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7万円→6万円…60歳以上の世帯主の事業所得がガタ落ち

登録:2018-11-26 10:04 修正:2018-11-26 16:44
ベビーブーム世代、自営業に集中し 
昨年の創業者の75%が60歳以上 
内需沈滞も重なり人生第2幕に“冷や水”  
移転所得など全体所得は増加
60歳世帯の月平均事業所得の推移(資料:統計庁)//ハンギョレ新聞社

 引退後、創業で「人生の第2幕」を開く60歳以上の高齢世帯主の事業所得が大幅に減ったことが分かった。第1次ベビーブーム(1955~63年生まれ)世代が急速に引退世代に編入され、自営業市場の過当競争が激しくなる中、内需景気の低迷まで重なったためとみられる。

 統計庁が25日に発表した国家統計ポータルによると、今年の第3四半期(7~9月)の60歳以上の世帯主がいる世帯の事業所得は61万2000ウォン(約6万1000円)で、1年前の同期間より11万1000ウォン減少した。60歳以上の世帯の事業所得が10万ウォン以上減ったのは、家計動向の調査が始まった2003年以降初めてのことだ。

 60歳以上の世帯主の中には、職場で定年を迎えた後、自営業などに飛び込んだ引退世代が多く含まれているものと推定される。これに対し60歳以上の世帯主の家計所得を見ると、事業所得の割合が高い方だ。実際、今年第3四半期全体の世帯の平均勤労所得は328万ウォン(約32万7千円)で、事業所得(93万5千ウォン)の3.5倍水準だったが、60歳以上の世帯主の場合は勤労所得が157万6000ウォン(約15万7千円)で、事業所得の2.5倍に止まった。これら60歳以上の世帯主の事業所得が減少したのは、ベビーブーム世代の創業ブームが影響を与えたものと見られる。1970~80年代の高度成長を支えた第1次ベビーブーム世代は700万人にのぼると推算されるが、引退年齢に達すると雇用市場から急激に離脱している。彼らがコーヒー専門店やチキン店、コンビニエンスストアなど、参入の敷居が低いフランチャイズの創業に乗り出し、自営業市場が飽和状態になっているというのが政府の分析だ。

 実際、統計庁の全国事業体調査によると、昨年末現在で60歳以上が事業主である事業体は87万5千社余りで、1年間で5万2千社(6.3%)増えたものと集計された。同期間、全体の事業体が7万件余り増えたことを考慮すれば、全体事業体の75%程度を60歳以上の事業主が創業したという意味だ。

 さらに、内需低迷など社会経済的要因が加わり、60歳以上の高齢世帯主の事業所得の減少に影響を及ぼしたものと推定される。統計庁が発表する産業活動動向によると、零細自営業者の割合が高い宿泊・飲食店業の生産は、昨年10月以降減少を続けている。

 ただ、60歳以上の世帯主の勤労所得と移転所得が大きく上昇し、全体の所得は338万3千ウォン(33万7500円)で、昨年より12.8%も増えた。特に、基礎年金の拡大などの影響で年金・手当などを意味する移転所得が過去最大幅の増加となり、初めて100万ウォンを突破した。これによって租税、社会保険料の納付など非消費支出を除いて自由に使える可処分所得も同じく269万3千ウォン(26万8700円)を記録し、昨年の同四半期(241万5千ウォン)より11.5%増えた。統計庁の関係者は「60歳以上世帯の事業所得は世帯主だけでなく、配偶者、世帯員ともに減り、減少幅が大きかった」と指摘した。

ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/871711.html韓国語原文入力:2018-11-2520:41
訳M.C

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