本文に移動

鷺梁津水産市場で「猛暑のせいで40年間で初めて鮮魚の陳列を放棄」

登録:2018-08-01 23:00 修正:2018-08-02 11:55
洪川で41度を記録、史上最高気温 
熱射病患者2千人超え非常事態 
李洛淵首相「昼間の工事を中止」 
地方自治体も木賃宿への緊急支援に乗り出す 
 
水産市場「40年で初めて魚の陳列を放棄」 
盆唐川で魚が斃死、公務員が出動
1日午後、ソウル市の聖水洞公園に設置された温度計が41度を示している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 1日午後、江原道洪川(ホンチョン)の最高気温が41.0度まで上がり、気象観測開始以来全国歴代最高気温を記録するなど、全国が連日グツグツ煮立っている。ソウルでも39.6度で111年の気象観測史上最高気温を記録した。人間だけでなく動物や植物も全国的に“猛暑非常事態”に陥った。前日までに熱射病患者は2千人を超え、死んだ家畜(323万頭など)と農作物被害面積(157.6ヘクタール)も深刻な水準に達した。

■民官共に猛暑との死闘

 終日続いた“猛暑との死闘”には民も官も同じだった。李洛淵(イ・ナギョン)首相は公共発注の建築・土木工事現場の昼間時間帯の作業中止と延期策を講じるよう指示し、民間建設業界も午後1~3時に野外作業を全面中断するなど、全国主要建設現場での作業を中断した。

 この日一日、全国の工事現場での屋外作業を一時中断する措置をとったGS建設関係者は「作業者の安全のために今回の猛暑が落ち着くまで野外作業を中断し、室内作業のみを進めることにした」と話した。大宇建設関係者も「猛暑警報が下された日は作業時間1時間当り必ず30分の休憩時間を取るよう措置している」と話した。

 猛暑に一層大きな苦痛を味わう脆弱階層(低所得・就業困難者)の支援も“足下の火”だ。ソウル市はこの日、木賃宿の住民に氷水を緊急支援した。ソウル市は午前9時から龍山区(ヨンサング)東子洞(トンジャドン)など5カ所の木賃宿相談所に350ミリリットルのペットボトルに入れたアリス(ソウル市水道局の飲料水)を凍らせて配給した。木賃宿の住民たちは独居老人、低所得層、ホームレス、建設現場労働者とともに、ソウル市が定めた5大猛暑脆弱階層だ。ソウル市は、エネルギー貧困層に扇風機やクールマットなどの冷房用品の支援も拡大する方針だと明らかにした。慶尚南道(キョンサンナムド)も災害救援者を緊急編成する一方、猛暑脆弱階層のためのクーリングセンターを拡大し、廃紙回収をする高齢者などを特別管理すると明らかにした。また、消防車の予備車両を利用して畜舎やビニールハウスに水をかけ、農畜産被害も防止する方針だ。

 交通取り締まり、治安取り締まりなど屋外勤務が多い警察は、緊急に勤務方式を改編した。ソウル地方警察庁はこの日、警察の屋外勤務交代時間を既存の1時間から30分に短縮する「屋外勤務改善方案」を実施することにしたと明らかにした。警察関係者は「集会・デモの現場に投じる人員を最小化し、大使館・官公庁など必須屋外勤務地に日陰テントを設置するなどの対策を用意する方針」と話した。

 一日3400編成の列車を運行するKORAILは、猛暑による安全事故などの危険に対応するため、24時間非常対応体制を今月末まで運営する。KORAILは、猛暑による線路の反りなどを防ぐため、レール温度低減用の散水装置を設置し、高速線と一般線など猛暑脆弱区間75区間にレール温度をリアルタイムでモニタリングできる検知装置も設置した。

資料写真//ハンギョレ新聞社

■ “40年間で初めて鮮魚の陳列を放棄”庶民も非常態勢

 生業を離れられない庶民も、猛暑との死闘を行っていた。この日午後、ソウル市銅雀区(トンジャクク)の鷺梁津(ノリャンジン)水産市場のJ商会前に並べられた発泡スチロール箱はがらんと空いていた。断熱性能に優れたスチロール箱の上に氷を敷き、その上に魚をならべる水産市場の見慣れた風景が、40度前後の猛暑の前に消えたわけだ。J商会の主人Kさん(50)は「両親が店を営んでいた時から数えれば40年間で初めて鮮魚の陳列をあきらめた」として「アイスボックスの中の氷まで溶けてしまう暑さに、氷を補給し続けることができない」と話した。水産市場旧市場の入り口で35年間D水産を営むLさん(65)は「一日に氷を8袋ずつ使っているが、暑くて人々が室内にのみ入るので商売にならない。氷代2万4千ウォン(約2000円)も稼げない日が多い」と話した。鷺梁津水産市場で3年間氷屋を営むパク・スンギュさん(39)は「25キロ入りの氷袋を毎日1200個ずつ売っている。例年の夏と比較しても20%以上販売量が増えた」と説明した。

