ソン・ヨンム国防部長官が今年3月に国軍機務司令部の「戒厳令文書作成」を報告されたにもかかわらず、捜査指示など後続措置を全く講じなかったことが明らかになった。また、大統領府が軍検察を通じて捜査を要求したが、制度改善が優先されるべきとして、それを無視したという。これに対し、インドを国賓訪問中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、国防部長官の指揮を受けない軍独立捜査団が機務司の戒厳令関連文書やセウォル号遺族の査察を捜査するよう指示した。
キム・ウィギョム大統領府報道官は10日の記者会見で、「文大統領は、ろうそく集会当時、国軍機務司令部が戒厳令を検討する資料を作成したことと関連し、独立捜査団を構成して迅速かつ公正に捜査することをソン・ヨンム国防部長官に指示した」と発表した。ただし、独立捜査団は「国防部長官の捜査指揮を受けず、独立的かつ独自に捜査を進める」と述べた。
これと関連し、大統領府関係者はハンギョレとの電話インタビューで、「ソン長官は今年3月、イ・ソック機務司令官から関連内容の報告を受けており、文書の存在を含めて詳細な内容を把握していた」としたうえで、「事案の深刻性を考慮し、軍検察を通じた迅速な捜査を指示すべきだったにもかかわらず、これを行わなかった」と明らかにした。また、大統領府はソン長官に軍検察による捜査を要請したが、ソン長官が受け入れなかったという。大統領府関係者は「ソン長官が機務司の衛戍令・戒厳令の宣布を検討した文書と関連し、前・現職の軍関係者たちの処罰につながりかねないと判断したからか、捜査の実施を躊躇したと聞いている」と説明した。
実際にキム報道官は独立捜査団構成を指示した背景に「今回の事件に前・現職の国防部関係者たちが広範囲に関連している可能性」と共に、「現機務司令官が戒厳令検討資料を報告した後も、捜査が進まない点などを考慮した」と明らかにした。ソン長官の“なまぬるい態度”を独立捜査団の構成の主な理由に挙げたのだ。
大統領府は、文大統領が歴訪中に緊急指示を下したことについて、「(大統領府参謀陣が)事案の深刻性と波及力などに関する意見をインド現地にいる大統領に報告した」とし、「(大統領が)歴訪を終えてからの指示では遅くなると判断したようだ」と説明した。
国防部も同日、ソン長官が機務司文書を知った時点が3月末という事実を確認した。イ・ジンウ国防部副報道官は記者会見で、「国防部が機務司の戒厳検討文書をいつ知ったか」という質問に対し、「今年3月末頃に報告されたと聞いている」と答えた。しかし、当時戒厳令の書面報告などが公開されなかった理由については「その部分については把握していることがない」として、言及を避けた。
当時、国防部は機務司の戒厳令検討文書に対し、法理検討を行い、機務司令部が職務の範囲を超える「越権行為」をしたという結論を下したという。国防部関係者は「これを直ちに公開するよりは、機務司令部の改革に向けた判断根拠にした方が良いと判断したようだ」とし、「また、当時6・13地方選挙を控えており、この文書を公開した場合、政治的に誤解を招きかねないという内部的判断もあったという」と伝えた。
ソン長官は発表文を出して「独立捜査団の捜査過程で国軍機務司令部の違法事項が発見されれば、法に則って厳重に措置する」と明らかにした。