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機務司改革案、要員削減・権限縮小しながらも“形だけの解体”

登録:2018-08-03 07:17 修正:2018-08-03 15:26
機務司令部改革委の改革案の内容とは 
現体制で規模・地位縮小するか  
国防部本部体制、独立外庁にする案を提示  
市道に設置された60単位の部隊を廃止 
軍通信傍受に令状の発付を義務付け  
 
必要に応じ大統領と単独面談して報告可能 
民間査察に対する処罰もなく対共捜査も維持 
「現機務司令部の復活できる余地ある」
チャン・ヨンダル国防部機務部改革委員長が今月2日午後、機務司令部改革委員会の全体会議を終え、ソウル龍山区国防部のブリーフィングルームで改革委がまとめた意見を説明している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 国防部の機務司令部改革委(委員長チャン・ヨンダル)が2日発表した改革案は、機務司令部組織と権限、業務範囲を減らして具体化する方向でまとめられた。しかし、機務司令部の脱法的な政治介入や民間人査察などの悪弊を断絶するには、不十分な「形だけの解体レベルの改革案」という声も上がっている。

■機構の縮小及び組職改編

 組織の縮小と関連しては、機務司令部の要員を30%以上削減するようにした。この削減案が施行されれば、機務司令部要員は現在の4200人から3000人以下に減ることになる。各地域の軍部隊内の国軍機務部隊を指揮・監督するという名分で全国の市道に設置された「60単位部隊」も全面廃止することにした。

 組織再編と関連しては、現在の司令部体制の維持▽国防部本部体制への変更▽独立的な外庁として創設の3つの案を優先順位なく並列して勧告した。現在の司令部体制を維持する場合でも、機務司令部の法的根拠となる「国軍機務司令部令」は廃止し、新たな法的根拠を設けることを勧告した。これにより、機務司令部という現在の名称や組織形態、権限、任務範囲などがそのまま維持される可能性は少なくなる。チャン・ヨンダル委員長は「現機務司令部令には機務司令部の任務と権限が明確でなく、曖昧な部分が多い。機務司令部がこれを恣意的に拡大解釈し、脱法的行為を行ってきた。任務と権限を明確に規定すると共に、違反した場合の処罰条項も設け、これを防がなければならない」と述べた。

 国防部本部体制は機務司令部の地位と規模の縮小を意味する。現在、機務司令部は部隊指揮官が軍令を行使する部隊だが、本部体制になると、国防部長官の参謀機関に変更される。独立的な外庁にするのは、防衛事業庁などのような政府機関にする案だ。チャン委員長は「外庁にして国会の監視を受けるようにする案だ。法律を変えなければならず、与野党の政界の合意が必要であるため、直ちに施行するのは難しい」として、長期的な課題とした。

■任務と権限の制限

 機務司令部の権限と関連しては、軍指揮官の動向観察(監視)の廃止と存案資料の廃棄が目を引く。動向観察は、軍内で国軍機務司令部が絶対的な権力を行使できる源泉となってきた。機務司令部要員が定期的に作成した動向報告書は、軍指揮官の人事で存案資料として活用されるからだ。しかし、動向観察はこれまでプライバシーの侵害などで軍内の非難の対象だった。この廃止を勧告したことには、人権侵害問題を解消すると共に、機務司令部の権力基盤を揺るがす意味が込められている。

 機務司の統帥補佐にも制限を設けることにした。機務司令部はこれまで統帥補佐を名目に、軍統帥権者である大統領に対する直接単独報告が許され、これを通じて各種軍事情報と政策報告などで権力を振るってきた。しかし、機務司令部のこのような統帥補佐は、法的根拠がなく、慣例的に遂行したもので、機務司令部の越権行為を煽る悪習だという批判が多かった。機務司令部改革委は機務司令官の大統領単独報告も原則的には禁止した。しかし、大統領が統帥権行使の一環として、機務司令官の直接報告や機務部の存案資料の報告を受ける権利は認めた。結局、統帥補佐や単独面談の報告を認めるかどうかを、大統領の判断に任せることで、本来の改革の意味が色あせる結果となった。

 軍の通信傍受にも、令状発行という法的手続きを設けることにした。現在、機務司令部は、通信秘密保護法によって「国家安保に関わる事項」に対する傍受の場合、大統領の承認を受けて実施できる。機務司令部は通常4カ月に1回、大統領の包括的承認を受け、傍受を行っているという。今回、改革委は裁判所の判事の令状発行を義務づけることで、機務司令部の傍受にさらに厳しい条件を設けたのだ。これは機務司令部が過去、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領とユン・グァンウン元国防部長官の通話まで傍受したという市民団体の主張が提起され、機務司令部の通信傍受に対する世論が悪化した事情が反映されたものとみられる。

 機務司の捜査対象も縮小した。国軍機務司令部令は機務司令部が内乱や外患、反乱、軍事機密の漏えい、国家保安法や南北交流協力法、集会及びデモに関する法律の違反など軍事裁判所法第44条2号に規定された特定犯罪を捜査できるよう定めている。今回、機務司令部改革委は、南北交流協力法や集会及びデモに関する法律の違反などは、機務部の捜査対象から除外するよう勧告した。

 チャン委員長は今回の改革案が「解体レベルのもの」だと意味づけた。しかし、軍人権センターのイム・テフン所長は「何を改革しようとしているのか、よく分からない。人的清算もなく、改革意志も見当たらない」と酷評した。イム所長は「全国に機務部隊が散在しているため、60単位部隊の解体は大きな意味がないし、外庁としての独立は監視を逃れることで、鬼に金棒を与えるようなもの」だとし、「民間人査察をすれば刑事処罰する内容もなく、対共捜査権もそのまま維持される。改革案ではなく、機務司令部がいつでも復活できるようにする“復活案”」だと批判した。

パク・ビョンス先任記者、イム・ジェウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/856002.html韓国語原文入力:2018-08-03 00:18
訳H.J

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