朝米高官級会談を11月に開催することが困難になったものと見られる。米国の非核化履行要求と、これに対する北朝鮮の制裁緩和要求など、相応の措置をめぐる両者の激しい神経戦が膠着状態に陥っているというのが、大方の専門家らの分析だ。
北朝鮮は、今月8日に予定されていた北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長とマイク・ポンペオ米国務長官による高官級会談の取消しを前日に通知してから、26日(現地時間)まで米国の側が提示した「11月末」の会談日程に返信していないと、ワシントンの外交筋が伝えた。ポンペオ長官が29日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため、トランプ大統領と共にアルゼンチンへ出国する予定であることを考慮すると、高官級会談は事実上12月に持ち越されるものと見られる。
北朝鮮が11月末の高官級会談の開催に応じなかった理由については、様々な分析がある。まず、北朝鮮の民生分野の制裁緩和の要求が挙げられる。匿名を求めたワシントン消息筋は「北朝鮮は、米国が暗黙的にでも国連制裁の緩和措置を約束しなければ、朝米高官級会談の開催は難しいという立場だと聞いている」と伝えた。
一部では、米国が北朝鮮に要求する敷居もかなり高いものと見ている。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル首席研究委員は「北朝鮮が望む制裁解除の条件として、米国は米本土を脅かす北朝鮮の核弾頭の60%と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を、合意後の6~8カ月以内に国外に搬出すべきという要求を固守しているため、これに強く反発する北朝鮮との接点を見出せずにいるものと見られる」と話した。「12月総和」を控えた北朝鮮が内部的に対外戦略を再整備しているため、会談の日程を決められずにいるという分析もある。
しかし、現在の状況で、朝米両国の対話への意志は変わっていないものと見られる。今月中旬、北朝鮮は不法入国した米国人一人を抑留から1カ月後に解放しており、米国は韓米トクスリ演習の縮小を発表すると共に、南北鉄道共同調査を国連安保理の制裁例外として認めた。
また米国は、第2回朝米首脳会談を1月に開催することを数回にわたって再確認した。このため、トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国防委員長の交渉スタイルから、12月中旬までに議題や警護、儀典などについて事前協議が行われれば、「1月の首脳会談」は依然として可能だという見方が優勢だ。北韓大学院大学のヤン・ムジン教授も「対話基調そのものが変わるような状況ではない」と指摘した。
こうした状況で、朝米交渉の突破口を開くためには、30日~12月1日の主要20カ国・地域首脳会議をきっかけに推進中の韓米首脳会談で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の仲裁が重要だという声が高まっている。チョ首席研究委員は「韓米首脳会談で、朝米が受け入れられる仲裁案を文大統領が提示し、トランプ大統領を説得して突破口を見出さなければならない」と強調した。