北朝鮮がミサイルの実験場がある北朝鮮中西部の東倉里(トンチャンリ)の「西海衛星発射場」の施設を解体していると、米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」が24日明らかにした。6月の朝米首脳会談で合意した約束を履行し、膠着状態に陥っている両国の交渉に突破口を見い出そうという北朝鮮の決断に見える。
38ノースが公開した20日と22日の衛星写真によると、北朝鮮は発射体を組み立てる軌道式構造物を撤去中であることが確認される。弾道ミサイル液体燃料開発のためのロケットエンジン試験台解体の姿も捉えられた。
非核化と体制安全保証の交換をめぐる朝米間の軋轢が大きくなる状況で行われた今回の措置は、格別の意味をもつ。シンガポールでの両国の首脳会談で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は米国のトランプ大統領にミサイルエンジン実験場を「まもなく破壊する」と約束したためだ。トランプ大統領も米軍遺骨送還とエンジン実験場閉鎖の約束を首脳会談の成果として強調した。実際、東倉里発射場は北朝鮮が核弾頭を装着した大陸間弾道ミサイル(ICBM)を改良・発射できる施設で、米国にとっては実質的な威嚇要素だ。トランプ大統領が時間をおいて北朝鮮の非核化目標を達成するとしながらも、エンジンの実験場閉鎖の約束履行を繰り返し強調してきた理由がここにある。しかし、遺骨送還と実験場閉鎖が遅れ、北朝鮮の「引き延ばし戦術」にだまされているという批判が米国内で噴出した。
北朝鮮の今回の措置が、27日に板門店(パンムンジョム)で行われると予想されている米軍の遺骨送還とかみ合って、朝米非核化交渉が再び軌道に乗る転換点になることを期待する。大統領府のナム・グァンピョ国家安保室2次長は「非核化にいい影響を及ぼすだろう」と見通した。ワシントンポストも「6・12朝米首脳会談で合意した非核化と関連して、小さいものの意義ある進展」と評価している。
北朝鮮と米国は、直ちに非核化実務交渉のための「ワーキンググループ」の構成をスピードアップさせなければならない。それでこそ、北朝鮮が希望する早期「終戦宣言」に向けた韓国政府の仲裁努力も力をつけることができる。チョ・ミョンギュ統一部長官は、国会の外交統一委員会に出席し、年内の終戦宣言は可能だという期待感を表わした。一部では9月の国連総会を契機に南北米の首脳が会い、終戦宣言をする案も取り上げられているが、いまだ現実化の可能性は未知数だ。米国も東倉里発射場解体に応じて、終戦宣言など「体制安全保証」方案の提示にもっとスピードを出すよう願う。