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李首相「強制徴用判決めぐる日本の発言、妥当でも賢明でもない」

登録:2018-11-08 06:18 修正:2018-11-08 08:01
日本の外相など、度が過ぎる発言に沈黙を破り指摘
李洛淵首相//ハンギョレ新聞社

 李洛淵(イ・ナギョン)首相が最高裁(大法院)の強制徴用被害損害賠償判決を非難する河野太郎外相ら日本政府指導者らに対し、「妥当でも、賢明でもない」として、「深い懸念」を示した。韓国政府が強制徴用判決と関連し、日本政府に対して公に強い遺憾を表明したのは今回が初めてだ。

 李首相は7日、「韓国の司法府の強制徴用判決に関する日本政府の態度について」という立場文を発表し、「日帝強占期(日本の植民地時代)の韓国人強制徴用被害者に対する大韓民国裁判所の判決をめぐり、日本政府指導者らが過激な発言を続けていることに対し、深い懸念を表する」とし、「日本政府指導者らの発言は妥当でもなく、賢明でもない」述べた。李首相の立場表明は前日の6日、強制徴用判決を「暴挙であり国際秩序への挑戦」だと非難した日本の河野太郎外相に向けたもので、日本政府の指導者らの攻撃的な発言を座視しない意志を明らかにしたものとみられる。李首相は「日本政府指導者らが大韓民国の司法府の判断について不満を述べることはできる」としながらも、「しかし、日本政府指導者らがこの問題を外交的紛争に発展させようとしていることから、私もそれに対する意見を述べざるを得なくなったことを遺憾に思う」と明らかにした。

 李首相は立場文で、判決は外交事案ではないことを指摘し、「司法府の判断には政府が介入しないのが民主主義の根幹だ。日本政府指導者らもそれを知らないわけではないと思う」と述べた。さらに「最高裁の判決は1965年に日韓基本条約を否定したのではなく、その条約を認めながら、その土台の上で条約の適用範囲がどこまでなのかを判断したもの」だと説明した。李首相は関係省庁と民間の専門家が対応策作りに苦心している点を強調し、「強制徴用被害者の傷を癒すために最善を尽くす。韓国政府は韓日関係が未来志向的に発展することを望んでいることを繰り返し明らかにする」と述べた。

 大統領府の高官も同日、記者団に「日本政府が外で過度に韓国政府を批判することは、事態解決においてあまり役に立たない」と話した。大統領府は韓日両国の最近の雰囲気などを考慮し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がASEANおよびアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に出席するため、13~18日にシンガポールとパプアニューギニアを訪問する際、安倍晋三首相と首脳会談を行うことも難しいと明らかにした。

 同高官は「今の雰囲気は厳しい」とし、「ひとまず既存の政府の立場と異なる司法府の判決が下されたので、韓国政府の立場を整理しなければならない。少し時間がかかるかもしれない」と話した。一方、文大統領は今回の歴訪期間にロシアのプーチン大統領、オーストラリアのモリソン首相とそれぞれ首脳会談を予定しており、中国の習近平国家主席との会談も調整している。大統領府はまた、「米国側の要請でマイク・ペンス副大統領との面会も調整中だ」と明らかにした。

 一方、外交部も6日夜、「韓国政府は最近、日本の責任ある指導者らが、今回の最高裁の判決と関連し、問題の根源は度外視して、韓国国民の感情を刺激する発言を続けていることに対し、非常に憂慮している」との立場を示した。外交部は「韓国の司法府の判断に対し、節制されていない言葉で評価するなど、過剰対応していることについて、非常に遺憾だと言わざる得ない」と付け加えた。同日、チョ・ヒョン次官は長嶺安政駐韓日本大使を呼び、強制徴用被害者訴訟の判決に対する韓国政府の立場を伝えた。チョ次官は長嶺大使との面会で、河野太郎外相など日本政府高官の韓国に対する非難が度が過ぎていることを指摘し、今回の判決が韓日両国の他の協力に影響を与えないようにしようという意向を伝えたものとみられる。

 (以下は李洛淵首相の立場文)

 韓国司法部の強制徴用判決に関する日本政府の態度について

日帝強占期の韓国人強制徴用被害者に対する大韓民国最高裁判所の判決をめぐり、日本政府指導者らが過激な発言を続けていることに対し、深い憂慮を表する。

日本政府指導者らの発言は妥当でもなく、賢明でもない。

司法府の判断は政府間の外交事案ではない。司法府は法的判断だけを下す機関であり、司法府の判断には政府が介入しないのが民主主義の根幹だ。日本の政府指導者らもそれを知らないわけではないと思う。

大韓民国の最高裁の判決は、1965年の韓日基本条約を否定したものではなく、その条約を認めながら、その土台の上で条約の適用範囲がどこまでなのかを判断したものだ。判決文はそれを明確にしている。

私はこの問題に対する言及をできるだけ控え、政府関連省庁と民間専門家の知恵を集めて、対応策作りに取り組んでいる。

日本の政府指導者らが大韓民国の司法府の判断について不満を述べるとはできる。しかし、日本の政府指導者らがこの問題を外交的紛争に発展させようとしていることから、私もそれに対する意見を述べざるを得なくなったことを遺憾に思う。

日本政府指導者らの賢明な対処を要望する。韓国政府は強制徴用被害者の傷を癒すために最善を尽くす。韓国政府は韓日関係が未来志向的に発展することを望んでいるという点を繰り返し明らかにする。

2018. 11. 7.

大韓民国首相、李洛淵

ノ・ジウォン、キム・ボヒョプ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/869294.html韓国語原文入力:2018-11-07 23:09
訳H.J

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