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「韓国の大企業労働者の賃金、米・日・仏より最大50%多い」

登録:2018-11-27 21:18 修正:2018-11-28 16:13
経済社会労働委、雇用創出・両極化解消政策討論会 
ノ・ミンソン「大企業の賃金は米・日・仏の1.2~1.5倍 
大企業-中小企業間の賃金格差は先進国以上に深刻」 
500人以上の大企業の賃金の国際比較は初 
チョ・ソンジェ「財閥の“ウチだけ高賃金戦略”放棄すべき 
労組の“賃金最大化戦略”も“平準化”に変えるべき」 
社会的対話で大企業労使に譲歩を要請する可能性
「大企業の平均賃金国際比較」※韓国は2017年、米国・フランスは2015年、日本は2016年基準、国家別購買力平価(PPP)基準資料:経済社会労働委員会政策討論会(ノ・ミンソン中小企業研究院研究委員資料より引用)//ハンギョレ新聞社

 韓国の大企業の賃金が米国・日本・フランスの大企業より最大で50%多いという研究結果が発表された。大企業-中小企業間の賃金両極化を改善するには、大企業労働組合の“賃金最大化戦略”と財閥の“ウチだけ高賃金”戦略を同時に放棄すべきという代案が提示された。

 経済社会労働委員会(委員長ムン・ソンヒョン)が27日、ソウル市中区(チュング)太平路(テピョンノ)のプレスセンターで開いた「両極化解消と良質な雇用創出」政策討論会で、中小企業研究院のノ・ミンソン研究委員は「韓国の大企業-中小企業間の賃金格差は先進国以上に大きい」と発表した。

 ノ研究委員の資料によれば、韓国の500人以上の大企業に所属する従業員1人当りの月平均賃金(2017年基準)を100とした時、従業員1~4人の企業と5~9人の企業の賃金はそれぞれ32.6%、48.3%に過ぎない。一方、アメリカ(2015年基準)ではそれぞれ78.8%と64.8%、日本(2016年基準)では65.1%と72.6%、フランス(2015年基準)では58.8%と63.4%だ。

 また、韓国の従業員1人当りの平均賃金は3302ドルで、アメリカ(4200ドル)、日本(3504ドル)、フランス(3811ドル)の78.6~94.2%の水準だったが、韓国の500人以上の大企業の月平均賃金は6097ドルで、アメリカ(4736ドル)、日本(4079ドル)、フランス(5238ドル)の116.4~149.5%水準で逆に高い。国別平均賃金は、物価などを考慮した購買力平価基準で算出された。

「企業規模別平均賃金国際比較」※韓国は2017年、米国・フランスは2015年、日本は2016年基準、国家別購買力平価(PPP)基準資料:経済社会労働委員会政策討論会(ノ・ミンソン中小企業研究院研究委員資料より引用)//ハンギョレ新聞社

 韓国の大-中小企業間の賃金格差が深刻化し、一部大企業の正規職労働者の高賃金に対する批判が提起されている中で、従業員500人以上の大企業を基準として国際比較がなされたのは初めてだ。この日討論者として立ったチョン・スングク中央僧伽大学教授は「大企業-中小企業間の不平等構造の主な受恵者層は、大企業の正規職労働者」と指摘した。ノ研究委員は「韓国は10人未満の零細企業で仕事をする労働者が43%に達する」として「韓国の賃金格差問題は、零細企業の従事者の割合が低い先進国以上に深刻だ」と強調した。

 大企業の正規職が中心の労働運動の“賃金最大化戦略”と、財閥大企業の“ウチだけ高賃金戦略”を共に放棄すべきとの主張も出てきた。チョ・ソンジェ韓国労働研究院労使関係研究本部長は「労組は賃金最大化戦略を修正し、賃金の平準化ないしは連帯賃金戦略を採択し、賃金だけでなく雇用安定まで総合的に考慮しなければならない」として「使用者も日本の事例のように労組との調整行動を通じて賃金格差を減らし、雇用安定が中心の包容と統合の労使関係および雇用システム構築のために努力しなければならない」と主張した。

 韓国経済の成長潜在力と革新の可能性を拡充するためにも、労働市場の二重化を解消しなければならないという主張も提起された。チョ本部長は「大企業・公企業・正規職などの1次労働市場と、中小企業・非正規職などの2次労働市場がそれぞれ違う原理で作動する労働市場の二重化が固着されている」として「大企業は、少数の正規職だけを雇用して、非主要業務をアウトソーシングする方式で外部の低賃金労働者を活用し、単価引き下げなどを通じて中小企業の支払能力を制約し、中小企業の労働者は高い賃金を受け取る可能性が源泉封鎖されている」と分析した。彼は「韓国社会が雇用の質の悪化と賃金格差拡大の悪循環に陥り、社会統合性を害して労働力をはじめとする資源の円滑な移動を遮り、韓国経済の成長潜在力と革新の可能性も縮小させている」と指摘した。

 今回の討論会は、22日の労・使・政社会的対話のための経済社会労働委員会のスタートに合わせて、社会両極化の改善と良質な雇用創出という核心課題を解決する目的で開かれた会であり、6月に構成された「両極化解消のための良質な雇用創出委員会」の研究結果が発表された。

 経済社会労働委が今後の社会的対話に政策討論会の結果を反映するならば、大企業の労使に対して中小企業と非正規職労働者に対する譲歩を要求する可能性が高いという点で注目される。金属労組現代自動車支部のハ・プヨン支部長も3月、ハンギョレとのインタビューで、大企業の賃金は少しだけ上げ、中小企業・非正規職の賃金は大きく上げる“下厚上薄の連帯賃金”を提案し「賃金格差を減らすには、現代自動車労組の運動の方向を変えなければならない」と明らかにしたことがある。

クァク・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/871966.html韓国語原文入力:2018-11-27 18:28
訳J.S

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