「『ごちそうさまでした』と言われると、嬉しいです」
2018平昌(ピョンチャン)冬季五輪江陵(カンヌン)選手村のキム・ギフン選手村長は、5日に入居を完了した北朝鮮女子アイスホッケー選手など22人と役員24人を合わせた46人の北朝鮮選手団に、しばしば会う。レストランですれ違うことが多いが、「ごちそうさまでした」と言われると嬉しくなると語った。江陵と平昌に分かれた2カ所の選手村は、92カ国から訪れた5300~5400人の選手団を収容する。
約2200人を収容する江陵選手村は、主にスケート種目の選手らが入居している。北朝鮮選手団は、アルペンスキーやクロスカントリーなどのスキー種目の選手まで江陵選手村の804棟を宿舎として使用している。新しく建てられた建物には、1室に広々としたリビングルームとベッド5台を備えた3つの部屋がある。照明とシャワー施設まで落ち着いた雰囲気を演出する。選手村内のレクリエーションセンターで会ったノルウェー選手団メディア担当官のラルス・オットー・ビエルンラン氏は、「平昌が提供するすべての環境に大満足している。我々にとってはそれほど寒くない」とし、「同じ棟にいる北朝鮮選手に会うと、互いに笑顔であいさつする」と話した。
選手村の前に建てられたレストランの配膳担当者の話からも、北朝鮮選手らの一面を垣間見ることができる。韓国料理コーナーのあるシェフは「最初の2日間は韓国料理ばかり食べていたが、今はサラダや外国人のためのコーナー、スパゲッティやピザも好んで食べる」と説明した。
キム・ギフン村長は「北朝鮮選手たちだけでなく、全世界選手たちが運動前後に家で寛ぐような落ち着いた環境を提供することを目指している。韓国人の暖かい情を伝えるよう最善を尽くしている」と話した。
スキー種目の選手約3200人を収容する平昌選手村も同様だ。ユ・スンミン選手村長も「選手たちがよく食べて、穏やかに過ごせることを優先視している」と話した。平昌選手村の食堂には、シェフ180人やパティシエ40人、栄養士15人が配置され、合わせて420種類の料理を提供する。ハラルのような宗教食も提供される。選手たちには無料だが、チーム関係者は3万ウォン(約3千円)の食券を購入しなければならない。平昌五輪組織委関係者は「まだ選手たちが全員入村しておらず、大会開始前のため、特に混雑する時間もなく、24時間あまり変わらず選手や関係者らが訪れる」と話した。
選手村の中には宗教別の祈祷室があり、マッサージやゲームを楽しめるレクリエーションセンターがある。選手たちに人気のある場所は、有酸素運動とウェイトトレーニングができるヘルスクラブだ。江陵選手村のヘルスクラブで案内を担当しているボランティアは「北朝鮮選手らは主に午前中に軽く2時間ぐらいの訓練する。北朝鮮選手をはじめ、大半の選手らは太ももがかなり発達している」と語った。
総合病院のポリクリニック(医務室)も設置されている。平昌選手村の場合、整形外科や痛症医学科、物理治療室など日常的な医療サービスだけでなく、鍼治療まで提供している。平昌選手村ポリクリニックのキム・ジョンア看護部長は「医師は30人、看護士は診療部署別にいる。選手村で最も必要な外傷や応急、整形外科の医師3人は24時間待機している」と話した。選手の心理カウンセリングだけでなく、精神科専門医も待機している。選手たちが必要ならばいつでも専門的な心理相談を提供できる。