対北朝鮮特別使節団が5日夜9時40分頃、京畿道城南ソウル空港に帰国した。チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長など特使団一行は「訪朝の総評」や「首脳会談の時期」などを問う取材陣の質問に、微笑を浮かべただけで何も答えなかった。特使団は同日11時間40分間にわたり北朝鮮に滞在し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と面会して、第3回南北首脳会談の日程および議題や北朝鮮の非核化、朝鮮半島における平和定着の方案などを話し合ったという。首席代表のチョン・ウィヨン室長は帰国後、直ちに大統領府に移動し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に訪朝結果を報告した。
これに先立ち、チョン室長、ソ・フン国家情報院長、キム・サンギュン国情院2次長、チョン・ヘソン統一部次官、ユン・ゴニョン大統領府国政企画状況室長など5人で構成された対北朝鮮特別使節団は朝7時40分、ソウル空港から空軍2号機に乗り込み、平壌(ピョンヤン)に向けて出発した。チョン室長は、搭乗前「行って参ります」とし、深々とお辞儀をした。チョン次官は、文大統領が金委員長に伝える親書が入っているものと見られる茶色の革鞄を手に持って、注目を集めた。空港では、チョ・ミョンギュン統一部長官やナム・グァンピョ大統領府国家安保室2次長が特使団を見送った。
特使団は離陸から1時間20分後の午前9時、平壌の順安(スンアン)空港に到着した。北側は3月の第1次特使団の訪朝当時の儀典に準じて、今回の特使団を迎えた。特使団は空港でリ・ソングォン祖国平和統一委員会委員長の出迎えを受けてから、高麗ホテルに移動し、午前9時35分から20分間にわたって金英哲(キム・ヨンチョル)労働党対南担当副委員長兼統一戦線部長、リ委員長と面会した。金副委員長が席を外した後も、リ委員長と19分間にわたり面会を続け、合わせて39分間歓談したと、大統領府は明らかにした。特使団の第1次訪朝当時は、リ委員長とメン・ギョンイル統一戦線部副部長が順安空港で出迎えており、宿泊先の高坊山招待所では、金副委員長が特使団を迎えた。
特使団は夕方6時頃から北側の要人らとの晩餐会に出席したものとみられる。キム・ウィギョム大統領府報道官は夕方6時25分のブリーフィングで、「現在、晩餐会が行われているものとみられる」とし、「金委員長は特使との昼食会には出席しなかった」と明らかにした。大統領府は晩餐会に金委員長が出席したかどうかについては、まだ分からないとした。しかし、第1次特使団の訪朝当時、金委員長が夫人の李雪主(リ・ソルジュ)氏と共に晩餐会に出席したことから、今回も晩餐を主宰した可能性がある。
大統領府は、対北朝鮮特使団が北朝鮮に滞在した11時間40分間、北側から送られてきたファックスを待ちわびていたという。訪朝した特使団と大統領府の通信手段は特使団が持っていった「秘話機」(通信機器から出る伝送信号を外部の人が解読できないように暗号化する装置)がついたファックスだけだった。キム・ウィギョム大統領府報道官は午前のブリーフィングで、「現在、特使団は大統領府に秘話機がついたファックスで現地状況を報告しているが、通信事情があまり良くないため、頻繁には(報告)できない」とし、「(3月の)第1次(特使団)の訪朝当時も、非常に少なかった」と伝えた。特使団は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と面会し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の親書を手渡した事実と、晩餐の後、帰還の知らせをはじめ、平壌への到着や北側との会談の準備などを数回ファックスで大統領府に報告したという。
特使団が金委員長に会い、親書を手渡したことに、大統領府は安堵する雰囲気だった。前日、チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長は記者会見で、「金委員長との面会日程は決まっていない」と述べた。大統領府側は「北側が対北朝鮮特使を受け入れる意向を示したため、金委員長への表敬訪問を受諾するものと見ていた」とし、悪くないシグナルだと話した。