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5日前に手術受けたキム・ボクトンさん「悔しくて出てきた」

登録:2018-09-04 06:11 修正:2018-09-05 15:01
外交部の前で20分間、雨の中で1人デモ  
「和解・癒やし財団の解散、政府は何をしているのか」 
正義記憶連帯、9月中に「第2回国民行動」に乗り出す
日本軍性奴隷制(慰安婦)被害者のキム・ボクトンさんが今月3日午前、ソウル鍾路区政府ソウル庁舎別館の前で「和解・癒やし財団」の解散を求めて、1でデモを行っている=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 いきなり暴雨が降り出した3日午前9時に、日本軍性奴隷制(慰安婦)被害者であり、女性人権活動家のキム・ボクトンさんがソウル鍾路区(チョンノグ)の外交部の前に立った。白い合羽を着て車椅子に座り、「和解・癒やし財団は直ちに解散」と書かれた黄色いプラカードを持ったキムさんの声はガンと闘っているという事実を忘れるほど、りんとしていた。彼女は「日本とは私たちが闘うから、政府は和解財団とか○○財団とかいうものを解散してほしい」と叫んだ。

 92歳のキムさんは現在、お腹の中に広がったガンと闘っている。わずか一週間前の27日に新村(シンチョン)セブランス病院で、腹腔鏡手術を受けた。キムさんは「手術を受けて、病室で横になっていると、悔しくてたまらなかったから、何でもいいから声をあげようと思って、出てきた」とし、1人デモに出てきた理由を明らかにした。ハン・ギョンヒ「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義記憶連帯)事務総長は「ハルモニが重い病気を患っているため、1人デモを止めたが、とても頑固で止め切れなかった」と話した。

 降りしきる雨の中で、キムさんは記者団に「私たちが慰労金を受け、少女像を撤去することにしたという人もいるが、そんなおかしなことがあるか。私たちが慰労金を受け取るために、これまで闘ったと思うのか。慰労金億を1千億ウォンをくれるとしても、受け取るわけにはいかない。返すべきだとすれば返さなくては」として、和解・癒やし財団の解散を急がない政府を批判した。さらに、キムさんは「南北関係の問題もあって、これまで私たちが(和解・癒やし財団の解散問題について)あまり声を挙げなかったが、政府は依然として手をこまねいている」としたうえで、「大統領府も外交部長官も信じられない」と話した。さらに、「政府だけでなく、国民を考えて一日も早く財団を解散し、平和の道を開いてほしい」と訴えた。

日本軍性奴隷制(慰安婦)被害者のキム・ボクトンさんが今月3日午前、ソウル鍾路区政府ソウル庁舎別館の前で「和解・癒やし財団」の解散を求めて、1でデモを行っている=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 キムさんは、政府に財団の解散を求める発言を約5分間にわたって続けた後、すぐに車に乗らず、「ここに日本の記者も来ているか」と、日本記者を探した。現場を取材していた朝日新聞の武田肇ソウル支局員が、キムさんのそばに腰を低くして座ると、ハルモニは訴え始めた。「私たちは多くは望まない。自分(日本)が(慰安婦を強制動員)したと認め、記者たちを集めて許してほしいと言えば、私たちも許せるのではないか」。キムさんはこの話を日本の安倍晋三首相に伝えてほしいと、武田支局員に何度も言った。さらに、「老いたキム・ボクトンが『一日でも互いに仲良く暮らすためにも、安倍が乗り出さなければならない』と話していると、記事に書いてもらいたい、それができるか?」と尋ねた。武田支局員は「努力してみます」と答えた。

 和解・癒やし財団は、2015年12月28日「韓日慰安婦合意」から約7カ月後の2016年7月28日、公式発足した。財団は「韓日慰安婦合意」で受け取った10億円を執行する役割を任されていたが、被害生存者に支給されるべき資金が財団の運営費として使われるなど、問題が浮き彫りになった。これを受け、慰安婦被害者と正義記憶連帯などは財団の解散を要求してきた。特に和解・癒やし財団は昨年末に理事全員が辞任し、事実上、財団として機能を失った状態だ。

 しかし、政府は依然として、同財団に対する解散決定を下していない。李洛淵(イ・ナギョン)首相が先月国会で開かれた予算決算特別委員会全体会議で「和解・癒やし財団を年内に整理するという目標を立てている」と明らかにし、日本政府の出捐金10億円を韓国政府予算で代替するための予備費支出案も国務会議を通過した。しかし、正義記憶連帯は「和解・癒やし財団を解散せず、ただ日本の出捐金10億円を韓国政府予算で賄うのは、慰安婦被害者たちを欺瞞する行為」だと批判した。

 正義記憶連帯は3日、キムさんの1人デモを皮切りに、1カ月間、外交部とソウル中区にある和解・癒やし財団の前で「和解・癒やし財団の即刻解散」を求める第2回国民行動を行う。正義記憶連帯は先月6日から31日まで、和解治癒財団の前で毎日1人デモを行い、和解・癒やし財団の解散を求める第1回国民行動を行っている。ハン・ギョンヒ事務総長は「和解・癒やし財団の解散に対して、国家間の外交的合意を掲げる外交部の覚醒を促す」とし、「多くの市民たちが1人デモに参加している。9月中に政府の可視的な措置がなければ、その後は他の方法を考慮してみる」と話した。

チャン・スギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/860430.html韓国語原文入力:2018-09-03 22:44
訳H.J

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