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警察、違法「パケット傍受」令状なしで実行…大規模な被害発生の恐れも

登録:2018-08-24 05:45 修正:2018-08-24 10:19
回線を丸ごと傍受し、危険性高いが 
裁判所の許可なしで勝手に活用した状況 
7800万ウォンのハッキング装備、予算で購入 
警察高官が介入したかに注目集まる
あるハッカーがソウル市内のあるカフェでハッキングを試演している=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 李明博(イ・ミョンバク)政権時代に、警察が違法に被内偵者の電子メールと市民団体のホームページの掲示板などを傍受した事実が確認され、「違法傍受」の対象と規模などに関心が集まっている。具体的な容疑をつかめず正式な捜査にも至っていない「被内偵者」を対象にしたうえ、裁判所の令状など司法的統制手段が全くなかったことから、違法傍受が非常に広範囲にわたって行われた可能性が高い。

 警察庁のサイバー保安捜査隊が使用した違法傍受システムは、インターネット回線を丸ごとで監視する「パケット傍受」に類似した形であることが分かった。「パケット傍受」とは、インターネット網に接近し、中間でその回線のデータをすべて横取りする方式だ。李明博政権は2008年以降、パケット傍受のための装備を導入し、国家情報院などを通じてパケット傍受を行った。

 パケット傍受は、その回線のインターネット活動をリアルタイムですべて監視できるため、一般的な盗聴や傍受よりもその危険性がさらに高いと指摘されてきた。実際、国家情報院(国情院)がパケット傍受をしているという事実自体も、米国にサーバーがあるグーグルの電子メールサービス「Gメール」の受信・発信内容をのぞき見しているという情況が明らかになったことで確認された。当時はGメールの盗聴・傍受は不可能とされていた。しかも、回線自体を対象にするため、犯罪容疑と無関係な人が当該回線を通じてやり取りした通信の内訳まですべて監視網に捉えられる危険性も高い。

 このような危険性のため、パケット傍受のための「通信制限措置」を受けるためには拘束・逮捕令状の発給同様、裁判所の許可が求められる。李明博政権時代に警察庁保安サイバー捜査隊は、このような司法的統制を無視して違法傍受を行ってきたわけだ。

 傍受に使われたと推定されるO社の「クライアント電算システム」(B.F.S Matrix SW)が7800万ウォンと高価である上、警察庁保安局が直接購入したことも注目に値する。警察高官が違法傍受にも介入した可能性を示唆する情況だからだ。この事件を捜査中の警察庁特別捜査団(特捜団)は、通信秘密保護法違反容疑と関連して、2010年に初代警察庁保安サイバー捜査隊長を務めたM警正の拘束令状を申請した状況だ。

 同日、拘束令状が申請されたM元保安サイバー捜査隊長がどのような傍受対象者のネット上の記録に接近し、どんな資料を持ち出したのかも、まだ具体的に明らかになっていない。特捜団は「M警正が軍(国軍サイバー司令部)から『レッドペン』資料(政府・政策などを非難するコメントの作成者のハンドルネームやニックネームなど)を受け取って捜査に活用し、この過程で通信傍受プログラムを利用して令状なしに違法傍受を行った」と明らかにした状態だ。

 進歩ネットの活動家、オ・ビョンイル氏はハンギョレとの電話インタビューで、「令状なしで違法に電子メールを傍受したというのは、重大な犯罪だ。特定のインターネットサービス社のサーバーをすべてチェックする方式を採用したなら、その被害規模も広範囲に及ぶ。警察の違法傍受に対する真相が明らかにされるべきだ」と話した。

チョン・ファボン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/859008.html韓国語原文入力:2018-08-23 21:37
訳H.J

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