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[ニュース分析]朝鮮半島を巡る“グレート・ゲーム”が始まった

登録:2018-03-28 22:57 修正:2018-03-29 15:45
旧韓末、朝鮮戦争に続く新たな勢力均衡を模索中 
北朝鮮核危機めぐり南北、周辺列強の角逐と妥協 
朝中密着の中で朝米会談の成功が分岐点
朝鮮半島をめぐる首脳たちの「グレート・ゲーム」//ハンギョレ新聞社

 朝鮮半島をめぐる“グレート・ゲーム”が幕を上げた。朝鮮半島の非核化と平和体制定着をめぐり、韓国、北朝鮮、周辺列強の外交折衝戦に加速度がついている。

 南北首脳会談と朝米首脳会談の電撃合意に続き、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が25~28日に中国を訪問し、朝中首脳会談を行った。予想を上回る急進展だ。

 近代以後、朝鮮半島をめぐる列強の争いは大きく分けて3回あった。1回目は朝鮮末の日清戦争と日露戦争に続く日本の朝鮮半島植民地化で、2回目は第2次大戦後の南北分断と朝鮮戦争の勃発だ。3回目は1990年前後に社会主義圏が崩壊し孤立した北朝鮮が核開発に乗り出して触発された危機による新たな勢力均衡体制の樹立をめぐり進行していた。

 北朝鮮が核開発を担保にした崖っぷち戦略をとり、中国が米国に対抗する競争国に浮上して、韓国、北朝鮮と周辺の米・中・露・日の4大列強は朝鮮半島の非核化と平和体制という新たな勢力均衡体制の樹立を妥協点にせざるをえなくなった。

 こうした潮流は、2000年に初めて実現した南北首脳会談を契機に本格化した。金正日(キム・ジョンイル)当時北朝鮮書記長は、南北首脳会談を半月後に控えた2000年5月29日、中国を極秘訪問した。1992年の韓中国交正常化以後、葛藤があった朝中関係を復元し、今後繰り広げられる新しい北東アジアの地図で両国の戦略的連帯を確認した。

 6月の金大中(キム・デジュン)大統領との歴史的南北首脳会談に続き、金正日委員長は7月にロシアの指導者としては初めて北朝鮮を訪問したウラジミール・プーチン大統領とも初めての首脳会談を開いた。7月からはベルリンで朝米外交長官会談予備接触を始めた。朝米両国は、チョ・ミョンロク北朝鮮人民軍副元帥の訪米を契機に、平和体制樹立と核・ミサイル問題の解決を骨格とする「朝米共同声明」に合意し、マデレーン・オルブライト米国務長官が平壌(ピョンヤン)を訪問した。ビル・クリントン米大統領の訪朝を準備することで合意した。だが、ジョージ・ブッシュ共和党候補が大統領に当選し、訪朝は実現しなかった。

 ブッシュ大統領が2002年の年頭教書で、北朝鮮をイラク、イランと共に「悪の枢軸」に指定し、朝米関係の進展は完全に破綻し、北朝鮮と日本が接近した。日本の小泉純一郎首相はその年の9月に北朝鮮を電撃訪問し、金正日委員長と歴史的な朝日首脳会談をした。だが、その翌月の10月に平壌を訪問したジェームズ・ケリー米国務省東アジア太平洋次官補が、北朝鮮の高濃縮ウラニウム・プログラムを問題にして第2次北朝鮮核危機が始まった。

 これに対し中国が乗り出した。2003年8月、中国を議長国とする北朝鮮核6カ国協議が始まった。当時、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府は、イラク戦への派兵まで受け入れ朝鮮半島での米国の対話措置を引き出すなど積極的役割を果した。6カ国協議は、2005年の9・19共同声明妥結で北朝鮮の核廃棄と朝鮮半島平和協定に向けたロードマップを提示したが、その翌日に米国はマカオの銀行バンコデルタアジアにあった北朝鮮資金を凍結した。

 後に続いたバラク・オバマ米行政府は、「戦略的忍耐」を掲げて北朝鮮に対する無視で一貫した。今日までに北朝鮮は6回の核実験を実施した。ドナルド・トランプ米行政府がスタートした2017年、第6回核実験と17回のミサイル試験発射があり、朝鮮半島危機は最高潮に達した。

習近平・中国国家主席(左奥から3人目)と金正恩・北朝鮮労働党委員長(右奥から3人目)が26日、北京の人民大会堂で会談している様子で、中国官営の新華社通信が28日に報道した写真=北京/新華聯合ニュース

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪を契機に対話に急旋回した朝鮮半島周辺外交は、2000年の外交で解くことができず、その後に一層悪化してしまった課題を解く“グレート ゲーム”を再び始めた。4月末の南北首脳会談を前後に取り組まれる周辺4強と韓国、北朝鮮の外交戦、そして最終的には5月の朝米首脳会談で解かなければならない朝米関係の正常化だ。

 北朝鮮は核危機を高めさせ、南北首脳会談と朝米首脳会談カードを電撃的に持ち出したし、加えて朝中首脳会談を電撃開催することにより“ゲーム・メーカー”の役割を確保しようとしている。中国は韓・米との首脳会談に立ち向かう金正恩労働党委員長を先に北京に呼び入れた。習近平国家主席は「双方の先代指導者が直接打ち立て共に育ててきた中朝友誼」を繰り返し強調した。朝中関係と朝鮮半島情勢に対する主導権は決して放棄できないという意志の表れだ。

 この間、空転を続けた韓中日首脳会談も5月初めに開かれれば、最近の流れから疎外されてきた日本が朝日首脳会談のために足早に動くだろう。日本は2002年の小泉訪朝のように、周辺列強に先んじる外交の歩みも拒まないだろう。ロシアもやはり北朝鮮と3回も首脳会談を開催した2000年以後の歩みを再開するだろう。

 カギは米国が北朝鮮に非核化の見返りにどのように体制保障をするかだ。こうした対等交換の成功可否と様相が、朝鮮半島とその周辺の新たな勢力均衡体制の樹立を左右するだろう。

※“グレート ゲーム”とは?

19世紀、英国とロシアが中央アジアと南アジアの主導権をめぐって行った覇権争いに由来する。20世紀の中東をめぐる主導権競争にも使われた。主要地域に対する影響力と覇権をめぐる強大国間の競争を意味する用語として定着した。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/838113.html韓国語原文入力:2018-03-28 19:45
訳J.S

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