南北は15日、板門店の平和の家で高官級会談を開き、「9月平壌共同宣言」(平壌宣言)の履行に必要な分野別後続会談と協力事業の日程を入れた7項目の共同声明文を採択した。
平壌宣言履行のための後続会談としては、“早期”の将軍級軍事会談(場所未定) ▽10月22日、山林協力分科会談(開城(ケソン)連絡事務所)▽10月下旬、保健医療分科会談(開城連絡事務所)▽10月末、体育会談(開城連絡事務所)▽11月中、赤十字会談(金剛山(クムガンサン))が続く。協力事業の日程としては、北側芸術団の(10月中)南側公演のための“早期”の実務協議▽10月下旬、京義線鉄道(北側区間)現地共同調査▽11月初、東海線鉄道(北側区間)現地共同調査▽11月末~12月初、東・西海線鉄道・道路連結と現代化事業着工式が予定されている。
今回の合意の重要な特徴は、4・27板門店宣言の主要合意事項で、9月14日にオープンした開城南北共同連絡事務所が今回の会談を契機に本格稼動し、南北当局会談の主要な空間として浮上したという事実だ。南北関係制度化の水準の一段階跳躍だ。もう一つの特徴は、南北の実事求是(事実に基づき真理を探究する)的な会談態度だ。南北は、日程を確定できる議題は確定し、追加の議論や措置が必要な事案は先送りする方式で、5時間16分で会談を終えた。平壌宣言の履行方案用意という議題のぼう大さと難易度を考慮すれば、きわめて速い速度だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が3回に及ぶ首脳会談で確かめた相互の信頼が基盤になったといえる。
最も目につく合意事項は、鉄道・道路協力事業関連日程表ができたことだ。南北は、平壌宣言で「年内」と明記した東・西海線鉄道、道路の連結、現代化着工式を「11月末~12月初め」に時期を操り上げ具体化した。金正恩委員長の「年内ソウル答礼訪問」に先立って着工式を終えるという意志の表現と見られる。着工式に先立つ鉄道の北側区間共同調査は、京義線は「10月下旬から」、東海線は「11月初めから」行うことにした。東・西海線道路の共同調査日程は、文書交換方式で確定することにした。非武装地帯通過などと関連して、国連軍司令部、事実上は米国政府との事前協議が必要だ。
「伝染性疾病の流入および拡散防止のための保健医療分科会談」を今月下旬に開城連絡事務所で開くことにした事実も注目に値する。統一部は、これを通じて「“朝鮮半島健康共同体”実現」のために努力すると明らかにした。保健医療協力が注目される理由は、人道的緊急性だけでなく、韓国政府が昨年9月21日に南北協力基金800万ドルを支援することを議決していながら、未だに執行できずにいる国連児童基金(ユニセフ)と世界食糧計画(WFP)を通じた「北朝鮮母子保険・栄養支援事業」実行の呼び水になりえるためだ。「800万ドル執行」は、強力な対北朝鮮制裁局面で「人道的支援」の例外領域を確保・拡大する針路になるという点で情勢波及力が大きい。
9月平壌首脳会談の南北関係分野における最大成果に挙げられた「歴史的な板門店宣言履行のための軍事分野合意書」の履行を調整する軍事共同委員会の構成・運営問題は、“早期”に将軍級会談を持ち議論することにした。将軍級会談は、板門店地雷除去工事が終わる20日以後、軍事境界線近隣の上空敵対行為の中断措置が始まる11月1日以前に開かれるだろうというのが政府側の判断だ。
南側世論に影響が大きい離散家族問題を議論する赤十字会談の日程を11月に遅らせたのには、会談に先立ち離散家族面会所の建物に対する北側の「没収措置」を先に解かなければならないという事情が作用しているようだ。北側は天安(チョナン)艦沈没で南北の葛藤が激化した2010年4月27日、離散家族面会所の没収措置を発表した。
南北は、今月末に体育会談を持ち「2020年(東京)夏季五輪大会をはじめとする国際競技に共同で積極的に出場し、2032年夏季オリンピックの南北共同開催問題を協議」することにした。