「週52時間勤務」時代が幕を上げた。今後1日8時間ずつ5日、ここに延長労働12時間を加えた52時間が1週間に働くことができる最大の労働時間になる。従来の68時間から16時間減った。月曜日の7月2日は週52時間勤務制が適用される事実上の最初の日だ。
1日、雇用労働部は「改正労働基準法によって今日から300人以上の事業所をはじめに週52時間勤務制が適用される」と明らかにした。2月末に行われた労働基準法の改正は「休日労働も延長労働の一部」という事実を法制化したのが核心内容だ。
■休日労働も延長労働に含む
これまで週最大労働時間が68時間に達した理由は、休日労働に対する政府の誤った行政解釈からだった。従来の行政解釈では「法定労働時間」を超える労働、すなわち「延長労働」に「休日労働」を含めなかった。こうなると、労働者は週40時間の法定労働時間に延長労働12時間、休日労働の16時間(土・日曜日が休日の事業場基準)をそれぞれ加え、週最大で68時間働かなければならなかった。
改正された労働基準法は「休日労働も延長労働に含めなければならない」という認識を受け入れた。これは「法が許容する(休日労働を含む)延長労働限度」を12時間に縛る結果をもたらした。つまり、従来の週最大労働時間68時間から二日分の休日労働時間である16時間が抜けた結果が「週52時間制」だ。
■300名未満は2020年から適用
週52時間勤務制が適用される時点は事業所の規模別に少しずつ違う。300人以上の事業所と政府および公共機関は早速この日から週52時間勤務制を履行しなければならない。続いて50~300人未満の事業所は、これから1年6カ月の準備期間を経て2020年1月から、5~50人未満は2021年7月から順次、週52時間勤務体制を整えることになる。これに対して雇用部は「(労働時間短縮による)労働者の所得減少や中小企業の経営上の負担などを考慮し、企業規模別に段階的に施行する」と説明した。
ただ、週52時間勤務制は2004年の「週5日制」導入と比較できるほどの大きな変化であるうえ、労働界と財界、政府すべてがまだ十分な準備ができておらず、様々な試行錯誤が表れる場合もある。最もよく表れるであろう混乱は「労働時間の可否」だ。各事業所で処理しなければならない仕事はそのままだが、週最大68時間に達していた労働時間を52時間に減らすには、当然出るしかない混乱だ。
■休憩時間と待機時間を区分すべき
労働基準法では労働時間の性格を「労働者が使用者の指揮・監督の下従属している時間」と規定する。業務時間にしばし暇をみつけ「タバコを吸う時間」や、「会社の前のコーヒーショップにコーヒーを買いに行く時間」などは労働時間に含まれるかが議論になるとき、この基準を参考すればよい。
つまり、出勤・退勤時間の間でも労働者が「自由に」活用できれば、これは労働時間ではなく休憩時間に分類される。これとは異なり、タバコを吸っていようとしばしコーヒーを飲んでいても、使用者や管理者が探せばすぐに仕事に戻らなければならないという事実を労働者自ら認識しているなら、これは「待機時間」だ。待ち時間は労働時間に含まれ、休憩時間は含まれない。最も重要なのは「使用者の指揮・監督」の下にいるかどうかだ。
■接待・会食、会社の指示かどうかが重要
会社の外で取引先関係者などを接待するのも同様だ。休日に取引先の人と会ってゴルフをする場合などがあるが、これも使用者の指示・承認があれば、労働時間すなわち「休日労働」と認められるのだ。労働者個人が会社に報告しなかったことを自ら探してやり、「仕事をした」と主張するのは「労働」と見なされない可能性が高い。
実際、ソウル中央地裁は昨年、会社の金で休日ゴルフをした会社部署長に対して「会社の資金で費用を決済しても、上司が黙示的指示をしただけでは労働時間とみなすことはできない」と判断したことがある。使用者の指揮・監督の下でなされた「仕事」ではなく、自発的活動だったという趣旨だ。会食も業務に関する実質的議論とは関係なく、単に構成員の士気を高めたり、組織の結束、親睦を強化するための目的なら労働時間にはならない。
■退職金が減るなら中間精算も可能
このように働く時間が減ると、労働者がもらう実質賃金はその分減る可能性がある。特に退社を選択する労働者の「頼みの綱」の一つである退職金も、労働時間短縮の影響を受ける可能性がある。これについて雇用部は「労働者退職給与保障法」をともに改正した。労働基準法改正が「労働時間短縮→実質賃金の減少→退職金減少」につながる結果を防ぐという趣旨だ。
現在の退職金は、退職する前の3カ月の平均賃金に勤続年数を掛けて算定する。今回の労働時間の短縮により実際働いた時間が減ると、賃金(休日勤労手当など)が減り、賃金減少期間の間に退職すると退職金まで減りかねない。したがって使用者は、社員に退職金が減る可能性があることをあらかじめ知らせ、退職給与の算定基準を改善するなど、必要な処置を取らなければならない。ここで言う必要な処置とは、労働者代表と協議して一時金として支給する退職金を確定寄与型退職年金制度(DC制度)に転換することなどを言う。労働者が希望すれば、退職金中間精算も可能だ。