北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が提案した南北首脳会談について、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がスピードよりも成果に重点を置く意向を示した。
文大統領は17日、江原道平昌(ピョンチャン)アルペンシアリゾート内にある平昌冬季五輪メインプレスセンターで「南北首脳会談を行う意向があるか」という質問に対し、「大きな期待が寄せられているようだが、気が早いと思う。ことわざに喩えれば、『卵を見て時夜を求む』(韓国語では『井戸でおこげを探す』)ようなものだ」と述べた。文大統領の発言は性急な期待で高まった早期の南北首脳会談を求める雰囲気に流されず、慎重に内実を期すという意味だ。一過性の首脳会談よりは持続可能な朝鮮半島平和体制の構築に向けた環境作りに力を注ぐということだ。
文大統領は金与正(キム・ヨジョン)北朝鮮労働党中央委第1副部長の電撃的な訪朝要請に「環境を整えて実現させよう」と答えており、先月10日の年頭記者会見でも「会談のための会談が目標ではない。首脳会談を行うなら、首脳会談を行える環境を整えなければならず、ある程度の成果が保障されなければならない」と述べた。大統領府関係者は「文大統領が大統領府のどの参謀よりも最も慎重かつ長い目で南北首脳会談問題を見ている」とし、「文大統領は、南北首脳会談のための条件がまだ十分整っていないと考えている。喩えるならやっと卵が産まれたばかりの段階と言える」と話した。
まず、文大統領は米朝対話をめぐる双方の動きに神経を尖らせると共に、米国が北朝鮮と対話の場に出られる雰囲気作りに力を注ぐものと見られる。文大統領が平昌プレスセンターで「米国と北朝鮮の間でも対話が必要という共感が少しずつ高まっている」とし、「現在行われている南北対話が米国と北朝鮮の非核化に向けた対話につながることを待ち望んでいる」と述べたのは、このような本音を滲ませたものと思われる。大統領府関係者は「最も重要な南北対話だけでなく、朝米対話が具体的に行われてこそ、南北首脳会談でも成果を出すことができる」としたうえで、「国家安保室はもちろん、外交部と統一部を通じて米国大使館などと接触しながら、様々なチャンネルを稼動させている」と話した。実際、今年2000年と2007年に行われた二回の南北首脳会談は、米朝対話の雰囲気が整った中で行われた。大統領府側はレックス・ティラーソン米国務長官が17日(現地時間)、米国のCBSとのインタビューで、「あなた(北朝鮮)が私に対話する用意ができたと言うのを耳を澄ませて(待って)いる」と発言したことについて、「韓国政府が努力してきた朝米対話に向けた雰囲気作りがある程度成果を出しており、歓迎に値する」と話した。
さらに、文大統領は、北朝鮮側にも核やミサイル問題に関してより積極的な態度を求めたものとみられる。大統領府関係者は「文大統領が北朝鮮側に少なくとも非核化に向けた協議を開始する態度を示すような変化を求めたものとみられる」と話した。体制の安定を望む北朝鮮と、核・ミサイル開発の中止と放棄を要求する米国の間の折衷点を見出し、両方を対話の場に導かなければならない文大統領としては、米国ほど北朝鮮にもより具体的な変化を期待するしかないということだ。
文大統領は、米国との軋轢の可能性を減らし、国際社会との協力を維持するということも念頭に置いているものと見られる。政府当局者は「北朝鮮の核・ミサイル問題により、国際社会の対北朝鮮制裁局面が続いている状況で、南北関係を前進させていくためには、いろいろな側面を考慮せざるを得ない」とし、「南北関係を復元する過程が朝米対話局面とかみ合えるよう、環境を整えていかなければならない」と話した。