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トランプ大統領、米国防総省と事前協議の上で金委員長と「韓米軍事演習中止」に合意

登録:2018-06-14 06:52 修正:2018-06-14 07:30
「韓米連合演習中止」の背景と展望 
トランプ大統領、首脳会談後のABCとのインタビューで  
「私が提案、ウォーゲーム中断したい」  
米国防総省「事前に調整されたメッセージ」  
韓国政府とは事前協議なかったもよう  
大統領府「発言の正確な意味を把握する必要がある」  
「小規模訓練は続ける」との見通しも
北朝鮮の「労働新聞」は12日に朝米首脳会談が開かれたシンガポールのカペラホテルで金正恩国務委員長とジョン・ボルトン米ホワイトハウス国家安保会議補佐官が握手する様子を、13日付で報道した/連合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領の「韓米合同軍事演習の中止」発言が6・12朝米首脳会談で議論され、合意された事案だったことが分かった。北朝鮮に対する脅威の解消に向けた米国の初めての措置となる合同演習の中止が、朝鮮半島における平和構築の過程でいかなる役割を果たすかに注目が集まっている。

 「労働新聞」など、北朝鮮メディアは13日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が前日の朝米首脳会談で、朝鮮半島の平和と関連し、「相手を刺激して敵対視する軍事行動を中止する勇断を下さなければならない」と述べたことに対して、トランプ大統領が「理解を示し、朝米間に善意の対話が行われている間は、朝鮮側が挑発と見做す米国と南朝鮮の合同軍事演習を中止すると明らかにした」と報道した。

 トランプ大統領が前日の記者会見で、「(北朝鮮と)非常に包括的かつ完全な合意を交渉する状況で、ウォーゲーム(合同演習)をすることは不適切であり、非常に挑発的な状況」だとし、合同演習を中止する意向を示した背景を説明したのだ。金委員長が問題提起を行い、これをトランプ大統領が受け入れたという意味だ。しかし、トランプ大統領は同日、米国のABC放送のインタビューでこれと関連し、「私が提案し、私がやりたいことの一つはウォーゲームを中断すること」だとし、本人の提案だったという趣旨で説明した。

 現在定期的に実施されている大規模な韓米合同演習には「キーリゾルブ」と「トクスリ演習」、「乙支フリーダムガーディアン」などがある。訓練が実際に中止されれば、初の事例は8月に予定された乙支フリーダムガーディアン演習になる公算が高い。合同演習の中止には前例がある。1992年のチームスピリット演習は、対話ムードを作るためとの理由で実施されなかった。今回、トランプ大統領が演習の中止に「交渉が行われている間」という条件をつけたのは、訓練を実施するかどうかを今後の朝米交渉のテコにするためと見られる。

 米国防総省はトランプ大統領の合同演習の中止発言が事前協議を経て調整されたメッセージだと明らかにした。ロイター通信は、ダナ・ホワイト国防総省報道官が、トランプ大統領の合同演習中止発言がジェームズ・マティス国防長官との事前協議を経たものであることを明らかにしたと報じた。

 韓国政府と事前協議はなかったものと見られる。大統領府は「合同演習の中止」発言が出た翌日の13日にも、「発言の正確な意図や意味を把握する必要がある」と繰り返し述べたたけで、「韓米間の事前協議があったか」という質問にも「答弁する情報がない」と答えた。米国は、過去にも在韓米軍の削減など韓米同盟の懸案を韓国政府と協議なしに一方的に決定した前例がある。事前協議がなかったとすれば、同盟間の信頼を損うものとして議論になる可能性がある。

 政府は韓米当局間接触を通じてトランプ大統領の真意を確認した後、対策を協議する計画だ。大統領府当局者は「14日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が主宰する国家安全保障会議(NSC)を開き、朝米首脳会談の結果を評価し、後続措置案などについて協議する」と話した。

 しかし、政府が合同演習中止の決定に反発する可能性はそれほど高くない。政府はすでに、合同演習の縮小問題を米国と協議したことがある。ソン・ヨンム国防部長官は、今回の朝米首脳会談の10日ほど前、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席した際に、マティス米国防長官と韓米国防長官会談を行ない、会談後「今後、韓米合同演習を『ローキー(控えめなレベル)』にすることでマティス長官と合意した」と明らかにした。しかし、当時、国防部の実務者たちは「『演習は計画どおり実施するものの、マスコミ公開および広報は自制する』という意味」だと話した。

 米国では今回の合同演習中止の決定について「過度な譲歩」という批判の声もあがっている。ウィリアム・コーエン元国防長官は「韓米合同演習の費用が高いとしても、戦争で敗北した時の費用はさらに高い」と話した。米国防総省ではトランプ大統領が明らかにした合同演習中止の範囲などをめぐり混乱が起きていると、ウォールストリートジャーナルが報じた。国防総省のある高官は、小規模訓練も中止の対象なのかを確認すべきだと指摘したのに対し、他の高官は小規模訓練はこれからも続くだろうという見通しを示した。

パク・ビョンス先任記者、イ・ボニョン、キム・ボヒョプ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/848968.html韓国語原文入力:2018-06-14 01:02
訳H.J

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