キム・ミョンス最高裁長官が公言した「決断の時間」が近づいている。ヤン・スンテ前最高裁判所長時代の「司法壟断」の処理をめぐり、司法発展委員会(5日)、全国裁判所長懇談会(7日)、全国裁判官代表会議(11日)に続き、12日にはキム最高裁長官の主宰で最高裁裁判官全員が出席する懇談会が開かれた。司法部内部の意見集約の手続きが終わったことにより、キム最高裁長官が近いうちに出す結論に関心が集まっている。
キム最高裁長官は先月31日、国民向け談話で「最終判断を担う最高裁判所が刑事措置をするのは、慎重にならざるを得ない。各界の意見を総合し、関係者に対する刑事上措置を最終的に決定する」と明らかにした。その後、キム最高裁長官は具体的に本音を露にしていない。裁判所長懇談会の翌日の8日、「原則的に裁判所内で解決するのが基本の心構え」だとしながらも、刑事告発を排除するという趣旨ではないと説明もした。
法曹界の一部では、最高裁判所レベルの追加告発などが避けられないのではないかという見通しが出ている。先月25日、司法行政権乱用疑惑に関する特別調査団の調査報告書が公開された後の“波乱”が手のつけようもなく拡大し、裁判所の垣根の中で解決可能なレベルを超えたとみているのだ。裁判所長と高等裁判所部長など、裁判所の上層部を除いた一線の判事会議で「捜査を通じた真相究明」要求が大勢を占めたのも、このような観測を裏づける。また、司法壟断関連事件の当事者などが検察に提出した告発だけで16件に達する。司法不信の世論が高まっている状況で、司法部が消極的な態度を示す場合「特権集団」の「隠ぺいの意図」という批判は避けがたいという点も負担になっている。
高位職裁判官を務めたある弁護士は「裁判や判決に対する信頼が根本的に疑われる非正常な状況だという点を、最高裁長官が誰よりも切実に感じているはずだ。キム長官が司法部内部の相当な意見の相違と対立に耐えながらここまで来たのは、さまざまな意見集約を経て、刑事措置に必要な名分を積みあげるためとみられる」と話した。
刑事措置と関連した最高裁長官の選択肢としては、直接告発▽裁判所行政処長を通じた間接的捜査協力の意思表示▽特別検事の要請などが取り上げられている。検察関係者は「キム長官が直接告発の主体となると、後に裁判の過程で最終審に参加するかどうかなど、不必要な議論の余地がある。裁判を担当しない裁判所事務総長が『捜査が開始されれば積極的に協力する』という意思表示をする可能性が最も高いと思われる」と見通した。
法曹界の一部では、最高裁長官が「常設特検法」による特別検事の導入を要請する可能性も指摘されている。2014年から施行中の常設特検法は、利害関係の衝突や公正性が問題になる場合、国会の議決または法務部長官の判断によって特検を導入できるようにしている。検察高位職出身の弁護士は「検察捜査の公正性に対する司法府内部の否定的な雰囲気を考慮すれば、キム長官が特検による捜査を要請する可能性もある」と見込んだ。最高裁長官の立場表明の時期は、6・13地方選挙の直後の14日または15日ごろと予想される。