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[ニュース分析]金委員長、「段階的・同時的朝鮮半島の非核化」に初めて言及

登録:2018-03-29 00:48 修正:2018-03-29 07:02
朝中首脳会談 
金委員長「非核化は先代の遺訓 
韓米が平和措置取るべき」 
習主席、金委員長の招待を受諾
執権後初めて中国を訪問した北朝鮮の金正恩労働党委員長夫妻が、中国の習近平国家主席夫妻と今月26日、北京の人民大会堂で晩餐を共にしている/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が中国の習近平国家主席の招待で25~28日、夫人の李雪主(リ・ソルジュ)氏と共に中国を訪問し、26日に習主席と首脳会談を行ったと、北朝鮮と中国官営メディアが一斉に報じた。金委員長は、習主席に金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の「遺訓に基づく非核化への意志」を明らかにしており、韓国と米国が「平和の実現に向けて段階的、同歩的(同時的)措置を取れば、非核化問題は解決できるだろう」と明らかにした。

 28日、「朝鮮中央通信」や「新華社通信」など、朝中メディアの報道を総合すると、今月25日、特別列車で平壌を出発した金委員長一行は、朝中国境地域の遼寧省丹東で、宋涛対外連絡部長など中国側の関係者の出迎えを受けた。さらに、26日に北京に到着して人民大会堂で習主席と歓迎行事や首脳会談、歓迎晩餐を共にした。金委員長は27日、習主席と昼食を共にした後、北京を出発し、28日朝6時頃(現地時間)、国境を越えて平壌に帰還した。

■朝鮮半島非核化の「遺訓」を強調

 今回の朝中首脳会談でまず目を引くのは、金正恩委員長の非核化の意志表明と新しい情勢についての意見だ。習主席は、首脳会談で「今年に入って朝鮮半島情勢に肯定的変化が生じ、朝鮮が重要な努力をしたことを高く評価する」とし、「我々は(朝鮮)半島の非核化目標と平和・安定、対話・交渉を通じて問題解決を堅持する」と述べた。

 これに対して金委員長は「我々は、南北関係を和解・協力関係に変えながら、南北首脳会談を行い、米国との対話をして朝米首脳会談を行うことを決心した」とし、「金日成主席と金正日総書記の遺訓に従い、(朝鮮)半島の非核化を実現するように努力するのは、我々の変わらない立場」だと述べた。初の国際外交舞台に出た金委員長が「非核化への意志」(遺訓)を明確にした意味は大きい。

 さらに、金委員長は「もし、南朝鮮(韓国)と米国が善意で我々の努力に応え、平和・安定の雰囲気を作っていくと共に、平和の実現に向けて段階的かつ同歩的措置を取るならば、半島の非核化問題は解決できるだろう」と述べたと、「新華社通信」が報じた。これは、金委員長が、韓国と米国が今後の首脳会談などで北朝鮮の非核化のための処置を要求し、これに合わせて北朝鮮も同レベルの担保措置を取る「同時並行」方式で非核化を推進する構想を具体的に提示したものと言える。

■朝鮮半島情勢の主導的緊張緩和

 金委員長と習主席は、急変する朝鮮半島情勢を主導的に乗り切っていくという意志も示した。金委員長は会談で「我々は主導的に緊張した情勢を緩和させる処置を取っており、平和的対話を提案した」と強調した。これに対して習主席は「中国は半島問題で引き続き建設的な役割を発揮することを望んでおり、朝鮮を含めた各国と共に努力し、半島情勢が緩和の方向に向かうよう、共に推進していくことを望んでいる」と答えた。

 中国では金委員長が朝鮮半島情勢の急激な変化と関連し、「情義(人情と義理)と道義上、私は直ちに習近平総書記に会い、状況を知らせるのが当然だ」と言ったことに注目している。これまで一部で言われた、朝鮮半島情勢において中国が排除されるいわゆる「チャイナ・パッシング」議論を明確に整理する発言だからだ。

