ソウル高裁部長判事(次官級)らが、「キム・ミョンス最高裁判所長官や最高裁事務総局などは、刑事告発や捜査依頼、捜査要請をしてはならない」と公開的に明らかにし、裁判所内外では「高位裁判官らが真実究明を求める世論に真っ向から逆らっている」という批判の声があがっている。彼らの大半がヤン・スンテ前最高裁長官の在任時代に昇進したという点で、7日に予定された全国裁判所長懇談会でも同じような結論が出るものと見られる。
ソウル高裁部長判事らは5日、判事会議を開き、「最高裁長官、最高裁事務総局、全国裁判所長会議、全国裁判官代表会議などの司法行政を担当したり諮問する機関が刑事告発、捜査依頼、捜査要求などを行った場合、今後関連した裁判を担当する裁判官に圧迫を加えたり影響を及ぼすことで、裁判官と裁判の独立が侵害されかねないことを深く憂慮する」と議決した。彼らは「司法行政権の不適切な行使が司法部の信頼を損ね、国民に混乱と失望を与えており、黙々と裁判を遂行する多くの裁判官の自負心に大きな傷を与えた点について責任を痛感する」としながらも、「1年以上続いている司法部構成員たちの間の葛藤を治癒し、統合するための措置が急がれる」と明らかにした。真相究明、責任者処罰よりも「内部縫合」に焦点を合わせたのだ。
しかし、これは大多数の一線の判事らの意見とはかけ離れたものだという指摘が多い。1日、「聖域なき厳正な捜査が必要だ」という議政府(ウィジョンブ)地裁単独・陪席判事会議の議決を皮切りに、4日にソウル中央地裁単独・陪席判事会議もそれぞれ「徹底した捜査」を求めた。5日も仁川(インチョン)地裁の部長判事会議は「徹底した捜査を通じて真実を明らかにし、最高裁判所と関連当事者は捜査に積極的に協力しなければならない」と議決した。同じ日、釜山地裁陪席判事会議も「捜査要請を含めたすべての実行可能な後続措置」を求めている。
ある判事は「ヤン・スンテ最高裁長官時代に高裁部長に昇進した人は、自分がヤン長官に“恩”を受けたと考えるため批判できないうえに、(高裁部長らは)行政処の勤務経験が多く、ヤン前最高裁長官と共犯意識を持っていたり、問題意識をちゃんと感じられない場合がある」と皮肉った。実際、ヤン・スンテ最高裁長官就任後の2012年~2017年2月に高等裁判所の部長判事に昇進した89人を確認してみると、このうちの41%の37人が事務総局勤務経験があり、最高裁裁判研究官の経歴がある人まで合わせると、67人(75%)に達する。また、ソウル高裁部長判事の中には「司法行政権乱用疑惑に関する特別調査団」調査報告書や事務総局が公開した文書から自由でない人たちもいる。キム・ドンオ・ソウル高裁部長判事は、仁川地裁所長在任中に、事務総局が注視していた裁判官の匿名オンライン・コミュニティを開設した判事と会い、コメント流出の危険性などを伝達した。イ・ジンマン・ソウル高裁部長判事も量刑委員会常任委員の時、TF(作業部会)を構成し、統合進歩党の国会議員の行政訴訟に対する裁判所の判断の方向を検討した。