「組織的犯罪であるこの事件において、被疑者が占める地位と役割および捜査進行経過などに照らし、現段階で拘束の理由と必要性および相当性を認め難い」
3日未明、ソウル中央地裁のパク・ポムソク令状専門担当部長判事が、サムソンの労組瓦解工作実務者とされるサムスン電子サービスのユン某常務の拘束令状を棄却するに当たって表明した理由だ。ユン常務は労組対応組織であるサムスン電子サービス総括TFの実務責任者で、サムスンの無労組経営のための「グリーン化」(労組に加入した人を脱退させること)を主導した疑いを受けている。
法曹界では、裁判所が令状段階から事件を「組織的犯罪」と規定すること自体が異例だとの評価が出ている。通常、裁判所は「容疑が疏明されていない」「逃亡および証拠隠滅の恐れがない」といった水準で事案を判断し棄却事由を明らかにする。事由が詳細になれば一種の捜査ガイドラインと見られる可能性があるからだ。
サムスンは労組弾圧と関連して「本社レベルの介入はなかった」と主張している。このため、裁判所の棄却事由が労組瓦解という大きな図を企画し指示したサムスン電子やサムスングループの上層部に対する捜査の必要性を遠まわしに言及したのではないかという解釈が出てくる。ソウル地域のある判事は「組織的犯罪は関係者を綿密に捜査して上層部を狙わねばならないのだが、まだ実務者の調査が充分なされていないという判断かも知れない」と言った
これに対し、「組織的犯罪」と判断しておきながら核心的実務者の拘束令状を棄却し、かえって上層部に対する捜査を困難にしたという批判が、裁判所と検察の双方から出ている。ソウル地域のある検事は「裁判所がサムスンという巨大な組織の特性を考慮できずに、ただ厳格な基準を当てたもの」と皮肉った。「サムスングループ→サムスン電子→サムスン電子サービス本社→地方支社→協力会社」という一連の指示関係において、上層部との核心連結リングであるユン常務を圧迫する手段が弛み、他の実務陣まで次々に口を閉ざしてしまう可能性が高まったというわけだ。令状業務経験を持つある判事は「ユン常務は実務者であると同時に相当な権限を持つ指揮体系の一部でもある。サムスンの“尻尾切り”の手法が通ったのではないかと思う」と指摘した。「森を見るべきだ」とした裁判所はこの日、ユン常務の指示を履行した容疑を受けている協力会社の元・現代表に対する拘束令状もすべて棄却した。
この日検察は「ユン常務は企画廃業を実施するなど、“グリーン化”作業を長期間直接遂行した。証拠がほぼ完璧な状況で令状を棄却したのは納得し難い」とした。検察は補強捜査後、拘束令状を再請求する方針だ。
韓国語原文入力:2018-05-03 11:26