「私の命が尽きるまでは支援金が出てくるから、私の全財産をはたいて後援するから、だから私たちの朝鮮学校の生徒たち、一生懸命勉強して、この国が統一されて平和の道がしっかり開かれるまでに立派な人になってください」
22日、ソウル市西大門区(ソデムング)のセブランス病院の病室に横たわるキム・ボクトンさん(93)の痩せた手には、一枚の小切手があった。在日朝鮮学校の生徒たちの奨学金として使うとして出した3千万ウォン(約300万円)だ。日本軍性奴隷制(慰安婦)被害者のキムさんは、在日同胞の子どもたちに対する愛情がことのほか深い。幼くして日本軍に連れて行かれたキムさんは、学校教育をまともに受けることができなかった。そのためか、日本政府の支援をまともに受けられずにいる在日朝鮮学校の生徒たちがことさら気になる。
キムさんは、2014年に基金として5千万ウォン(約500万円)を出し、奨学財団「キム・ボクトンの希望」が作られた。9月には台風で被害を被った朝鮮学校を復旧するとして1千万ウォン(約100万円)を追加で寄付し、自ら大阪朝鮮学校を訪問もした。この奨学基金で現在、朝鮮学校の学生6人が年に25万円(約250万ウォン)ずつ学費を支援されている。この日、キムさんが寄付した3千万ウォンで、来年からは学生10人が奨学金を受け取ることができるだろうと尹美香(ユン・ミヒャン)正義記憶連帯代表は23日話した。
最近、キムさんはガン闘病中だ。21日に伝えられた和解・癒やし財団のニュースが、キムさんにはそれでも「遅くなったが幸運」だった。翌日の22日午前、キムさんは退院して、キル・ウォンオクさんとともに生活した憩いの場「平和の我が家」に戻った。24時間看病人の介助を受けなければならないほどキムさんの健康状態はよくない。尹美香代表は「療養病院に移れるようにしようとしたが、ハルモニは憩いの場に行くことを希望された」と話した。キムさんの願いは「安倍に真心こもった謝罪を受けること」だ。そしてもう一つ、「在日同胞に頑張って欲しい」と言う。キムさんは、全財産の5千万ウォンから3千万ウォンを今回奨学基金として寄付した。「今回3千万ウォン、次は2千万ウォン、すっかりはたいて(学生たちに)与えたい」