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巨大サムスンに対抗した労組、ついに直接雇用引き出した

登録:2018-04-18 06:13 修正:2018-04-18 10:25
サムスンと労組の合意内容は 
 
子会社通じた間接雇用や特別採用方式ではなく 
サービス部門の労働者の正社員化で、望ましい事例 
 
需要が少ない時期の安定的賃金の保障など 
後続の細部協議は残された課題 
労働界「全系列会社の雇用の質の向上を」
今月17日午後、ソウル麻浦区のある事務室でナ・ドゥシク全国金属労働組合サムスン電子サービス支会代表支会長(左)とチェ・ウス・サムスン電子サービス代表取締役が協力会社所属の労働者を直接雇用する内容の合意文に署名している=サムスン電子サービス支会提供//ハンギョレ新聞社

 17日、サムスン電子サービスの労使合意を通じて確認された事実は、サムスンの「無労組経営」原則の放棄と、8千人規模の下請け労働者の直接雇用の二つだ。これまで韓国の主要大企業は間接雇用を通じて費用を軽減すると共に、使用者の責任を避けてきたという点で、サムスン労使の今回の大規模な直接雇用に向けた合意には、大きな意味があると評価されている。

 サムスン電子サービスとサムスン電子サービス支会(労組)が同日合意した内容によると、会社側は協力会社の職員を直接雇用し、労組・利害当事者と早いうちに直接雇用の具体的内容に関する協議を開始することにした。サムスン電子サービスの間接雇用の規模は8千人にのぼる。家電製品の設置や修理、コールセンターなど支援部門で働く労働者まで合わせると、1万人を越えるものと推算される。労使はまず修理部門から直接雇用を始め、支援部門労働者の直接雇用に関する協議も進めることにしたという。

 昨年、雇用労働部が公示した雇用形態現況によると、300人以上の大手企業の間接雇用の割合は19%(90万2千人)にのぼる。この統計にはサムスン電子サービスの下請け労働者のように「同じ事業所」で勤務しない労働者は除外されているにもかかわらず、間接雇用の割合がかなり高い。「危険の外注化」や「質の低い働き口の量産」など、無分別な間接雇用に対する問題提起が続いたが、大企業で働く間接雇用労働者の正社員化にはあまり進展が見られなかった。

 このような状況で、今回のサムスン電子サービスの労使による直接雇用への合意の“過程”と“結果”は、これまで他の大手企業が間接雇用労働者らを正社員化した事例に比べ、一歩前進した合意と評価できる。例えば、他の企業は裁判所や雇用労働部、労働監督による違法派遣の判断を受けて正社員化に乗り出した。イーマートは2013年、雇用部の違法派遣の判定後に約1万人のレジ打ち労働者を正社員として採用しており、パリバゲットも雇用部の違法派遣の判定後に「子会社を通じた正社員化」を受け入れた。社内下請け労働者の勤労者地位確認訴訟で相次いで敗訴した現代・起亜自動車は、既存の社内下請け労働者を直ちに正社員化せず、「特別採用」方式で正社員に転換し、批判を受けた。

 一方、サムスン電子サービスの場合、2013年に行われた雇用部勤労監督で違法派遣ではないという判定が出ており、昨年1月に労働者が提起した勤労者地位確認訴訟の1審でも労働者が敗訴した。使用者側に決して不利ではない状況で、子会社を通じてではなく、直接雇用の形で正社員として採用する点で、これまでの事例とは異なる。これは検察の「労組切り崩し工作疑惑」に対する全面的な捜査が始まったことを受け、サムスン自らが立場が弱くなったことを考慮して下した決定と見られる。実際、サムスン側は今月13日から始まった労使協議では子会社を通じた正社員化を提案したが、支会の反対で「直接雇用による正社員化」に転じたという。「サムスン労働人権守り役」のチョ・ドンムン常任代表(カトリック大学教授)は「法的判断が下されていない状況で、労使の合意を通じて完全な直接雇用による正社員化を成し遂げたのは非常に肯定的な事例」だとしたうえで、「子会社を通じた正社員化が進んでいる公共部門にも示唆するところが大きい」と話した。

  2013年7月の発足以来、「直接雇用による正社員化」という労組最大の闘争課題を勝ち取ったサムスン電子サービス支会は、正社員化の過程と条件に関する詳細協議という、もう一つの課題を抱えることになった。正社員化を進めた一部大企業と公共部門で、正社員化以降むしろ労働条件が後退する事例が発生したからだ。このために支会は、定年の保障や雇用安定▽労組の権利の確保▽1件当たりの手数料制の廃止などを正社員化の過程で必ず実現することを目標に掲げている。サムスン電子サービス労働者たちは最低賃金レベルの固定給に修理1件当たりの手数料を成果給の形で受け取っているが、修理の需要が少ない時期には生活賃金が保障されないという問題を提起してきた。サムスン電子サービス支会のナ・ドゥシク会長は今回の合意について、「『サムスンを変えて世の中を変える』ことを目指してきたサムスン電子サービスの間接雇用非正規労働者たちの勝利」だとし、「千万人の非正規労働者たちが、サムスン電子サービスの間接雇用非正規労働者の闘争をきっかけに、勇気を出してもらえたら」と話した。

 ノ・グァンピョ韓国労働社会研究所長は「不当労働行為など、違法行為を捜査する過程で、これを解決するための方法として行われた合意と見ることもできるが、間接雇用の非正規労働者の闘争があったからこそ可能だった結果」だとし、「サムスンが明らかにした通り、質の高い雇用に向けた努力の一環として行われた合意だとすれば、サムスン電子サービスに止まるのではなく、全系列会社で雇用の質を高め、労働人権を向上する方法を市民社会が参加する中でまとめてほしい」と話した。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/841023.html韓国語原文入力: 2018-04-18 05:01
訳H.J

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