北朝鮮平安北道鉄山郡(チョルサングン)東倉里(トンチャンリ)の西海(ソヘ)衛星発射場の発射台とロケットエンジン試験台の一部が解体された情況が捉えられた。西海衛星発射場は、6・12シンガポール朝米首脳会談当時に金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長がドナルド・トランプ米大統領に「廃棄」を約束した「ミサイルエンジン実験場」があるところなので、北朝鮮側が実際にこの施設の「廃棄」に乗り出したのかが注目される。
北朝鮮専門メディア「38ノース」は23日(現地時間)、最近の商業用衛星写真を分析した結果、北朝鮮が西海衛星発射場の核心施設の解体作業を始めたと見られると伝えた。同メディアが公開した衛星写真は、今月20日と22日に西海発射場の衛星発射台とロケットエンジン試験台の姿を見せているが、二つの施設が揃って解体されていた。特に22日に撮影されたロケットエンジン試験台の写真では、試験台の上部構造物自体が完全に無くなっていることが分かった。
この施設は、北朝鮮が昨年3月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の推進体である新型ロケットエンジンの開発完成を発表して断行した地上噴出実験がなされたところだ。また、これに先立って、北朝鮮が2016年4月と9月にそれぞれ「新型の大陸間弾道ロケット大出力エンジンの地上噴出試験成功」と「新型の静止衛星運搬ロケット用大出力エンジン地上噴出試験成功」を知らせて公開した場所でもある。
この日公開された衛星写真を見れば、エンジン出力が識別される下部コンクリート構造物はそのまま残っているが、「38ノース」は「(下部構造物も)除去の過程にある」と伝えた。施設の両側に位置した旧燃料・酸化剤バンカーも一部破壊され「解体中」だとメディアは報道した。施設中央側のレール上に設置されたテント形式の構造物も解体され、近隣にはクレーンと車両の姿が捉えられた。ただし新しい燃料・酸化剤バンカー二カ所とガレージはそのままだった。「38ノース」は「この(解体)作業は2週間以内に始まったと見られる」と推定した。
米国は、西海発射場のこのエンジン実験場で北朝鮮の液体燃料弾道ミサイルエンジン実験がなされたと見ている。したがって、北朝鮮側がこの施設に対する解体作業を完了するならば、現在停滞状態の朝米関係が再開される契機になると展望される。朝米間の非核化および体制安全保証交渉を軌道に載せるための北朝鮮側の友好措置という分析も慎重に出ている。これに先立って北朝鮮側は、今月7日のマイク・ポンペオ米国務長官の3回目の訪朝後に出した外務省報道官談話で「非核化措置の一環でICBM(大陸間弾道ミサイル)の生産中止を物理的に確証するために大出力エンジン試験場を廃棄する問題」を公式化したことがある。「38ノース」は「金委員長がシンガポール首脳会談の約束を履行する重要な最初の段階」と評価した。
「38ノース」はまた、衛星発射台側の構造物も一部解体されたと伝えた。衛星写真には、発射台横の発射体の設置および移動がなされた大型構造物の一画が撤去され、その隣には一部の構造物が地上に置かれている。政府当局者はこの構造物は「タワークレーン」とし「タワークレーンの壁体の一方が解体された。これが(施設の)本格的な解体か否かはもう少し見守る必要がある」と話した。別の政府関係者も「(北が施設廃棄に出た)可能性は十分にある」としつつも「解体が公式化・具体化されるには、北朝鮮の反応が必要だ。北朝鮮の発表に注目している」と話した。
こうした中、韓国大統領府は西海発射場施設解体のニュースに「非核化に良い影響を及ぼすだろう」という立場を明らかにした。ナム・グァンピョ国家安保室2次長はこの日「何もしないよりは良い兆しで、非核化のためにきちんと行っていると見る」として、このように話した。ナム次長はただし「北朝鮮が巷間で言われるように、イベントにせずに進めていることと関連して、北朝鮮自ら時期を調節するためのものか、その意図を分析する必要がある」と付け加えた。
大統領府は「38ノース」の報道とは別に、韓米が西海発射場の解体動向を把握していたと明らかにした。チョ・ミョンギュン統一部長官もこの日「今月初め平壌訪問当時に、金英哲(キム・ヨンチョル)北朝鮮労働党副委員長が朝米首脳会談合意のとおりミサイル試験場の廃棄を準備していると言及したことがある」と話した。
だが、トランプ行政府は、北朝鮮の今回の措置と関連した米国マスコミの論評要求にまだ立場を出していない。