■朝中関係の全面復元

 北朝鮮の核・ミサイル試験と中国の対北朝鮮制裁の参加過程でギクシャクした両国関係も、今回の首脳会談を通じて過去の「血盟」に全面復元されたと評価されている。両首脳は会談の後に行われた晩餐会で、「朝中友誼」と「先代の指導者の友誼」を特に強調し、今後、習主席の北朝鮮訪問をはじめ、首脳級の交流を続けることにするなど、具体的な結果も発表した。

 金委員長は会談で、20日に閉幕した全国人民代表大会で、習主席が再選を確定したことを祝いながら、「私の初の外国訪問が中華人民共和国の首都になったのは、あまりにも当たり前のことであり、これは朝中親善を命のように重んじて引き継いでいくべき私の崇高な義務」だと話した。今後、朝中関係を過去の伝統に沿って展開することを強調したのだ。

 習主席は「老(前)世代の指導者たちが共同の理想と信念に基づき、心を込めて発展させてきた中国と朝鮮との親善を重視し、絶えず継承、発展させていくのは、中国共産党と政府の戦略的選択であり、確固不動な意志」だとし、朝中関係の重要性を強調した。また習主席は「朝鮮には根深い木は風に揺るがされず、奥深くから出てきた湧き水は涸れないということわざがある」とし、「伝統的な中国と朝鮮との親善は血で結ばれた親善であり、世界に無二のもの」だと強調した。

 両首脳がこれからも相互訪問、特使の交換など主脳級の交流を続けていくと明らかにしたことも、朝中関係の劇的な変化を表している。北朝鮮は、金委員長が習主席の訪朝を招待し、「(習主席が)快く受諾した」と明らかにした。中国側も、習主席と金総書記が「相互訪問」など高官級交流を続けることにしたと伝えた。

■経済協力

 朝中関係の復元によって両国間の経済協力も活性化する可能性が高まった。ただし、国連をはじめ国際社会の対北朝鮮制裁によって、非核化過程の進展に伴い、漸進的に行われるしかないものと見られる。

 習主席は会談で「現在、中国特色社会主義(中国式社会主義)は、すでに新たな時代に入っており、朝鮮の社会主義建設も新たな歴史的時期に進入した」としたうえで、「朝鮮側と共に努力し、両国人民の福祉を不断に増進させて、地域の平和・安定・発展に向けて肯定的に貢献することを望んでいる」と述べた。彼はさらに、「われわれは、朝鮮の仲間たちが政治的安定を守護し、経済発展を進めるために積極的に努力することを強く支持する」と付け加えた。

 チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「中国が国際社会の北朝鮮制裁の協力枠組みから抜け出すことはしないものの、北朝鮮が段階的に非核化措置を取れば、生活必需品など非軍事的な部分で制裁を解除し、北朝鮮経済に風穴を開ける役割を果たせるだろう」と話した。

■南北、朝米首脳会談に及ぼす影響

 4月末の南北首脳会談と5月の朝米首脳会談を控え、朝中関係が全面的に復元されたことで、「南北米」と「南北中」が重なった「二重の三角対話」によって、今後の朝鮮半島情勢が決まるものと見られる。

 非核化は長い過程だ。したがって、交渉過程で「信頼の危機」が発生した場合、それを適切に管理できなければならない。専門家らが「南北米と南北中の二つの対話の枠組みが同時に動く方が不安要素を除去し、情勢を安定的に管理するのに役立つ」と評価するのも、そのためだ。

 キム・ヨンチョル仁済大学教授は「金委員長は今回の会談で非核化という“出口”を明確にし、交渉の“入口”を従来よりも広げる意向を明確にした」とし、「南北首脳会談と朝米首脳会談を控えた現時点で最も重要なのは、最終的な非核化に向けた『同時並行の解決策』をどう作っていけるか」だと話した。

チョン・イナン、キム・ジウン記者、北京/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/838154.html韓国語原文入力:2018-03-28 22:07
訳H.J

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