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大統領統一外交安保特別補佐官「北朝鮮を悪魔化せずに、ありのまま見るべき」

登録:2018-04-05 21:26 修正:2018-06-15 07:27
「北の核、原則は一括妥結だが履行は段階的に
今後2~3カ月内に朝鮮半島問題決定
過度の楽観・悲観・懐疑論どれも現実的でない
政権初期の会談は大きい利点、北朝鮮とシャトル外交が可能」
3月31日、日本東京新宿区の早稲田大学国際会議場で開かれた「朝鮮半島の核危機-対話による解決は可能か」と題するシンポジウムで基調演説をする文正仁大統領統一外交安保特補//ハンギョレ新聞社

 「北朝鮮をあまりに悪魔化しないようにしよう。北朝鮮をありのまま見て、北朝鮮が何を望んでいるのかよく傾聴しよう。そのようにして真の意味で交渉が行なわれるようにし、(非核化交渉の)妥結を可能にしなければならない」。

 文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が31日、東京新宿区の早稲田大学国際会議場で開かれた「朝鮮半島の核危機―対話による解決は可能か」と題するシンポジウムにおいて、北朝鮮核問題に対する現実性のある柔軟な接近を強調した。基調演説者として立った文特別補佐官は、現実的に北朝鮮を非核化するための方法としては「包括的・一括的解決以外に他の方案はない」と言った。しかし非核化の履行には時間がかかり、段階的アプローチをするしかないという事実も認識しなければならないと指摘した。「北朝鮮を非核化するには、第一に核兵器の凍結、第二に核施設の申告、第三に国際原子力機関(IAEA)の専門家の調査、最後に検証可能で不可逆的な核施設廃棄が必要だ」とした上で「このすべてを一度にすることはできず、順次に進めなければならない。私たちも段階別に、提供するものは提供し、受け取るものは受け取るようにしなければならない。原則は一括妥結だが履行は段階的にならざるを得ない」と述べた。

 文特補は「トップの間では大きなスケールで一括妥結をすべきだ。過去のようになってはならない。北朝鮮は少し出してたくさん取ろうとし、我々はそれが苛立たしくて北朝鮮と交渉をしようとしなくなることもある。トップが一括して妥結をし、(実務交渉では)妥結を正当化させる交渉をすれば可能性がある」とも言った。

3月31日、日本東京新宿区の早稲田大学国際会議場で開かれた「朝鮮半島の核危機-対話による解決は可能か」と題するシンポジウムで基調演説をする文正仁大統領統一外交安保特補。この日の会場は420席がいっぱいに埋まった//ハンギョレ新聞社

 文特補は南北首脳会談と朝米首脳会談について楽観論と悲観論、懐疑論が存在するが、どれも現実的ではないと述べた。特に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が駐韓米軍撤収を要求したり、連邦制統一を要請したりした場合、韓国政府が受け入れることもあり得るという懐疑論に対して「小説のような話」だと一蹴した。「韓国政府の公式的立場は連合制だ。どうして整地作業もなしに一つの主権(国家)になる連邦制を受け入れることができようか」と言った。

 文特補は「朝鮮半島問題は今後2~3カ月内に決定される」として「南北首脳会談は成功するだろうと見るが、朝米首脳会談は不確実性が存在する。今後2~3カ月の間、不確実性を最小化するためにあらゆる努力をすべきだ」と言った。ただし朝米首脳会談についても「歴史的に失敗した首脳会談はあまりない。失敗しても失敗でないように見せるのが首脳会談だ。ドナルド・トランプ米大統領も中間選挙を控えているので、この局面を壊すことは難しいだろう」と見通した。

 北朝鮮が現実的に核兵器を完全に放棄しはしない可能性が高いではないかという指摘に対しては「そうした憂慮については共感する。北朝鮮が望むのは中国やパキスタンのように核が認められるモデルだろう。しかし重要なのは、北朝鮮が非核化しないだろうから対話は止めようと言ってはならないという点である。そうなれば北朝鮮は核兵器を強化させるだろうし、軍事的緊張は高まるだろう。結局、対話と交渉を通して北朝鮮を説得していかなければならない」と話した。

 文特補は今回の首脳会談が文在寅政権初期に開かれるので、南北シャトル外交も可能だと見通した。「今後1年に2回程ずつ首脳会談をするならば、(南北関係に)相当な進展をもたらすことができる」と言った。文特補は南北交流協力方案について「2007年の10・4南北首脳宣言で合意した48の交流協力事業を検討してみたら、そのうち少なくとも20個は国連安保理の制裁決議と関係なくできるものだった」として、「北朝鮮が望むほどではないかも知れないが、制裁体制の中でも支援が可能だ」と指摘した。そして「この48の合意事項が履行されるならば、(文在寅大統領が構想する)南北経済共同体構想がまともに実現され得るだろう」として「北朝鮮(核・ミサイル)脅威がなくなれば、民族資本だけでなく国際資本がたくさん入って北朝鮮の経済水準が上がり、後に経済統合がずっと容易になるだろう」と期待を見せた。「北朝鮮が非核化について具体的な歩みを見せれば、韓国政府が国連に中国、米国と一緒に制裁緩和を要請することができる」とも述べた。

 文特補は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領に直接尋ねて聞いた話だとして、ジョージ・ブッシュ元米大統領が北朝鮮との終戦宣言に同意したという話もした。盧元大統領が2007年9月のシドニーアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で終戦宣言について尋ねた時、ブッシュ元大統領は「イエス」と答えたが、胡錦濤元中国国家主席は終戦宣言提案については答えなかったと言った、と伝えた。そのため2007年の南北10・4首脳宣言では「3者または4者首脳会談を通して終戦宣言をしよう」という趣旨の話が入ったということだ。中国が同意しなければ、一旦は南と北そして米国の3者が会談を通して終戦宣言をし、中国が後で同意すれば4者会談の形態で終戦宣言をしようという話だったと伝えた。傍点は3者会談にあったという話だ。

 この日のシンポジウムには李鍾元(リー・ジョンウォン)早稲田大学教授、木宮正史東京大学教授、小此木政夫慶応大教授など、朝鮮半島問題関連の日本の専門家たちが司会者と討論者として参加した。朝鮮半島情勢の急変に対する日本社会の高い関心を反映するように、会場は420席がいっぱいになった。

東京/文・写真チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2018-04-01 02:15

https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/838524.html 訳A.K

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