1日、鷺梁津水産市場のある店舗に白いスチロール箱の陳列台だけが置かれている=チェ・ミニョン記者//ハンギョレ新聞社

■それでも室内に入ることのできない人々

 111年ぶりの“最強の猛暑”にもかかわらず、太陽の光が照りつける外に留まらざるをえない人々も多かった。この日、江南区(カンナムグ)の三成(サムソン)駅付近で、午前11時から午後1時までレストランのチラシを配るアルバイトをしていたCさん(68)は「できるだけ日陰で配っているが、あまりに暑くて目がくらむ時がある」として「『ご苦労さま』と言って冷たい水を持ってきてくれた方がいらしたが、とてもありがたかった」と話した。江南区(カンナムグ)大峙洞(テチドン)のあるビルの前の屋外警備室で警備業務を務めていたGさんも「24時間交代勤務をしているが、連日暑さと戦っている。文字通り『命に関わる天気』」と言って汗を拭った。

 毎週水曜日に一度も欠かすことなく1345回開かれた「慰安婦」水曜集会の参席者も同じだった。この日午後、ソウル市鍾路区(チョンノグ)の日本大使館前で開かれた「日本軍性奴隷制問題解決のための第1346回定期水曜集会」の主催側は、40度に近い猛暑に触れ「集会途中に目まいがしたら日陰に移ったり、周辺の人に助けを求めてほしい」と案内し、「慰安婦」少女の絵が描かれたうちわを参加者に配った。制服を着た生徒など500人を超える市民は、普段のように「日本政府は被害者に公式謝罪せよ」などのスローガンを叫び席を守った。2リットルのペットボトルに凍らせた氷水を抱きしめて集会に参加したキム・ボヨンさん(41)は「あまりに暑くて『集会に行くのをやめようか』とも思ったが、暑さで人がとても少なくなるか心配で出てきた」と言って笑った。夏休みの宿題に「定期水曜集会に参加すること」があって、初めて水曜集会に来たという江西区(カンソグ)の中学校3年チェ・ウンジ、チュ・ソル、チ・ミンジュさん(16)も集会の間、携帯扇風機を顔に向けて暑さを冷ましていた。

1日、定期水曜集会に市民が参加している=ファン・クムビ記事//ハンギョレ新聞社

■家畜は斃死し魚は全滅も

 暑くても逃れられない家畜の斃死も相次いだ。保険業界の集計によれば、この日まで全国で家畜323万頭余りが斃死したという。被害推定金額は173億ウォン(約17億円)余りに達する。斃死申告された家畜は鶏301万羽、鴨17万6千羽、豚1万4千頭などだ。地域別では、全羅北道で88万1千頭、忠清南道で59万3千頭、全羅南道で54万5千頭の順だった。

 この日65.2%になった全国の貯水池の貯水率は猛暑にともなう蒸発で、一日に1%ずつ低下している。猛暑の日差しに焼けた果樹や野菜などの農作物被害も急速に拡大している。当分猛暑が続く見込みなので、農作物被害はさらに大きくなると見られる。

 燃えるような天候で河川の魚が全滅する例もあった。この日、京畿道城南市(ソンナムシ)は、盆唐区(ブンダング)を流れる盆唐川の養英デジタル高校~ソヒョン交差点区間で魚の斃死申告がなされたと明らかにした。現場に出動した公務員は、死んで河川に浮いていた鯉、ナマズ、オイカワなど魚150匹余りを回収した。市は続く猛暑のせいで水温上昇と溶存酸素の不足により魚が集団斃死したと見て調査中だ。

チェ・ミニョン、シン・ミンジョン、ファン・クムビ、チェ・ジョンフン、キム・キソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/855834.html韓国語原文入力:2018-08-01 20:00
訳J.S

関連記事