本文に移動

[ニュース分析]原発6基が整備中でも予備電力“正常”…脱原発のせいにするのは飛躍

登録:2018-08-01 22:55 修正:2018-08-02 12:35
電力需給非常事態は脱原発のため?

「7.7%予備率」の落とし穴
同じ“1%”でも電力量は7年前の2倍
国民節電運動の時より3倍も“余裕あり”

予備電力は10%を越えるほど良い?
「捨てられる電気」だから料金上昇の要因
100万キロワットに2兆ウォン…適正量管理をすべき

原発稼動率わざと低くした?
原発7カ所致命的欠陥で「長期整備」
耐震強化され設備交換も不可避

連日続く猛暑の中で24日午後、ソウル明洞の韓国電力公社ソウル地域本部入口の電力需給現況版の電力予備率が、7%台を示している/聯合ニュース

 予想できない水準の猛暑が続き、電力需要量最高点が政府の展望値(8830万キロワット)を上回り、電力予備率が一時7%台まで落ちると、「脱原発政策のためだ」という声が大きくなっている。 脱原発反対陣営は「政府がエネルギー転換を強行しようと原発稼動率を人為的に下げ、その結果電力需給がギリギリになった」という主張を展開し、一部メディアがこれを膨らませている。

 だが、これは事実でない。 原発稼動率は一応高くなければならないという「おかしな信じ込み」と、予備率の実体を理解できていない「無知」とが作り出した誤った主張だという指摘が出ている。 実際に今年原発稼動率が低くなった最大の理由は、相当数の原子力発電所で安全を脅かす設備欠陥などが発見され、「長期間の整備」が必要となったためだ。さらに、「ブラックアウト」事態が起きた7年前に比べて予備率1%に該当する予備電力総量は2倍以上に増えた。 その間に発電設備総量が大幅に増えたためだ。

 25日、ハンギョレが国内原子力発電所23基(閉鎖決定されたウォルソン1号機は除外)の最近の計画予防整備期間と内容を総合してみた結果、100日以上長期間整備を受けて再稼働された原発が7カ所にのぼる。 計画予防整備とは、原子力安全法などにより15~18カ月単位で核燃料を交替し、設備点検および改善を行なうことだ。 法が定めた整備期間はないが、通常2~3カ月ほどかかる。 しかし最近2~3年の間に老朽原発のあちこちで格納庫の鉄板腐食やコンクリート孔隙などが次々と発見された。 また、2016年の慶州地震後に国内の原発の耐震基準が規模6.5から7.0に上方修正され、設備強化および交替が不可避となった。

 一例として釜山地域の古里(コリ)3号機と4号機では、腐食鉄板を取り換え規定より薄い鉄板の安全性をテストするのに、それぞれ479日と375日間の整備が実施された。 建設当時コンクリートを十分に打設せずに「孔隙」が生じた全羅南道霊光(ヨングァン)のハンビッ6号機は、202日間の整備が行われた。 ハンビッ原発官民合同調査団のキム・グァニョン実務チーム長は、低い原発稼動率を問題にすることに対して「夏になったら安全でない原発もひとまず稼動してみなければならないということなのか、問い返したい」として「原発周辺の地域住民としては腹が立つ悲しい話だ」と言った。

 その上、最近原発6基が整備のために止まっているにもかかわらず、最大電力需要が9248万キロワットまで突き上がった24日にも、予備電力は709万キロワット(予備率7.7%)で「正常」状態を維持していた。 2011年の「9・15循環停電」の時の予備電力334万キロワット(予備率5%)の2倍を越える。 予備率算出の基準になる最大電力需要量自体が当時より大きく増加(6728万キロワット→9248万キロワット)している点も勘案すべきだが、ブラックアウトの時に比べてこの日は原発2基分量の電力がさらに「供給準備」状態だったわけだ。

 予備電力が241万キロワット(3.28%)まで落ちて電力需給警報3段階の「注意」が発令され、国民節電運動まで展開された2013年8月12日と比較しても、今は予備電力が十分な状況だ。 当時は部品納品不正事態の余波で原発6基が止まっていた。 ある発電業界関係者は「電力予備率が10%以下になったと言って問題だと主張するのは、これまで設備全体がどれだけ増えたかを見落としているため」だと指摘した。

 予備電力は「金を出して捨てる電気」であるという点も見逃せない。25日午前2時の予備率は46.68%、予備電力は6726万キロワットに達した。 韓国電力が発電事業者から購入した6726万キロワットが使われることなく捨てられたわけだ。 原発は一度核燃料を投じて出力を始めれば24時間稼動しなければならず、ピークタイムが過ぎた後に電力が余っていても、発電を止めることはできない。 産業通商資源部のペク・ウンギュ長官はこの日「100万キロワットの予備電力を備えるのに2兆ウォン(約1990億円)の費用がかかるので、高い予備率は電気料金上昇の要因になる」として「予備電力は適正な水準で管理しなければならない」と述べた。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/854867.html韓国語原文入力: 2018-07-25 19:44
訳A.K

関連記事