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習近平、9・9節に平壌に行かない理由は?北朝鮮と米国を考慮した結果

登録:2018-09-05 23:22 修正:2018-09-06 07:37
米中貿易戦争の中、米国の牽制を意識 
序列3位を送り、朝中関係重視も考慮 
「李克強首相を送らなかったのは 
年内訪朝も可能というメッセージ」
北朝鮮の政権樹立70周年記念日を祝うために、北朝鮮を訪問する中国指導部序列3位の栗戦書・全国人民代表大会常務委員長が、3月17日全人大常務委員長として宣誓している=北京/AP聯合ニュース

 習近平・中国国家主席の選択は「序列3位特使派遣」だった。9・9節(朝鮮民主主義人民共和国創建記念日)に出席する中国要人としては歴代最高位級だ。習主席が「朝鮮民主主義人民共和国創建70周年」を迎える今年の9・9節行事を契機に、2012年11月に最高指導者の席に上がって以来初めて北朝鮮を訪問するという観測が多かったが、結局は事実でなかったことが判明した。習主席がドナルド・トランプ米大統領を意識して「朝中共助」の速度を調節したと分析されている。

 中国の新華社通信と北朝鮮の朝鮮中央通信は、9・9節をむかえて栗戦書・全国人民代表大会常務委員長(国会議長格)兼中国共産党中央委員会政治局常務委員が習主席の特別代表資格で平壌(ピョンヤン)を訪問すると4日夜、同時に発表した。ロシアでも、ウラジーミル・プーチン大統領の側近であるワレンチナ・マトヴィエンコ上院議長が北朝鮮を公式訪問すると労働新聞が5日報道した。

 中国もロシアも9・9節行事に最高級ではない「国会議長」が参加するわけだ。これは、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が今年の新年挨拶で9・9節を「民族的大事」と表現して、その重要性を強調したことに照らせば、北朝鮮としては残念な結果でありうる。

 何よりも習主席の選択が重要だ。習主席が、自身や李克強国務院首相ではなく“序列3位”を選択したのには、北朝鮮に対する礼遇とトランプ大統領に対する考慮が複合的に作用したと見られる。「中国首脳(習主席または李首相)の訪朝」を避けて、トランプ大統領を刺激しないながらも、9・9節に出席する中国要人としては歴代最高位級の“序列3位”を選択することによって、北朝鮮を無視していないというメッセージを送ろうとしたことになる。

 これに先立って先月24日、トランプ大統領は、マイク・ポンペオ国務長官の4回目の訪朝計画を取り消して、「貿易で米国がはるかに強硬な立場を取っていて、中国が以前ほど非核化過程に協力していないと信じる」、「中国との貿易問題が解決された後にポンペオ長官が北朝鮮を訪問するだろうと期待する」と明らかにしたことがある。非核化と終戦宣言などの相応の措置をめぐる朝米交渉が膠着局面に陥った背景には“中国”がいるという露骨な牽制球だ。この渦中に習主席の訪朝は様々な面で負担になりうる。習主席がトランプ大統領の要求どおり非核化を圧迫すれば、回復傾向にある朝中関係に緊張が避けられず、全面的な対北朝鮮支援・協力を約束すれば米中軋轢が増幅される憂慮が大きいためだ。

 専門家たちは、習主席の選択を肯定的に評価した。ク・ガブ北韓大学院大学校教授は「米国が中国を朝鮮半島問題の妨害要素だと主張している状況で、中国としては妙手を打ったようだ」として「習主席や李首相が行事に参加するならば、中国が北朝鮮と密着しているという印象を強く与えるが、中国が米国が憂慮するように朝鮮半島問題に否定的な役割をする意図がないことを示そうとしているようだ」と指摘した。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル首席研究委員は「(国家首脳級の)李克強首相が行くことになったとすれば、年内に再び習主席が北朝鮮を訪問しにくくなりえたが、序列3位が行くということは習主席の年内訪朝が依然として有効であることを意味する」として「最高指導者の動線と重ならないながらも、最高位級が行くということ」と指摘した。また国立外交院のキム・ハングォン教授は「中国としては、北朝鮮との戦略的協力・友好関係を維持する必要があり、国際的水準の(米中)戦略的競争構図で貿易交渉、台湾問題など米国と協議しなければならない部分が多く残っているため、対北朝鮮関係では適当な線を引くことが必要だったとも言える」と分析した。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/860791.html韓国語原文入力:2018-09-05 17:16
訳J.S