日本軍「慰安婦」被害者ハルモニ(おばあさん)らが、2015年の韓日合意を締結した韓国政府に対し、損害賠償請求訴訟を起こしたが、裁判所で棄却された。
15日、ソウル中央地裁民事20部(裁判長ムン・ヒェチョン)は「原告の損害賠償請求を棄却する。訴訟の費用は原告側が負担する」という内容の判決を言い渡した。裁判部は「日本軍『慰安婦』合意における『法的責任』の認定部分や日本政府が渡した10億円の性格などが不明瞭で、不十分な点があるのは事実」だとしながらも、「事件の合意に至るまでの過程と内容を振り返ってみると、原告の損害賠償請求権が消滅するとは見られない。外交的行為は国家間の幅広い裁量が認められる領域であることから、政府が違法行為をしたとは言えない」と明らかにした。
朴槿恵(パク・クネ)政権は2015年12月28日、日本と「韓日慰安婦被害者問題の合意(韓日合意)」を結ぶ際、「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」という文言を合意に盛り込んだ。日本軍「慰安婦」被害者のカン・インチュルさんを含めて12人の被害者らは2016年8月、「政府が被害者の意見も聞かず、『これ以上法的責任を問わない』という趣旨で合意を結び、日本に対する被害者個人の賠償請求権を無力化した」とし、政府に対し12億ウォン(約1億2千万円)の損害賠償請求訴訟を起こした。被害者らは、2015年の韓日合意が「政府は、日本の不法行為により人間の尊厳と価値が損なわれた国民が日本に対する賠償請求権を実現できるよう、協力して保護しなければならない」という2011年の憲法裁判所の判断にも反すると明らかにした。
同日、日本軍「慰安婦」被害者ハルモニらは、健康上の理由で裁判に出席しなかった。2016年当時、訴訟に参加した12人の被害者のうち3人は亡くなった。被害者ハルモニを代理するイ・サンヒ弁護士は判決が終わった後、控訴する意向を明らかにした。イ弁護士は取材陣に「裁判所の判断は2015年の韓日合意の適法性を結局認めたのではないか」と問い返し、「韓日合意に対して違法性が認められてこそ、韓国政府がこれを前提に引き続き日本軍『慰安婦』問題の解決に向けて取り組んでいけるが、この判決が外交部にどのようなメッセージを与えるか懸念される」と話した。さらにイ弁護士は「今回の判決が、ハルモニらにとっては韓国政府があきらめず最後まで問題を解決するという意志表明になったはずなのに、このような結果が出てハルモニらがどう思うかが心配」だと付け加えた。