北朝鮮の金正恩労働党委員長と中国の習近平共産党総書記の中朝首脳会談が27日、電撃的に行われたことがわかった。来月の南北首脳会談と5月の朝米首脳会談を控えた敏感な時期に行われた劇的な会談だ。朝中関係が2011年末の金正恩体制登場以来、ギクシャクした長い年月を後にし、伝統的友好関係で復元されたものと見られる。さらに、平昌五輪を契機に急ピッチで進められた朝鮮半島の対話局面が、南北と米国、中国など関係国の全面的な対話に拡大する引き金でもある。朝鮮半島周辺情勢の対話と和解、共存に向けた波がどこまで続くかも注目される。
金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の電撃的な訪中と朝中首脳会談の開催は、朝中間に7年間も続いてきた不協和音に終止符を打ったことを意味する。朝中首脳会談は2011年5月の金正日(キム・ジョンイル)総書記と胡錦濤国家主席間の会談が最後だ。特に、金正恩委員長が2011年12月に政権を取って以来、朝中関係は平坦でなかった。北朝鮮は中国が相次いで国連安全保障理事会(安保理)の対北朝鮮制裁決議案に賛成したことを不満に思っており、中国は北朝鮮が核実験とミサイル発射を強行して情勢を緊張させることに対して批判的な態度を取ってきた。今回の訪中は7年間続いてきたギクシャクした関係を終息させ、伝統の関係を復元させるものと言える。
最近、南北首脳会談と朝米首脳会談が予告されてから、朝中間の最高位級レベルの対話再開の可能性も慎重に予想されてきた。朝中両国いずれも互いを必要とせざるを得ない状況になったからだ。中国にとっては、これまでの朝鮮半島情勢の変化において存在感を示せなかった無力感を振り払うためにも、朝中関係の回復が切実だ。北朝鮮には、新たに対話局面を開いていく転換期で直面するリスク管理のために、中国という“後ろ盾”が必要である。実際、朝中関係の修復は4月の南北首脳会談と5月の朝米首脳会談で金正恩委員長の発言力を高める役割を果たすものと見られる。北朝鮮に確実な非核化を要求する米国から「体制安全保障」および朝米関係の正常化の保障を受けなければならない金正恩委員長としては、朝中関係の修復をテコにし、交渉力を高められるという判断をした可能性もある。大統領府関係者も「北朝鮮がかなりハイレベルな戦術を駆使していると言える」とし、「米国との対話を控え、北朝鮮が『我々には中国がいる』というメッセージを伝えようとしているのではないか」と分析した。
ドナルド・トランプ米大統領が最近、ボルトン国家安保補佐官内定者など強硬派を重用し、対北朝鮮圧迫を強化している状況で、朝米首脳会談の結果をむやみに楽観できないと判断した金正恩委員長が様々な場合に備え、“友軍確保戦術”として中国訪問を選んだという分析もある。朝米首脳会談が成果なく終わった場合、やってくるかもしれない米国の北朝鮮に向けた超強硬政策に対抗し、中国を支柱にすることができるし、もし協議がうまく行って対北朝鮮制裁の解除が現実化した場合は、中国と経済協力を本格化する状況まで考慮した可能性があるということだ。
北朝鮮は、韓国と米国、中国などとの対話の幅を電撃的に広げることで、孤立感を感じる日本を朝日対話に応じるように圧迫する効果も期待できるようになった。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院責任研究委員は「中国にとっては朝鮮半島の局面転換に積極的に対応していく必要があり、北朝鮮にとっては対米交渉の強化の側面から、朝中が互いを必要としている」と話した。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「歴史的に朝中関係は常に戦略的利害が一致する部分がある。これまで南北米3角対話の必要性が取りざたされてきたが、南北中の3角対話も重要だ」と話した。