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憲法裁「パケット傍受は憲法不合致」…情報機関の“傍受中毒”に歯止め

登録:2018-08-31 06:13 修正:2018-08-31 09:49
パケット傍受の根拠法の通信秘密保護法 
無分別な情報収集が可能で 
管理など規定無く誤濫用の可能性も 
「基本権最小侵害の原則に反する」
ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 インターネット回線を通じてやり取りされる情報をリアルタイムで入手できる通信傍受方式の「パケット傍受」を規定している通信秘密保護法の条項について、憲法裁判所が憲法に反すると判断した。国家情報院などの“傍受中毒”に歯止めをかけたわけだ。

 憲法裁は30日午後、パケット傍受の根拠になった通信秘密保護法第5条第2項に対し、裁判官6対3の意見で憲法不合致と決定した。ただし、憲法裁は2020年3月31日まで法の効力を維持するとした。

 憲法裁は、パケット傍受の根拠法律である通信秘密保護法の条項が、基本権の最小侵害性原則に反すると判断した。憲法裁は「パケット傍受は、当該インターネット回線を通じて流れる不特定多数のすべての情報がパケットの形で収集されるなど、捜査機関が取得する資料が非常に膨大だ」とし、「(にもかかわらず)捜査機関の権限乱用を統制し、基本権侵害を最小化するための制度が用意されていないのは、個人の通信および私生活の秘密と自由に深刻な脅威を招く」と述べた。捜査機関が犯罪捜査と無関係な情報まで収集・保管しているのではないか、許可を受けた目的の範囲のもとに使用していないかなどを統制できる制度的装置を、通信秘密保護法の条項に追加すべきということだ。

 通信秘密保護法第5条第2項には「捜査機関は、国家保安法違反事件の捜査のため、容疑者がやり取りした郵便物および電気通信について、通信制限措置を行うことができる」と規定している。国家情報院はこの条項を根拠に、国家保安法違反の疑いなどの裏付け捜査と称し、パケット傍受を行ってきた。パケット傍受は、送信者と受信者がインターネット回線でやり取りするすべての情報を(第三者が)入手できるため、広範囲な情報収集が可能という批判が絶えなかった。特に捜査対象以外にも、同じインターネット回線を使用する全ての人のインターネット検索記録とログイン履歴まで把握できることから、通信の秘密を侵害すると指摘されてきた。

 憲法裁の今回の判断は、国情院からパケット傍受を受けたM牧師が2016年「国情院の盗聴行為や裁判所の傍受許可、傍受の根拠になった通信秘密保護法第5条第2項などは違憲」だとして、憲法訴願を請求したことによるものだ。これに先立ち、国情院のパケット傍受対象者だった元教師のK氏は2011年、同法に対する憲法訴願を請求したが、憲法裁が5年間判断を見合わせている間、2016年に肝臓がんで死亡した。これに対し、憲法裁は請求当事者死亡を理由に審判の手続きを終了したが、K氏と同じ事務室でインターネット回線を共に使ったとの理由でパケット傍受を受けたM牧師が憲法訴願を請求し、再び(パケット傍受が)憲法裁の審判台に上がった。

 一方、憲法裁は同日、民主化運動被害補償金を受け取った人に対しては、国家の賠償責任を認めないという民主化運動補償法について、一部違憲判決を下した。

シン・ミンチョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/859943.html韓国語原文入力:2018-08-30 21:05
訳H.J

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