チョ・ヒョンミン大韓航空専務の「水かけパワハラ」の波紋を機に、グループ(韓進)のチョ・ヤンホ会長一家の横暴ぶりと不正疑惑があふれ出ている。大韓航空の職員が相次いでマスコミに情報提供をしたり、SNSに暴露文を載せている。
「密輸疑惑」もその中の一つだ。大韓航空の職員が載せたという書き込みによると、オーナー一家の女性たちは外国に行くたびに数百万~数千万ウォン分のブランド品を購入しているのに税関に申告をするのはまれだったという。つまり、関税を免れて密輸したということだ。外国でブランド品を購入して航空機の事務長に預け、税関検査を受けない別の通路で持ち込んだという。空港には常駐職員が利用する通路があり、そちらには税関職員はおらず、セキュリティー職員だけが働ている。
密輸はパワハラとは次元が違う別の犯罪だ。関税法は免税の範囲を超えた品を税関に申告しないで搬入した場合、5年以下の懲役または関税額の10倍か物品価格のうちの高い方の金額を罰金として払わせ、該当品を没収するようになっている。関税庁はチョ会長夫婦と、ヒョナ、ウォンテ、ヒョンミンの3姉妹が過去5年間外国で使ったクレジットカードの内訳について捜査に着手した。徹底した捜査を通じて疑惑を明々白々と明らかにせねばならない。
パワハラもしかり、密輸疑惑も全てオーナー一家が企業を私有物と考える間違った認識を見せている。職員を小作人のように働かせ、企業活動を私利の追求に動員したのだ。すでにチョ会長は会社の約30億ウォンを自宅の工事費で流用した疑惑が昨年明らかになり、現在検察に捜査されている。企業を個人の金庫として考えるのは前近代的な姿だ。
チョ会長一家の相次ぐ逸脱ぶりは、同族経営と「皇帝経営」の弊害に違いない。チョ会長夫人のイ・ミョンヒ氏はグループ財団であるイルウ財団の理事長、長女はKALホテルネットワークの社長、次男は大韓航空社長、次女は大韓航空専務を務めている。一家はグループを掌握して絶対的な権限を振り回している。その反面、一家の過ちを制してブレーキをかけることができる内部システムはない。企業がまともに回っていくはずがない。
グループが本当に危機に陥る前に、チョ会長は決断を下さねばならない。会社と社員をこれ以上無茶苦茶にしないつもりなら、夫人や子どもを経営から手を切らせるべきである。それ以外には答はない。