らず問題になるのは大学集中だ。大学だからといってみな同じ大学ではない。韓国人が絶対的価値を与える序列が最も徹底的に貫かれるのが大学だ。殺伐とした入学戦争が繰り広げられる序列の高い大学の80%以上がソウルに集中している。
最近18人の死傷者を出したソウルの考試院(簡易宿泊施設)の火災事件で明らかになったように、考試院は到底家とはいえないくらい住居条件が非常に劣悪だ。考試院や長屋、そして漫画喫茶やチムジルバン(サウナつき公共風呂)など、多重利用業者のような「家でない家」に居住する人の数に関する正確な統計はない。多くは228万世帯と推定するが、その数が多かれ少なかれ、韓国社会が目を背けてはならない人権問題と見るのが正しい。
漢陽大学建築学部のハム・インソン教授は「なぜ考試院はタワーパレスより高いのか」という文で、タワーパレスの3.3平方メートル当たりの家賃は11万6000ウォン(約1万1800円)で、考試院は13万6000ウォン(約1万3800円)だった。彼は考試院の「存在理由であり競争力の源泉」をこのように説明する。「職場、情報、文化、交流から疎外されず、短い通勤時間が保障されるなら、個人空間が「地獄苦(チオクコ)」(半地下部屋、屋上部屋、考試院の頭文字をとった言葉)にあるのは問題ではない。良い立地は“江南”くらい希少で、低成長および1、2人世帯の増加により競争はさらに加速するため、考試院は当分は市場の支配者であるだろう」
そうだ。まさに職場への距離が問題の核心だ。「家でない家」の首都圏集中度に対する正確な統計もやはりないが、考試院の80%が首都圏に集中しているということは何を示しているのか。首都圏の経済集中度と同様だというのは偶然だろうか。首都圏の経済集中を解消せず、このような「新住居難民」の人権問題を解決することができるだろうか。
首都圏の経済集中に劣らず問題になるのは大学集中だ。大学だからといってみな同じ大学ではない。韓国人が絶対的価値を与える序列が最も徹底的に貫かれるのがまさに大学だ。殺伐とした入学戦争が繰り広げられる序列の高い大学の80%以上がソウルに集中している。ソウルの序列をそのまま受け継いだためだ。ソウルはこの大学たちをストローとして利用しながら、地方の学生と金を吸い込んでいる。ソウルの学生の35%程を占める地方の学生たちが住居問題で負わねばならない苦痛は、序列に対する対価にしてはあまりにも苛酷だ。
経済と大学だけがそうなのではない。政治、社会、文化、メディアなど全分野にわたって地方は韓国の「内部植民地」だ。「植民地」という言葉を聞くのがぞっとするという理由で、真実から目を背けてはならない。これは地域の問題というよりは階級の問題だ。地方世論を支配する土豪階級は、ソウルに家の一つは持っているため、内部の植民地体制に熱を上げる必要はない。ソウルの不動産価格が跳ね上がれば遠征投機や投資に乗り出し、子どもらはソウルに住まわせているので何も問題はない。政府が推進した大学の定員削減の75%が地方大学で行われたが、地方で大きな反発が出ていないのは、「自分の子どもはソウルに送ればいい」という考えのためだ。内部植民地体制によって苦痛を負うのは首都圏と地方の貧しい人々だけで、これを地域の問題と見ると答えは出ない。
機会均等社会という当為には万人が同意するふりをするが、韓国は機会均等を抑圧する社会だ。どこに住んでいるのかということだけで富と権力と社会文化的機会に対する距離が決まる社会を当然視しながら叫ぶ機会均等は欺瞞だ。「序列社会」を内蔵しているソウルの超集中化は、相手を押さえてこそ自分が勝つ「ゼロサムゲーム」を基盤とする勝者独占社会の温床として「戦争のような暮らし」を強要する。そのような暮らしに恐怖を感じる人は出産まであきらめ、「悪夢」といわれた出産率1.05人は今年0人台に落ちる見込みだ。
ところが、驚くべきことはこうした「戦争のような暮らし」とソウルの超集中化は何の関係もないと信じる錯覚だ。高麗大学のチェ・ジャンジプ名誉教授は「民主化以降、韓国社会が悪化しているという証拠の一つは首都圏への中央集中化がさらに深まったという事実だ」と慨嘆したが、この悲劇にはそうした錯覚も一役買った。今になって地方分権で問題を解決しようというのは、不均衡発展の責任を回避する“食い逃げ”の可能性が高い。マ・ガンレ教授の最近の著書『地方分権が地方を駄目にする』をぜひ読んでみてほしい。
ソウル超集中化社会で学校は序列の決定の手段にすぎず、社会的価値の涵養とは関係がない。大学生は自分が通っている大学、小学生は自分が住むマンションの序列を基準に、低い序列に属する人を差別するよう学び、その学びを能動的に実践する。こうした状況では0人台の出産率はもちろん、「政治の私有化」から「パワハラ」に至るまで、韓国社会の主要な問題を解決することはできない。ソウルの超集中化のスローガンは「悔しければ出世せよ」だからだ。