協力会社に対する「違法派遣」をこれまで否定してきたサムスン電子サービスが、実際には労働者全体が組合員である地域センターを廃業するよう誘導し、偽装廃業の後にはセンター代表に権利金まで世話をしていた事実が16日、明らかになった。検察が押収した「光明海雲台(クァンミョン・ヘウンデ)センター職場閉鎖先制戦略」文書には、サムスン電子サービス代表取締役の署名まであるという。
文書に登場する光明海雲台センターは2014年2月、個人的事情と経営上の困難などを理由に突然廃業を告知した。このセンターは2013年7月にサムスン電子サービス労組が設立された当時、内勤・外勤労働者44人全員が組合に加入したところだ。会社側としては「目の上のこぶ」だった。
同センターの廃業をめぐり労組が疑惑を提起すると、サムスン電子サービスはこれまで「廃業は当該センターの固有権限であるため、元請けがどうこうできる部分ではない」とし、本社とは関係ないことだと線を引いてきた。しかし、サムスン電子サービスが作成した文書には「センター長が経営難などを理由にセンターを廃業することを明確にせよ」という内容とともに、「急に会社を失うことになった協力会社(センター)の代表取締役の権利金をどのように補償するか」などを検討する内容が含まれているという。
当時の光明海雲台センターの場合、権利金が6700万ウォン(約670万円)にのぼった。これによってサムスン電子サービスは、新しく募集した新規協力会社が直接権利金を与える案▽サムスン電子サービスが融資をして新規協力会社に金銭を貸し、その金で元の協力会社に権利金を支払う案▽廃業した協力会社の代表取締役をコンサルタントとして採用し権利金を与える案を検討したという。その後サムスン電子サービスはさまざまな検討の末、廃業した協力会社の代表取締役を採用して給与を支払い、事実上権利金を補填する方式を選んだという。この文書は各チームと部署の決裁を経て、代表取締役の最終承認まで受けた。
結果的に、協力会社が本社とは無関係だと主張したサムスン電子サービスが、労組活動が活発なセンターを偽装廃業の形でなくしてしまったということだ。その後、忠清南道牙山(アサン)センターと京畿道利川(イチョン)センターでも、同様の理由で偽装廃業が行われた。
一方、検察が今回の文書とは別に押収したサムスン電子サービスの「マスタープラン」文書にも、各協力会社に通達する「廃業告知文」と「警告文」の書式が予め決められていたことが確認された。サムスン電子サービスが協力会社の元請けでないなら、なぜこのような労組瓦解工作を積極的に行ったのかについて説明できない証拠が続々と明らかになっているわけだ。
光明海雲台センターに勤務していたクァク・ヒョンス・サムスン電子サービス支会副支会長はこの日、ハンギョレの電話取材で「当時、海雲台センターの労組加入率はほぼ100%で、労組が釜山から始まったも同然だった」とし、「労組が組織されると、協力会社の社長らが口癖のように『サムスンが労組を認めると思うか。このままでは廃業するしかない』という話をよくしていた。海雲台センターは廃業告知から一週間で閉鎖された」と話した。