全羅南道霊光(ヨングァン)の原子力発電所ハンビッ5号機の格納容器建物で、耐震性強化などのために設置されたH型の大型鉄骨(H-Beam)に締めつけられたボルト30本が、本来の位置からずれていることが確認された。これに先立ってハンビッ5号機は、昨年の計画予防整備時にも折れたりなくなっていたボルト5本が発見され、他の形態の代替物を溶接する補修工事を受けた。当該ボルトがこのように設計とは異なり本来の位置からずれていたり、破損していれば、強い地震が襲い格納容器の建物が揺れる時、H-Beamの動きを正しく制御できない恐れがある。これについて韓水原は、他の原子力発電所のボルトの状態も点検する計画だ。
26日、ハンギョレによる取材の結果、韓水原は今月3日H-Beamのボルトホール(穴)30カ所でボルトの位置が不適正であることを確認した。地上12.8メートルの高所に設置されたボルト27本、そして高さ18.3メートルのアンカーボルト3本の位置が設計基準からずれていた。今回の点検は、規制機関である原子力安全技術院のボルト位置点検要請に従ったものだ。安全技術院は、2015年蔚珍(ウルチン)のハンウル原子力発電所でH-Beamボルトの問題を初めて発見し、15~18カ月毎に実施される各原発の計画予防整備期間に合わせて韓水原にボルト状態の点検を要請していた。
問題のボルトは、当初の設計上はボルトホールの中心から3.9~14.8ミリメートルは動けるように作られている。これは、強い地震などで格納容器の建物が揺れる時、H-Beamが建物の壁の内側に囲まれた防護鉄壁(CLP)などに損傷を与えないようにするためには、壁とH-Beamの間にある程度の余裕空間(耐震間隙)が必要なためだ。また、格納容器建物のコンクリート壁を施工する時、壁の内側に鉄線(tendon)を埋めて固く引っ張る「ポストテンショニング」工法を使う過程で、壁の収縮のためにボルトの位置が変わりうることも考慮して設計された。ただし、こうした理由でボルトが移動しても、元の位置に戻るのが正常だが、現在は一部のボルトが完全に片側に片寄っている状態が確認された。
韓水原は、該当する30本のボルトが本来の位置からずれた原因として、ポストテンショニング工法以外にも、総合漏洩率試験を推定している。総合漏洩率試験とは、原子力発電所に事故が起きて、内部圧力が急上昇しても放射性物質が格納容器建物外に漏れないかを確認する機密性試験だ。概略10年周期で施行され、ハンビッ5号機は昨年この試験を経た。試験当時、格納容器内に形成された強い圧力のためにH-Beamが動いて、ボルトの一部が破損したのではないかという推定だ。
これに対してハン・ビョンソプ原子力安全研究所長は、「総合漏洩率試験などによってボルトが折れたり本来の位置からずれたとすれば、試験直後に措置をしなければならなかった」として「そのままにしておくならば、設計基準に何の意味があるのか」と指摘した。韓水原側は「今後、計画予防整備の度にボルトを全数調査して、基準に符合しない場合には補修する予定」と明らかにした。韓水原は、ハンビッ2号機と4号機でコンクリート壁の孔隙が多数発見されたことに伴う拡大調査も施行中だ。