大韓航空オーナーの対処方式は
2014年と変わりなし
今度は職員たちが
「二度はだまされはしない」と事態を主導
職員が開設した情報提供のための団体チャットルームには
職員だけが知っている内容が続々と
「オーナー一家だけでなく会社も
私達を召使いのように扱った」
謝罪・収拾策に満足せず
「チョ・ヤンホ退陣の時まで…」
3年半で怒りは数倍になった。 2014年のチョ・ヒョナ当時大韓航空副社長の“ナッツ・リターン事件”の時に比べて、最近持ち上がったチョ・ヒョンミン前大韓航空専務の“水かけパワハラ事件”から始まった大韓航空内外の憤りは、いっそう爆発的かつ組織的だ。“ナッツ・リターン事件”の時も財閥家の娘の想像を超えた“パワハラ”が知られると世の中は騒然となったが、今回は序盤から現在まで大韓航空職員が事態を主導している。あたかも2014年のチョ・ヒョナ当時副社長に抵抗したパク・チャンジン事務長が数千名に増えたような姿だ。
2014年12月5日の“ナッツ・リターン事件”当時に遡ってみれば、事件の始まりと大韓航空の対処方式は今も特に変わりはない。チョ当時副社長が乗務員のピーナッツ提供サービスを問題にして滑走路に移動中の航空機をリターンさせ、3日後の12月8日、当該事件がハンギョレの報道により知られることになる。すると大韓航空は同日立場資料を出して謝罪し、翌日チョ副社長が職務辞任した。 チョ・ヤンホ会長は事件発生日から一週間後の12日に謝罪した後、翌年1月5日「疎通委員会を作って企業文化を改善する」と明らかにした。 しかし、疎通委設置と企業文化改善の約束は結局守られなかった。
今回の“水かけパワハラ”問題も、始まりは匿名掲示板のアプリ「ブラインド」だった。今回は妹のチョ・ヒョンミン前専務が広告代理店職員に水をかけたという疑惑が持ち上がった。 掲示板のその書き込みが12日のマスコミ報道につながって事態に火をつけた。 チョ前専務は報道当日、自身のフェイスブックに謝罪文を載せ、チョ会長は10日目の22日に謝罪文を出し、チョ・ヒョナKALホテルネットワーク社長とチョ・ヒョンミン専務の職責を剥奪すると述べた。 また、グループの遵法経営状態を点検する遵法委員会を新設し、チョ会長の長年の“腹心”であるソク・テス韓進KAL代表を大韓航空副会長に任命すると明らかにした。
ところが、職員たちはそれには乗らなかった。 「二度はだまされはしない」としてオーナー一家の退陣要求に出た。 ある大韓航空職員の主導で開設されたカカオトーク団体チャットルーム「大韓航空パワハラ不法不正情報提供ルーム」には、大韓航空側のあわただしく出される謝罪および収拾策発表にもかかわらず、オーナー一家を直接対象とする具体的な情報内容が次々と上がっている。イ・ミョンヒ理事長(チョ・ヤンホ会長夫人)と推定される人物の工事現場でのパワハラ動画や、大韓航空と関税庁職員間の癒着情況を示す証拠資料などは、職員たちが直接乗り出さなかったならば知られにくい種類の事だ。職員らはさらにはオーナー一家の退陣を要求するろうそく集会を行なう準備までしている。
職員のこうした「直接行動」の背景には、「オーナー一家のパワハラと同様、会社も職員を召使いのように扱っている」という感情が根底にある。 怒りの調節のできない個人の逸脱行為ではないということだ。 実際に大韓航空は昨年、史上最大の営業利益を出したが、これを職員らと分けあうのはひどく物惜しみした。大韓航空の営業利益は2014年の3950億ウォン(営業利益率3%)からオイル価格が下降し始めた2015年8831億ウォン(7.6%)、2016年1兆1208億ウォン(9.6%)、昨年9398億ウォン(7.8%)と突き上がった。 チョ・ヤンホ会長は2014年から毎年27億ウォン程の報酬を大韓航空から受取り、昨年大韓航空・韓進KAL・(株)韓進の3つの系列会社から受取った報酬総額は66億4千万ウォン(約6億6400万円)に達する。
これに対し、大韓航空職員の賃金引き上げ率は2015年1.9%、2016年3.2%にとどまった。 昨年の賃金引き上げ率は労組が会社に決定を委任し、未定の状況だ。 ある大韓航空職員は「労組が会社側と近い関係にあって会社に賃金決定を委任するなどのため、労組に何かを期待することは難しい」と言う。 初めカカオトーク団体チャットルームを作った大韓航空職員も「職員の求心点がなくてナッツ・リターン事件の時に私たちは何もできなかった」として、「そのためパク・チャンジン事務長のような被害者が生まれた。これからは私たちの力で乙(弱者の立場)の反撃をするつもりだ」と話した。 また別の大韓航空職員は「私たちは本当に苦労して大韓航空に就職したが、チョ・ヒョナとチョ・ヒョンミンの二人は若くしてグループの役員になり、世間に怖いものなしで人々を召使のように働かせるのだから、誰が見ても公正でない」と指摘した。