本文に移動

訪朝したユースサッカー選手団に事故が起きた場合は自己責任?

登録:2018-08-13 00:14 修正:2018-08-13 07:23
北朝鮮で知り得た事実を公開する前に 
統一部と事前協議行うなど6項目  
南北体育交流協会の確認書が議論呼ぶ 
「過度な表現の自由の侵害」との指摘も 
統一部「警戒心持たせるため要請しただけ」
国際ユースサッカー大会に出席するため、10日に訪朝した市民らに、南北体育交流協会が「訪朝期間中に発生した安全事故の責任は本人が甘受する」などの内容を盛り込んだ確認書(上)への署名を要求し、論議になっている=ハンギョレ読者提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮で行われる「国際ユースサッカー大会」(13~18日)に参加するため、平壌(ピョンヤン)を訪問した市民ら(151人)の憲法的権利を過度に制約し、政府の責任を個人に押しつけるような内容が明記された「確認書」が、議論を呼んでいる。特に「訪朝期間中に発生した安全事故の責任は本人が甘受する」や「訪朝期間中に知り得た事実・資料を対外に公開する前に、統一部と事前協議すべき」という条項が問題になっている。このような内容の「確認書」に署名するよう要求した主体は、統一部から訪朝の承認を受けた南北体育交流協会(理事長キム・ギョンソン)だ。しかし、「確認書」への署名要求は、統一部の“勧告”の形の指針によるものであり、結局、統一部にも関わる事案だ。

 訪朝団のある関係者は10日昼、ハンギョレに「京義線出入事務所(CIQ)を通過する前に、バスの中で『確認書』というものを書けと言われた」とし、「20年近く北朝鮮を幾度となく訪問したが、こうした確認書への署名は初めてであり、内容にも問題が多い」と話した。

 同関係者が署名した「確認書」は「本人の言動が南北関係に重大な影響を及ぼしかねないことを深く認識し、次の事項を誠実に履行する」という前文と共に、6項目に構成されている。この中で特に第5項と第6項が議論になっている。第6項は「訪朝過程で身辺の安全に留意し、安全事故の発生や関連法規違反の際、責任は本人が甘受する」と規定している。「身辺安全は自己責任」であることに同意を求める内容で、「政府の責任放棄」という批判を呼ぶ素地が大きい。第5項は「訪朝期間中に知り得た重要な事実や資料などを対外に公開する場合は、統一部と事前協議を行う」よう求めている。国家保安法に抵触する恐れのある内容ではない限り、「政府との事前協議」の要求は法的根拠がなく、過度な表現の自由の侵害につながりかねない。もちろん、政府は訪朝承認の際、「南北交流・協力の円滑な推進」のため、統一部長官が「条件を付けることができる」(南北交流協力法第9条4項)。これと関連して交流協力法施行令は「条件」の内容として5つを挙げている(第12条6項)。例えば、訪問目的や対象者、地域、経路などの制限と変更▽軍事境界線を出入りする際、日程の提出▽訪朝結果の報告書の提出▽訪朝案内教育の履修▽南北交流協力の促進と秩序維持のため、統一部長官が必要と認める事項が、それに当たる。確認書の第5・6項は法的根拠が不明であり、「秩序維持」に向けた政府の便宜を増進させるためのものと言える。

平壌国際ユースサッカー大会に参加する選手らが今月10日午後、京畿道坡州市の京義線南北出入事務所から開城に向かっている=坡州/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 これと関連し、統一部当局者は12日「確認書への署名を要求した主体は、統一部ではなく協会で、151人全員ではなく、各部門代表者だけに(署名を)求めたと聞いている」とし、「統一部は確認書を持っていない」と話した。ただし、「確認書が統一部と全くの無関係なのか」という質問に「政府は訪朝承認の際、条件を付けており、そのような意味で、協会に訪朝目的に合わせて警戒心を持って留意してほしいという行政協力を要請した」と答えた。統一部の“勧告”があったということだ。「確認書への署名の法的根拠は何か」という質問には、「訪朝教育の実施と同じ理由」だと答えた。そして同当局者は「国民の安全に対する国家の無限責任に基づき、格別に留意してほしいという趣旨であり、個人の責任を負わせるためのものではない」としたうえで、「(確認書の)やや荒っぽい表現は、改善の余地があると思う」と付け加えた。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/857287.html韓国語原文入力:2018-08-12 18:58
訳H.J

関連記事